RB系エンジンが直列6気筒の理由

 日産では、RB系のリリースを前に同じ6気筒V型のVG型がセド/グロやZに搭載しています。しかしV6エンジンがあってもなお、従来のL型の後継としてRB型を出すだけの意味はあったのです。

 「よりスポーティに」
 「より満足感を与えるために」

 それがRB型が必要とされる理由でした。

 L型は今でも伝説的に語られるように、日産の主力車種に搭載され、排気量に応じたラインナップも豊富、ガソリンのみならずディーゼル式もありショップとしては「遊べるエンジン」「学べるエンジン」だったのです。

※この辺はマンガ「湾岸MID NIGHT」でも御馴染みでしょう

 一方で、洗練された他の新型エンジンに比べると「吹けが重い」「燃費が悪い」「エンジン本体が重い」等の欠点がありました。

 これらの問題を解決するという意味でもRB型が開発された構想に行き着きます。
 DOHC4バルブのクロスフロー吸排気、対してボア×ストロークは結果的にL20型と同じになっています。設計上、自然とそうなったようですが、実はVG型も同じボア×ストロークです。

 当時アルミブロックなどによる「エンジンの軽量化」が一つの流れにありましたが、RB系はあえて鋳鉄ブロックを採用しました。

 何でも軽く作ってしまったらスポーティな上級車に見合うエンジンにはならない。基礎であるブロックとヘッドは頑丈に、中の運動部分は軽く作ることでフリクション(摩擦)を減らす。燃焼室をコンパクト化することで良い燃焼を得る。

 これにより、直列6気筒エンジンながら軽快に吹け上がるエンジンに仕上がっている訳です。同時にRB系エンジンの気持ちよさ、回転とともに変化する音質、フィーリングも折込済み。この辺はオーナーなら感覚的にわかることでしょう。これに取り付かれた者はRBを愛してやまない一因なのです。

 基本設計はRB20でもRB26でも同じで、RB26はRB系の細部を詰めた結果だと言えます。

 RB系の特徴として、プラグコードがない点があります。RB系エンジンは直接プラグに点火するイグニッションコイルを各気筒に持っており、これはNDISと呼ばれます。プラグコードがなければデストリビューターもありません。各気筒ごとに適切な点火タイミングで確実に強い点火を飛ばせるので高回転域でも確実な燃焼を保証できています。
 現在こそ多くの高性能エンジンで採用されている技術ですが、15年以上前にRB系で採用している点に、日産は高性能エンジンのあり方と将来性を示していたのです。

 BNR32がグループAなどに参戦、連戦連勝を重ねることで、RBエンジンは耐久性の高さと性能の高さを証明しました。ただ一つ、燃費の悪さを除けば…。

 JGTC、S耐などを席巻しつづけたRBエンジン搭載スカイラインでしたが、直6ゆえのフロントヘビーと燃費の悪さが手伝って、次第に他車V型エンジンに押され気味に。R34型の最終バージョンではR34なのにV6、という苦肉の策をとらざるを得ませんでした。そして2003年をもってスカイラインGT-Rは一旦モータースポーツの桧舞台から引退、後任は新型Zが活躍しています。

 かといってRBエンジンが姿を消したわけではありません。R31からR34まで、今も公道やオープンサーキットで元気に走っているスカイラインは数多し、GT-Rはどの走行会に行っても上位クラスに名を連ねます。

 現行35型はV型エンジンとなったけど、これも時代の流れ。直6RBを愛してやまないスカイラインオーナーは今も、これからも存在しつづけるでしょう。

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