ルーブル美術館展 −17世紀ヨーロッパ絵画 −(2009年5月22日)



上野の国立西洋美術館でルーブル美術展を開催しているので行ってきました。
上野駅公園口に着くと、相変わらずの混雑ぶりです。修学旅行の生徒さん、阿修羅展へ行く人たち、そしてルーブル美術展への人の波なのでしょうか?
ネットで調べると相当な混雑が予想されると書かれてあります。 比較的空いていると云われている金曜日の夕方を選びました。  新型インフルエンザが関東にも患者が出たというニュースを聞いたのでとても暑い日でしたがマスクをして人ごみへの外出です。  5月30日と6月6日にコンサートで歌うので1週間前に絵画鑑賞していて良いものかと多少迷ったのですが、コンサート後ですと閉幕間近でより混雑が予想されましたので、実行しました。
入口で30分待ちの表示です。 暑い中ちょっときつかったですがここまで来た以上は仕方がありません。

さて、今回のルーブル美術展のタイトルは『17世紀ヨーロッパ絵画』です。 これを3つの大きなテーマに分けて展示されていました。
出品された71点のうち、およそ60点が日本初公開です。 そのうち30点あまりは初めてルーブル美術館を出る名品です。



1.「黄金の世紀」とその影の領域。
 ニコラ・プッサン「川から救われるモーザ」、フランス・プルビュス(子)「マリー・ド・メディシスの肖像」
 レンブラント「縁なし帽を被り、金の鎖を付けた自画像」、フェルメール「レースを編む女」など、24点。

2.旅行と「科学革命」。
 ルーベンス「トロイアを逃れる人々を導くアイネイアス」「ユノに欺かれるイクシオン」、ベラスケスとその工房「王女 マルガリータの肖像」、ファン・ダイク「プファルツ選帝侯の息子たち」、ヤン・ブリューゲル(父)とその工房「火」、など 22点。

3.『聖人の世紀』、古代の継承者?
 カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」「受胎告知 聖母」、ラ・トゥール「大工ヨセフ」、ムリーリョ「6人の人物の前に現れ る無限罪の聖母」、ヨルダーンス「4人の福音書記官」など25点。

なかなか見ごたえのある71点でした。  ポスターにもなっているのがフェルメールの「レースを編む女」ですがレース糸など繊細な部分が細やかに描かれています。 彼独特な光の技法の美しさは去年の夏に都美術館での「フェルメール展」の時のほうが私の心を揺り動かしました。

入口入ってNo.2の作品フランス・プルビュス(子)の作品「マリー・ド・メディシスの肖像」縦3m、幅2mの大きなもので1610年5月13日フランス王妃として戴冠式での彼女が描かれています。 ドレスの襟元には美しいレース、豪華な真珠のアクセサリー、ドレスがそれはそれは見事に描かれています。 輝いて見えました。 絵の具にラピスラズリを混ぜて描いてあると記されてました。 彼女を題材とした絵は、何点他の画家により描かれていますが、プラド美術館所蔵のルーベンスも有名ですね。 ルーブル美術館には一室に24枚の絵が飾られているそうです。

カルロ・ドイチの「受態告知 天使」は聖母とペアーになっている作品ですが、清純なお顔と優しいまなざしに惹きつけられました。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「大工ヨセフ」はロウソクの光に照らされた顔や手の明暗を上手く表現されていて、技法にも心を打ちます。

17世紀がテーマというと、歴史的には16世紀から始まった宗教改革の影響により絵画に及ぼす影響が非常に大きく、宗教画が多く描かれました。 また1600年に英国が東インド会社を設立したことに始まる植民地競争とそれに伴う貿易、産業の勃興。 文化面では、シェイクスピア、セルバンテスラの活躍、フランドル学派の活躍、哲学ではデカルト、フランシス・ベーコン、スピノザ、そして演劇ではモリエール、コウルネイユ、ラシーヌらの活躍といった時代。
このような歴史的背景を思い出しながら素晴らしい芸術作品を身近に観賞することができて心豊かな気持ちになりました。

   

美術展を見終わって前庭のロダン、ブールデルの作品の前で撮影しました。

この展覧会は6月14日(日)まで開催です。