ペルガモ・ドニゼッティ歌劇場公演を観て 東京文化会館 (2010年1月14日)
 
 歌 劇 『愛の妙薬』 全2幕


作 曲 : ガエターノ・ドニゼッティ
原 作 : スクリーブ台本、オベール作曲のオペラ<媚薬>(1831)
台 本 : フェリーチェ・ロマーニ
初 演 : 1832年5月12日、カノッビアーナ劇場(ミラノ)

指 揮 : ステーファノ・モンタナーリ
演 出 : フランテェスコ・ベロット
舞台装置 : アンジェロ・サーラ
衣 装 : クリスティーナ・アチェティ

《配 役》

アディーナ : デジレ・ランカトーレ

ネモリーノ : ロベルト・イウリアーノ

ベルコーレ : レオナルド・ガレアッツイ

ドゥルカマーラ : マッテオ・ペイローネ

ジャンネッタ : ディアナ・ミアン

ベルガモ・ドニゼッティ劇場管弦楽団・合唱団

「愛の妙薬」は「ランメルモールのルチア」と並んでよく上演されるオペラです。
インチキなほれ薬の力を信じたネモリーノが想いを寄せるアディーナから誠の愛を得ると言ったハッピーエンドの物語です。


デジレ・ランカトーレ は1977年生まれの若手の歌手です。
ザルツブルグ音楽祭に19歳でデビューしています。
東京文化会館の5Fで聴きました。
第1幕では余り声も出てなくて5Fまで届かないようで心配しましたが次第に響きも美しくなりホッとしました。アリアのコロラトゥーラ部分や高音のフェルマータは充分楽しませて、上手に聴かせてくれていましたが、アンサンブルでは時々違和感のある音が鳴り、かなり私は気になりました。

ロベルト・イウリアーノ は柔らかい声の持ち主で、sotto voce も綺麗でした。 このオペラの有名なアリア『人知れぬ涙』もしっとりと素敵に歌われました。

インチキ薬売りのドゥルカマーラ役の マッティオ・ベイローネ はコミカルな狂言回し役です。
早口で技巧的に歌わなくてはならないところが多く大変なのですが、充分楽しませてくれました。

ディアナ・ミアン は1983年生まれの歌手です。プロフィールに女性は生まれ年は普通は載せないのですが、やはり若いことをアピールしているのでしょう。  ソプラノですがランカトーレがかなり細い声なので、プロフィールを見るまではメッツォかしらと思ったほど豊かで美しいボリュームのある声でした。

特筆すべきなのは指揮の ステファーノ・モンタナーリ です。
彼は叙唱のところで自らの素敵なアドリブでアプライトピアノを弾いて指揮をしています。そのピアノがエレガントなフレーズであったり、より楽しく、また寂しそうだったりと様々な雰囲気作りで絶大なる効果があり、この喜歌劇を一層魅力的で楽しいものにしてくれました。
プロフィールを見てみるとやはりヴァイオリン、ピアノ、室内楽、古楽などの研鑽を積んでいると書かれていました。 指揮ぶりもエネルギッシュで熱演でした。 聴いている者を惹きつける魅力がありました。
歌い手も指揮者も合唱もオーケストラの団員も全員が一つになって楽しんで演奏しているところが伝わってきて好感が持たれました。

カーテンコールでは彼にも沢山のブラヴォーが飛んでいました。
初めは一人一人の歌手の声のことが気になっていましてが、次第に音楽に惹きこまれていってしまい、終わったときには充分に楽しめ心躍っていました。