98/01/16

考えていたことをスコンと
忘れてしまうと、
かなりくやしい。
衝撃ではないけれど、
何か、受け止め損ねた、
間の悪さがそこらに
漂う。
空気までが、
スコンとした自分を、
そそそ、と笑う。
*
冷たい空気は、
アタリも冷たく、
こちらがストレートであるときは、
最大の心地よさで、ありながら
そそそ、と笑うときの、
その冷たさも、
また当然に。
*
ただ、冷たい空気には、
シアワセを包み込む、
生意気な包容力がある。
空気あいてに、くやしがっても、
詮無きコトながら、
すべてを冷たさで包み込んでいるような、
一瞬、そう感じさせておきながら、
各個人が、
暖かさを持っている限り、
それが存在することを、
確かに教える、という
重要な端役を果たし、
*
空気は、膨大な
冷たさのエネルギーを
持っていて、
強い風にかきまわされれば、
容赦なく、取りまく暖かきものを、
奪っていく、とも思える。
ただ、それは、
奪われてかまわぬこと、
奪われた暖かさの存在感こそ、
静かに寒き夜に、
自らと、他の暖かさを、
しみじみとすべき
原体験たる、
春は春、冬は冬。
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