二期会日本歌曲研究会 例会より(平成17年1月16日)
本格的な寒さ到来です。
皆様はお風邪などひかれていませんか?
雪にこそなりませんでしたが、冷たい雨の振る一日でした。
昨年12月に「もうオペラが終わったから1月の例会で歌ってくださらない」と言われ、
1月16日の二期会日本歌曲研究会例会で中田喜直作曲の「木兎」を歌うようにと曲目まで
指定されて、頼まれてしまいました。お正月をはさんでいるので練習も余り出来ないし・・・・
困ったなぁ。
「木兔」はバリトンがよくコンクールで歌っているのを聞いたことがあります。
心にしみる名曲です。歌いばえのする素敵な曲です。
三好達治の詩で、人生の成功者でなく挫折して都に帰ってきたという自分を歌っている曲です。
心の痛みを「木兎が鳴いている」と何回も言いながら表現していく、ある意味深く、重厚な音楽なのです。
結局、勉強してみようと思い引き受けました。
ピアニストにとっても、表現の幅がある音楽でしたので、とてもダイナミックに格好よく弾いてくださり、
歌っていくうちに、自分を嘆きながら、わびさびが表現できたように思われました。
講師は平野忠彦先生でした。
本日のメニューは別宮貞雄・中田喜直の「さくら横丁」石渡日出夫の「汚れっちまった悲しみに」
信時潔の「行々子」中田喜直の「木兎」でした。
多くの人の歌を聞いて思うことは、音をたどっているだけで、詩に対して何を想い、何を感じ、
何を聞き手に伝えたいと思っているのかが見えてこないのです。歌は心の叫びなのですから、それぞれの個性がでることですし、
好き嫌いはあってもそれが魅力というものですよね。
平野先生は詩人のこともとても詳しくお話ししてくださいましたし、いろいろな分野の知識も豊富で、
自分の勉強不足が恥ずかしくなりました。
芸大の教授であり、オペラも歌われ、NHKの大河ドラマ「義経」にも出演され、頭の中はぐじゃぐじゃだけど・・・
とおっしゃりながらも、すべてきちんとこなしておられます。
若い人が頑張れるのは当たり前だけれども、先生のようなベテランのかたも精力的に活躍していらっしゃる
のを目の当たりに見ると勇気が出ました。