2009年  謹賀新年

メトロポリタン歌劇場創立125周年記念 オープニング・ガラを観て
 

皆様、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

大晦日に歌舞伎座で、昨年のMETビューイング「ロメオとジュリエット」に続き、今回はメトロポリタン歌劇場創立125年記念のオープニング・ガラを見に行きました。
1883年10月、グノー作曲「ファウスト」がメトロポリタン歌劇場の開幕とのことですので、今年で125年。
この記念公演の演目は、タイトルロールのルネ・フレミングを中心に組まれたもので、第一部ヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」(「椿姫」)第二幕、第二部マスネの「マノン」第三幕、第三部がリヒアルト・シュトラウスの「カプリッチョ」の最終場面といったまさにフレミングの独壇場の公演です。

 当日売られていたプログラムの表紙。



歌舞伎座は老朽化のため改築を決定しています。雰囲気のある建物が壊されてしまうのは残念です。
2009年より16ヶ月に渡り「さよなら公演」を行うそうです。
来年(2010年)4月の公演を最後にしばらく閉館となります。

   

今すぐに壊されてしまうわけではないのですが、1年なんてあっという間ですから、色々なところで記念に撮っておこうと思いカメラを持参で、一通り歌舞伎座を撮りました。

   





公演第一部の「椿姫」のヴィオレッタ役フレミング、アルフレードには、現在売り出し中のラモン・ヴァルガス、指揮はジェイムズ・レヴァインです。 突然第二幕からですので、歌い手も大変だとは思いますが、フレミングはすばらしく、胸を打たれます。ザルツブルグ音楽祭のネトレプコのヴィオレッタも大変感心したものですが、これも負けず劣らず。是非とも全幕聴いてみたいと思いました。
フレミング用の衣装はクリスチャン・ラクロワが担当していて最高の生地がふんだんに使われていてデザインも素敵です。こんな衣装を着て歌えるなんて歌手冥利に尽きるでしょうね。
ロドルフォは私の思っているイメージとは違い、表現力も乏しいように感じました。
ジェルモンのトーマス・ハンプソンも声は良く出ているのですが、気持ちがちっとも伝わって来ませんでした。
「椿姫」を歌い終わって楽屋に戻る道すがらインタビューを受け、次の役マノンに成り切るのですから、その余裕には驚嘆します。
第二部の「マノン」第三幕、マノンはフレミング、デ・グリューが「椿姫」と同じくラモン・ヴァルカスでした。デ・グリュー役の方が苦悩している想いがこちらに伝わってきて良かったです。舞台が豪華で主役以外の衣装・ヘアーもすばらしく、優雅に散歩をする貴婦人が本物のプードル犬を連れて登場したり、旅芸人が綱渡りをしていたり、奥の窓には手影絵芝居が見えていたり、大変楽しむことができました。
マノン役では次々に男を手玉に取り、自由奔放に行動して、色気を振りまき誘惑する、そんな女性をチャーミングに楽しんで演じていて、こちらも充分堪能できました。マノンの衣装はシャネル(カール・ラガーフェルド)が担当でした。薄い紫色の素敵なドレス、アクセサリーも豪華で言うことなしですね!
リヒアルト・シュトラウスの最後のオペラ「カプリッチョ」は短い全1幕ものですが、この最後の場面のほとんど独演の場面です。
この役は世界中のあちらこちらの歌劇場でフレミングは歌っていてNHKで放映されていたのを見たこともあります。彼女の衣装はジョン・ガリアーノです。歌っている時の仕草にもこのドレスを着て演じることの幸せ感が満ちているのです。歩き方まで違ってきますものね。

オペラの抜粋を出ずっぱりで3本立て続きに演じたこと、「イタリア語」、「フランス語」、「ドイツ語」と言葉も全て違い、女性像も「純情」、「奔放」、「知性」と演じ分けて、フレミングの実力のすごさを見せてもらいました。

   

昨年に比べて観客数も数段多いように見受けました。
劇場改築ということは皆さんも良くご存知で劇場内でカメラのフラッシュがあちこちで光っていました。

   

ミーハーな一面もありますので終了後記念に撮りました。花道に手をついて、ハイ、ポーズ!



立派な正月の鏡餅が飾られていました。



歌舞伎座の立派な門松の前でパチリ。二年連続で大晦日にオペラを楽しみました。
フレミングからもパワーをいただきましたので、私も私なりに磨きをかけて参りたいと思っておりますので
どうぞ御贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。   

                                                平成二十一年 元旦