2009 Fall



中央アルプス 駒ヶ根高原から空木(うつぎ)岳 09・8・30 ガス〜高曇り

駒ヶ根スキー場P440〜池山分岐水場740=800〜森林限界分岐2528m1200〜尾根コースから空木岳1340〜下山〜ハイマツカール〜空木避難小屋休憩30分〜分岐1520〜池山水場1830=1850〜P2100 
標高差1900m 登り9時間 下り7時間半 合計16時間半


稜線コースから駒峰ヒュッテとその向こうに空木岳頂上。2600mを越えてもハイマツがある。

 先週に続いて、日帰りビックプロジェクト。というのも土曜日雨でしかたなく。駒ヶ根高原の林道上部(1370m)まで道があるはずなのだが、崩壊と称して閉鎖。指示通りに戻ってスキー場のP(標高940m)に入れるが、なんと1900mも登らないといけないことに気がついた。無告知の林道閉鎖はひでえよなあ。まあ山関連情報なんてそんなもの、行き当たりばったりが相場だけど。
 暗い時間からライトでスタート。スキー場とか別荘地帯を抜けていくが、道を間違わなかったことだけは救い。3時間歩くと、池山小屋近くの水場に(地形図の小屋場所は移設されている)。立派な水場で、古木の幹をくり抜いて水桶にしてあった。上流からの水圧差で満タンになっているのだろうか、神業である。
 着いたときに、すでに上部泊で下山してきた人がいた。何と外人さん。この数年ときどき山で外人さんに会う。まあねえ、日本の山は欧米をしのぐ簡便峻峰の場合もあるわけでね。「飲める?」と聞かれたからもちろんOKだよと。外人さんは山に行くのに2Lのミネラル皆担いでいるんだが、山の水は飲めるという日本と、飲めないという欧米の前提の違い、自然の宝庫の有無だろうねえ。
 この先急登あり、迷い尾根のガレ場ありで、後続がドンドンきた。
 昼に上部分岐に出たが、その先で抜かれた日帰り連中がすでに下ってきた。午前中はガスだったが、昼頃でだんだん晴れてくる。予報もよく当たるものだ。この2500mの分岐に出ても、ハイマツが出てきたもののまだ樹林が続く。でも上部カール地形が見えてくる。けっきょく空木という山を下界から眺めないままの登頂となったが、まあ後でチャンスがあったら、駒ヶ根の下界から眺めてみるとしよう。見ないままの登山と言うのも案外多いものだ。
 尾根を進むと花崗岩のロックガーデン風景となる。六甲山でも、甲斐駒、鳳凰でも、屋久島の宮之浦でも、風化されて異様な地形。私有地の駒峰小屋の前を通って、(例によって私有地とは「いらっしゃいませ」がないのと、灯油の発電機の騒音公害の2点悪で嫌いだ)。建築屋のような小屋番がいるのだが無視。頂上に出る。
 中央アルプスは初体験です。35年も前に、南北中央のどこのアルプスが好きですかと聞かれて、20人中に「中央」と答えたのは私一人で、他は南北が半々でしたね。知らないけどへそ曲がりで「中央」とは、この日の選挙で自民党に飽き飽きして「民主」と言った国民全員と35年前の私は同じ意見だったということでしょう。
 本日の登頂の30人ほどの中で最下位でしたね。下りはハイマツカールで、空木避難小屋へ。最近の避難小屋は綺麗なんですよ。ならば「宿泊しましょう」なんていうプレゼンがどこかであってもいいのだが、そんな話聞きませんよねえ。ただ口コミに頼るだけ。せっかく税金でいい避難小屋建てているのいねえ。どうもやっていることがすべてにちぐはぐ。
 途中でカップラーメン食ったり、今日もコンロは何度も使いましたよ。コーヒー、コンソメスープ、じゃがいもスープ、カップラーメンで4回ですね。毎度のように昼寝もしました。中央アルプスも南ア同様に森林限界が高いです。カール底の空木避難小屋周辺はもう樹林帯の中ですから。
 さらに20分行って、ようやく最後の分岐から下山に入ります。今日も下降スタートは15時になってしまいました。
 明るいうちに迷い尾根も通過して下部の水場まで。18時半まで明るかったですね、今日は。ここでスープ飲んで(来週からはお焦げのもっちもちスープ持っていきましょう)、最後の下山へ。
 これだけ登っても、まだ知らない山がたくさんあるって幸せですねえ。


南ア 塩見新道から塩見岳 09・8・23 晴れ〜高曇り
三峰川P320〜林道終点410〜尾根取り付き450〜五右衛門山横稜線1000〜塩見岳1320〜(下山)塩見小屋脇1420=1500(昼食)〜五右衛門山1550〜取り付き河原1830〜林道1850〜P1945




五右衛門山付近(三伏峠同高度の上部台地)からの塩見岳。左本峰、右手前コブ


 盛夏を過ぎて、2000mオーバーを登りに行くのだが、何と塩見岳を選択。高度差1800m、16時間。三峰川林道から登っていく。
 満点の星空。この夏は天気が悪くて、2週前の早月尾根敗退もひどいものだったが、残暑の頃になってようやく天気もまともになったか。ライトを点灯していく。林道終点から河原の高巻きをすることになっていたが、その道がちょっと分からない。大黒沢をぼろ橋で渡ってうろうろしてから、巻き道発見。登って下って向こうの枝沢に下りても、次の登り口が分かりづらい。明るくなるまで待つかと思ったが、どうにか判明して登りだす。この直接登り上げる登山道は偏屈な塩見小屋の荷揚げ道だと思うのだが、取り付きがこんな不整備でいいんだろうか。登り出せば、今度は赤テープが多すぎるほどでうるさいくらいになる。
 Pから高度差で1800m。延々と5時間以上の樹林帯を抜ける覚悟をしていたから、ゆっくり進む。朝飯食わずに握り持参で、朝飯のときに味噌汁作るくらいだから時間がかかる。その1時間後には、パンとコンソメスープにして、昼飯。水だけ飲んでいると腹の具合が悪い。暑い夏こそ暖かい飲み物。
 登りも下りも登山者が誰もいない道で、今日日曜日に下山してくる人がいれば、9時頃にすれ違うかと思ったが、その通りに一人下りてきた。「初めて他人に会いました」というから、「私もそうです」。樹林帯の急登が続くものと思っていたが、最初の1ピッチだけはそうなのだが、道は大きく左に向かって見晴らしのいい尾根に出る。後は尾根をどんどん登り上げるが、思ったほど急でもないから安心した。左に大きく間ノ岳とその右に農鳥岳が並んで、半球ドーム状の山容とその真ん中に白ガレはいかにも南アルプスっぽい感じがする。9時頃に20分くらい昼寝をした。尾根には広葉樹ミズナラの大木と、シラビソ針葉樹が混じる。朝が早いとコンディションは完ぺきとは言えない。
 その昼寝から1時間して、五右衛門山の頂上右脇で、稜線に出た。向こうに三伏峠も見えるし、荒川岳の山容が大きい。出たのが10時だから計算して、まあ明るいうちに何とかなるか。5時間ほどの登りで稜線に出たわけだから、まあまあ。といってもここから先も長い。
 平坦地形の登下降を繰り返して、三伏峠からの道に合流すると、こちらはオジオバ登山隊が賑やか過ぎる。偏屈な塩見小屋も要予約に限るとしているが、満員状態。国有地のど真ん中に何の利権なのか私有地があって、それに限られた人間相手だけに小屋商売をやらせていて、その他大半の面倒くさいことは近隣の三伏小屋任せというんでは、どこかの駅前の商売と変わらない気がする。そういう個人営業じゃ自然保護がダメだから国立公園になっているわけなのだが、理屈が通っていない。しかも登山お疲れ様の姿勢一つないわけの殿様商売なのだから、見かけただけで目が腐る。この小屋見かけでは35年前から一つも進歩していない。


塩見岳頂上間近まできて、西峰がすぐそこになった頃に、やっぱりどこからでもどこからでも目立つその山が雲海の上にぽっこりと頂上だけ頭だしてますよ。塩見岳もここまで来るもっと下は部分的岩稜で、黄色いペンキマーカー頼りに登ってくるんだけど、写真で見ると上部は穏やかだねえ。天気が良かったことがなによりですよ。


どんどん上を目指す。塩見岳に来るのは4回目かなあ〜なんて考えながら、双耳峰の両方に登るが、小雨パラパラ。休まずに戻るが、逆コースで歩いたのは初めてかなんて笑いだす。1時間下ってまた晴れる。小屋の近くでラーメン。こまめにコンロを取り出しますよ、今日3回目。夏山はそのくらい、飯しか楽しみないからねえ、ラーメンの後に紅茶。


塩見岳東峰から北方面の風景なのだが、中央どかんと大きいのが間ノ岳なのだが、三山の中でこれが一番大きいと思っているけれど、二番目で主体性がないと扱いがいつも小さいのが気になる。やっぱり高くないとダメですか? その右手前が農鳥岳ですが、この山にどうしようもなく執着するのは、奈良田の方から大門沢往復だけで高度差2000m登ったことがある人でけですね、普通は、縦走だけだとこんな山忘れます。左一番向こうに白っぽい峰が甲斐駒で、その左へ稜線は仙丈岳。残雪もなくて、どん牛のようにでかいだけの南アルプス。



塩見岳頂上から手前蝙蝠(こうもり)岳と、遠景富士山。塩見岳から蝙蝠を往復しようというプランは高校時代の山岳部にあったのだが、どこかの学年はそういうことを平気でやったらしいが、往復4時間を思うと、高校生の頃は皆若かったなあなんて思う。今ではこの蝙蝠稜線を通って二軒小屋まで登山道があるらしいのだが、誰がどういうふうに登るんだろうか。のぺ〜っとした円錐上の山容は、こんなにも穏やかな山は他にないだろうと思ったが。


昨日の夕焼け頃からずっと晴れているようですねえ。甲斐駒のガレた白い山容はよく目立つが、そこから稜線で続いているのが仙丈岳。そのまま間ノ岳まで稜線は続くが、その向こうに北岳は頂上部だけこちらからは見える。その右に農鳥岳。反対に南方面は、三伏峠の向こうに大きく二峰みえるのは、左が悪沢岳で(そうこの山のことを荒川東岳と言うようにしようとする動きもあるのだが、どうにも馴染まない)。右に荒川前岳や中岳。コルを挟んで峰は大きく独立しているような感じだ。赤石岳はその向こうに隠れて不明だが、むしろその向こうの大沢岳とか中盛丸山辺りが目立つ。すべてがよく見える。中アから北アまで見える。
 さて下りは、五右衛門山からの下り一辺倒の道に入るまでに、さらに1時間もかかる。ようやく樹林の下りに入る。5時間で登った樹林が2時間40分で下れたのだから、膝が痛いとはいえ、今シーズンへのリハビリもまあまあだろうか。


西側斜面の夕日が相当傾いて、あと5分もすれば日は山の斜面に隠れるという真横からの夕日は好きですよ。急がないと真っ暗になるけれど、急げるわけがないから夜中に下山する(大げさ)のも覚悟するという暗い雰囲気になるし、オレンジの日ざしが今だけ綺麗に見えるとか、デジカメは後でオレンジに色くらいは付けられるけれど、それが写真や映像のインチキなんだけど、現場でその気分を急ぎながらしっかり味わえるというのは、そう何度も経験することじゃないよね、しかも自分一人だというのが、余計寂しさを助長するわけで、M系好みではないけれど、嫌いじゃないんだね、こういう気分は。


 夕方は何時に暗くなるのかと思ったが、5時半に日が向こうの斜面に消えて、6時に足元が真っ暗になって、また夜になった。ライトに頼ってでも30分ほどで河原に下山した。しかしまたもや、高巻き登り口が分かりにくくて、これじゃ知らん人は迷う。林道に出てからは1時間歩いてPへ。やっぱり登山道と言うよりもボッカ道であって、取り付きの案内はわざと不明にしているのかと、疑う。事故が起きてからじゃ遅いけどね。
夜になって日帰り温泉すべて営業終了で、自宅戻り午前3時にようやく風呂。高速千円になって深夜でも道も混む、マイカー族の事故も多くて困る。