〜種牡馬考察〜

キングマンボ (Kingmambo)
1990年生 米国産 鹿毛
父 ミスタープロスペクター(Mr. Prospector)
母 ミエスク(Miesque)
母父 ヌレイエフ(Nureyev)

 英仏などで走り13戦5勝。仏2000ギニー、ムーランドロンシャン賞勝ち馬。他にジャックルマロワ賞はサイエダディの3着、クイーンエリザベスSはBigstoneの3着。着外は1度しかない。

 父は競走馬としては決して一流ではなかったが、種牡馬として多くの後継種牡馬を残し、偉大な功績を残した。当馬もその一頭で、母は近代欧州競馬の最強牝馬として名高いミエスク。ちなみにこのミエスク、生涯16戦12勝で、エクリプス賞(日本で言う年度代表馬)の芝牝馬部門を87年88年連続で受賞した名牝である。負かした相手にはソヴィエトスター、ウォーニングなどがいて、87年ブリーダーズカップマイルでは1分32秒8という驚異的な世界レコードで圧勝している。

 そんな両親を持つ当馬、母の遺伝が強かったかマイラーとして活躍したものの、母のレベルには至らない印象を受ける。最もG1を2勝してるわけだし、一流馬であることに変わりはないが…

 真価を発揮したのは種牡馬入りしてから。エルコンドルパサーを始めとしてスターキングマン、アメリカンボスなどを輩出。外国ではCharismaticの三冠を阻止したLemon Drop Kid、英2000ギニー勝ち馬King's Bestなどを出している。

 Mr. Prospector直子としてはマイルからクラシックディスタンスまでカバーし、芝ダート問わないオールラウンダーが多い。しかも底力に溢れ、タフに走る。脚もとの弱さに泣くのは仕方ないとしても、これだけポテンシャルを持つ種牡馬はそう多くはないと思う。

 当馬の場合、毎日杯で3歳としては驚異的な1分58秒台で走破すると、NHKマイルカップに出走。全く後続を相手にしない強い競馬でG1奪取。その後外国馬に門戸が開かれたダービーに中2週で出走し、これまたレコードタイムでの圧勝だった。その後秋の復帰戦を勝った直後に故障し引退してしまったが、マイルカップからダービーという連戦はローテーションもさることながら800mの距離延長自体が3歳馬にとっては過酷。それを跳ね除けたのだから圧巻の一言に尽きる。

 エルコンドルパサーも似たような戦績を持つが、血統的には両者は異なる。エルコンドルパサーは様々なクロスを多重、しかも近い世代に持つ馬だったから種牡馬としてかなり苦労することが予想される。でも当馬の場合は4代目にNorthern Dancerの4*4を持つ程度で、5代以内に他のクロスはない。が、6代〜8代まで広げてみるとNearco(12本)、Native Dancer(4本)、Nasrullah(4本)、Pharos(9本)、Hyperion(9本)などで溢れた内容になっていてこれらが本来の能力形成に働いていることは疑い様ない。

 05年から種牡馬入りする当馬だが、配合上色々な産駒を出す可能性を秘めている。最もミスプロ系の「典型」のような産駒ならNative Dancer−Raise a Nativeのラインをクロスさせるのが良いだろうし、或いは母父ラストタイクーン内にあるMill Reefと母母内にあるGreen Dancer−Nijinskyを強調すれば、より芝向きの産駒も出せる。他に5代目にNasrullah、Graustark、Buckpasserなどが含まれているので、効果的にクロスさせることで幾らでも基礎能力アップを図れる内容である種牡馬、ということが推測できる。ランダムに繁殖牝馬を配しても心配は少なさそうなので、初年度産駒に期待が膨らむ。

 

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