〜種牡馬考察〜

ホワイトマズル (White Muzzle)
1990年生 英国産 鹿毛
父 ダンシングブレーヴ(Dancing Brave)
母 フェアオブザファーズ(Fair of the Furze)
母父 エラ - マナ - ムー(Ela - Mana - Mou)

英仏などで走り17戦6勝。イタリアダービー勝ち馬。他凱旋門賞2着、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS2着2回など。

 凱旋門賞勝ち馬としては「近年最強馬」と評価の高いダンシングブレーヴの直子。2代制覇とはならなかったものの、93年には欧州代表としてジャパンカップに参戦した。(13着)

 甥にドバイWCを勝ったアルムタワケルがいる。

 父をスケールダウンしたようなイメージ。凱旋門賞にも2度挑戦しているが、94年の2度目は武豊騎乗で、勝ち馬から2馬身半差の6着に敗れた。再起をかけてブリーダーズカップターフ出走も8着と振るわず、これが引退レースに。

 代表産駒にはスマイルトゥモロー(オークス)、イングランディーレ(天皇賞)、トーセンダンディ(オールカマー)、ビハインドザマスク(セントウルS)などがおり、地方でも多くの活躍馬がいて「堅実に走るタイプ」。

 しかしながら少々ジリっぽい印象の強い産駒が多く、瞬発力に欠けるため勝負弱い面が多く見られる。ビハインドザマスクは配合上切れ味が協調された感じだが、短距離で活躍。多くの産駒は芝ダートの中距離以上で好成績を上げるケースが多い。

 今年の春の天皇賞、勝ったイングランディーレは最近では珍しい「ステイヤー配合」に見える。父が2400m前後で活躍したホワイトマズル、母父がライスシャワー、ステージチャンプ、ハギノリアルキングなど長距離産駒を多く輩出しているリアルシャダイだから、どう考えても芝2500m以上でないと期待しづらい面があるのは否めない。反面、追ってしぶとく切れないスタミナを持つので、自分のペースに持ち込めば強い勝ち方をする。天皇賞はまさにそんな競馬だったと思う。

 4代目にNorthern Dancerの4*4クロスを持ち、ジリっぽさが強調される反面、若干スタミナが補強された印象。5代目にあるTurn-toが6代目でクロスして、6代目ではNearco、Hyperion、Nasrullahなどがほぼ同列でクロス。血が後退しているので、スピード値は日本競馬に対応できる分だけある感じだが、Nasrullahが6代目で5代以内ではアウトクロス扱いなので特に気性難を気にすることもない。全体を通して言えるのは「底力に欠ける」ということで、後方から追い込ませるか、逃げるか、どちらにしても馬群に揉まれないようにしないと持ち味が生きない、乗り難しい馬といえる。

 こういった種牡馬の子が走って日本の近代G1を勝つことには意味があり、この血が累代して子孫が走れば「日本的な近代ステイヤー」が引き継がれていくに違いない。

 ホワイトマズルに戻って、理想的な配合をするなら、Northern Dancerクロスは仕方ないとしても、Sir Gaylord、Petingo、Round Tableのクロスを作れる繁殖牝馬が望ましい。Bold Rulerの名前もあるが、ダート傾向が強くなってしまうので中距離以上のダート馬を狙うなら…という感じ。全くクロスを作らない「外交馬」とするのも一つの手。その場合は6代以降でスピードやスタミナを補強するようなクロスを持たせる必要があるだろう。

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