〜種牡馬考察〜

ウォーニング(Warning)
1985年生 英国産 鹿毛 2000年死亡
父 ノウンファクト(Known Fact)
母 スライトリーデンジャラス(Slightly Dangerous)
母の父 ロベルト(Roberto)

英国で走り14戦8勝。主な勝ち鞍はサセックスS(G1・8F)、クイーンエリザベス2世S(G1・8F)など。

 デビューから4連勝で重賞2勝のあと2着3着を挟んで、英国の名門レースであるサセックスS、仏ジャックルマロワ賞(2着)、クイーンエリザベス2世Sと進み、勇躍米国ブリーダーズCマイルに挑んだが、稀代の女傑ミエスク(Miesque)の11着に敗れた。ちなみにジャックルマロワ賞でもミエスクに敗れている。
 現役の時にはインディアンリッジ、ナシュワン、ジルザルとも戦っているが、89年エクリプスS(G1・10F)でナシュワンに、連覇を挑んだサセックスSではジルザルに大敗し引退、種牡馬入り。96年日本に輸入されたが、00年死亡。

 弟にイギリスダービー、アイルランドダービーを勝ったコマンダーインチーフがいる。

 戦績を見てのとおり、生粋のマイラーだということが分かる。ミエスクとは2度対戦して2度負けたが、クイーンエリザベス2世Sでは2着のサルス(Salse)に5馬身差をつける圧勝だった。

 産駒はやはり短距離向きに出るのが多いが、Give Noticeのように長距離重賞を勝った産駒もいれば、日本に遠征してきて毎日王冠を勝ったアヌスミラビリスのような中距離馬もいる。ダンツジャッジもアメリカJCCを勝ってはいるが、ダービー卿CTも勝っているのでスタミナ兼備のマイラーといえそう。もっとも、弟のコマンダーインチーフはクラックディスタンスで活躍しているから、当然といえば当然なのだが。

 2004年高松宮記念を制したサニングデールは、日本生産馬で初のG1ウイナーとなった。これまで中京巧者だとか、G2止まりとか言われていたが、どうやら一瞬の脚にかける部分が大きいように思う。逆に言うと脚が持続しないので直線の長いコースでは仕掛けが難しいような気がする。

 血統を見た限りでは強いクロスはないし、素直にマイラーかな?という印象なのだが、8代目まで広げてみるとスピード勢力がかなり前に出ているのが分かる。

 父ウォーニング自身はナスルーラを1つ持っていてクロスはしていない。ただ欧州的なスタミナを若干持っているのでマイルまで走れたのだろうが、サニングデールの母カディザデーがナスルーラを2つ持っているため、ナスルーラの6*5*6クロスと同時に、その上のネアルコ、ファロス、ファラリスに至る血脈が自動的にクロス。この血だけで相当影響が強いと思われ、これとバランスを取ろうとするスタミナ部分に欠けた状態になっている。一本調子のスプリンターになっている要因はこれかもしれない。実際、サニングデールの距離実績は1200mに集中していて、1ハロン伸びた1400mでは3着の経験すらないのだから。

 高松宮記念では少し早めに見えた仕掛けも、豪脚を持つデュランダルを押さえ切るには絶妙なタイミングだった。デュランダルの上がり33.6秒に対しサニングデールは34.2秒だから、それまでの自身の勝ちパターンとは違っていたことが分かる。(阪急杯やCBC賞はメンバー最速の上がりで差し切り勝ちだった)

 今のところはウォーニングの代表産駒と言えるが、決してベストな血統ではない。新馬戦では同じ父を持つダンツジャッジが2着だったが、ある程度スタミナを持っている点でダンツジャッジの方がよく出来た産駒に思える。

 ナスルーラを持たない繁殖牝馬は少ないだろうが、理想的なのはナスルーラクロスを作らず(作ったとしても)、War Relic絡みやBull Dog、Tom Fool、Teddyのクロスでスタミナを確保して、Hyperion、Blue Larkspurでスピードを補う形かと思う。元々スピードはある父系なので、いかにスタミナをつけるかがポイントになる種牡馬と言える。

 ちなみにカルストンライトオもウォーニング産駒だが、サニングデールよりもナスルーラが強い。最前面にあるのはネイティヴダンサーの5*4クロスなので少々決め手に欠けるスプリンターだろうということを付記しておく。

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