2009 Winter        トップへ




谷川岳 08・12・13 ガス〜薄日 ☆
天神平740〜熊穴小屋840〜1650m1000〜下山〜熊穴小屋1020〜天神峠1100〜天神平1120

 夕方から群馬藤岡で宴会ために、近くの谷川にいく。
 やはりというか、この1週間降雪もなくて、雪は少ない。2週間前に降った雪が残っているくらいで、それでも天神平の積雪は30センチとは、スキー場情報とおなじ。夏道をつぼ足でいく。
 まあ、降雪がないといっても、標高1500mだから、1日2センチくらいは降るのかも。1週間前のトレースが新雪に隠されながらも残っている。この時期でも、雪訓に入っている団体が多くて、6人とか10人が8パーティくらいいる。こういうレトロ感が、谷川のいいところ。(しかしなあ、ここのロープウェーの東武は高いぞ。往復2千円に駐車が1千円。八方尾根なんて駐車無料に往復1600円だから、人は八方に集まるよねえ。でも八方で雪訓なんて見たことないぞ)
 1時間で熊穴小屋に一番で着いて、少し休んで上に行く。部分凍っているからアイゼン。小一時間登るのだが、ガスの中に入った。視界が相当悪くてねえ、こんな日に登ってどうするんだという気分になって、さっさと諦めて下り始める。でも後続は登って行くよ。

天神尾根1650mから。下に熊穴小屋の小さな屋根

 熊穴まで戻って、ここで大休止して、今日はスキー担いで登って、担いで下って、いったい何なんだと思ったときに、うん、ここからスキーで下ろう。しかもこの夏道は整備が悪くて、頭上にコブシの枝が50か所も邪魔して、スキーがぶつかって仕方がない。あんなの、電動ソーで切り落とせばいいのだが、案外自然保護とか言って、切る勇気ないんだろうか。もしくは東武は不景気だから、登山道整備も手抜きかね。
積雪40センチ程度の細い夏道でスキーをはく。案外転ばないで進めるのだが、登り返しで汗流し苦労すると、歩きに抜かれる。ほとんど遊び。
 少しで天神峠へ登る道と別れるが、ここでシール着けて上にいく。わずかで登りで、スキー場のトップ。ここに雪訓テントも3張りで、斜面で滑落停止なんかやっている。東京雲稜会という怖そうな名前も見える。そこからオープンしていないバーンを一滑りで、ロープウェー駅へ。その頃になると頂上付近に薄日。
まあ、ガツガツしないで条件のいい時だけ滑ろう。週末雪上散歩になったことだけは、確か。



八方尾根 08・12・7 快晴無風 ☆☆☆☆
 黒菱840〜八方池1000〜丸山上2570m1210〜下山〜1230〜休憩〜兎平1400

 前日大寒波だったという割には大して雪も降らずに、しかし春のような移動高に恵まれて、上に登ったのは50人を下らない。
 ゴンドラとリフトで黒菱へ。すでに上に向かうパーティも出ていて着いていく。最初のケルンの辺りから皆右側へ滑り込んで、100m滑って登り返すなんていうのが流行っている。

最初のケルンから右へ滑り込む

八方池を通過してその上まで、ラッセル。昨日の降雪は30センチくらいな感じ。
 少しいってまた追いつかれたから休憩。8人のパーティになって、丸山下まで行く。そこから上、またラッセルになって、二人で丸山上まで。

中間2200m辺り先頭ラッセル

さらに稜線を進むかどうか、風も出てきたし、稜線エッジ気味で、もう辞める。
 下りは、登りトレースを左右に振りながら、下っていく。過去何度か八方尾根には来たが、最高到達地点。丸山下で無風というのは、珍しい。

最高到達 右奥唐松頂上

 登ってきた連中は、適当に左右の斜面を滑りこんで登り返しているのだが、そういうの見ながら下る。やはりこの尾根は、恐ろしくなだらかで、鈍牛のようだと再確認。

丸山からの斜面


針ノ木谷 08・11・29 快晴強風 ☆☆☆☆
扇沢620〜大沢小屋720〜マヤクボ出合い915=940〜下山〜休憩〜P1040


朝日が差し込んできた林道歩き。鳴沢岳辺りか

 先週の記録で、てぬぐいオジサンが、針ノ木がパウダー三昧だに影響されて実行。本日単独が5人入る。夜明け前からガンガン登る人もいたが、明るくなってスタート。雪が多いならと、土産物屋の裏の春ルートから入ろうと思ったが、さすがに藪こぎで敗退して林道から。しかし改めて、10個以上の堰堤襲撃受けて、複雑だなあ。にも負けずに、的確に林道から本流に入るトレースがついている。
 大沢小屋の手前から本流に入って、堰堤上手に巻いて、小屋の向こうからはやはり豊富な新雪。しかしすでにこの時期新雪雪崩も出ていて、昨日20センチくらいの降雪があったと思われるが、その間にも雪崩れて、新雪デブリを越えていく。本流もほとんど埋まっていて、上越なら1月の感じがする。
 実はノドのゴルジュがこの時期に本当に埋まっているのか、とても心配だったのだが、ちゃんと埋没していた。昨年秋にここを下山したときには、雪渓が崩壊して、谷底からブリッジまで10mもの滝があったように記憶するのだが、それが11月の降雪と雪崩で埋まっているなら、なんだかカルチャーショックである。すでに5mを越えているのは確実だと思われる。

ノドを越えた上部標高2100m当たり。付き辺りがマヤクボ出合い。稜線に雪煙が上がる。

 その喉もトレースどおりに越えていき、さらに緩傾斜が続いて、小屋から2時間足らずでマヤクボ出合いについた。谷の中にいるというのに、こんなところでも風が強くて寒い。上部に雪煙が上がっている。夏には小川が流れて休憩には静かでちょうどいいところなのだが、何もない出合いは、休んでいるだけで、なんだか雪崩そうな気分に悩まされる。しか疲れた。私のファットにはクトーもないし、これ以上は敬遠。今日はここから下山。でも出合い2250mから扇沢1400まで滑れるわけだ。他の人はさらにガンガンマヤクボに入っていくのだが。

ノド上部から、明らかに新雪デブリ。団子をよけながらいく。

 下り始めると、やはり気持ちがいいパウダーが緩傾斜帯は続く。11月にこんなスキーをしたのは始めてだ。200m降りるとノドの入口だが、改めて左からの雪崩で埋まっていたのだなあと気が付く。小デブリをガタガタ転ばないように越えていく。ノドが終われば、登りトレースに入って加速、出て減速。まだ午前10時。谷には日も届かなくて、雪もひんやりしたまま。大沢小屋の辺りでようやく谷に直射が差し込んで、こうなるとほとんど気分は4月の。林道合流してからはそのままで、駅の裏側に出た。

急斜面も終わってひと安心。

 初冬の雪が少ないシーズンに、谷で滑るというのは新たなアイデアなのだが、やはりすでに新雪雪崩がかなり頻繁であろうと思われて、上手にクリアしていかないと、案外春の谷よりも危険が大きいかと思う。明日で扇沢も閉鎖。また4月に来るからね。



雨飾山 08・11・15 晴れ ☆☆☆

キャンプ場P600〜荒菅沢710〜山頂1000=1100〜下山〜荒菅沢1200=1240〜P1400

 明け方二度。寒いのに雪が降らずに、前からの雨飾へ入沢君と行く。今秋は、妙高にも行ったが、思えば妙高からは雨飾が見えずに、従ってここからも妙高が見えずに、見えないというのは、雨飾が低い山だからで、妙高、火打、焼山からは500mも低くて、いまさらこの山へという失望感はなきにしもあらずだったのだが、行ってみると先入観は打ち砕かれる。
 
 5時過ぎにPから単独行がヘッドライトでさっさと出かけるし、客は少ないがでも、人気の山だ。Pから大海川の湿地帯の木道を歩いて、急坂の尾根に取りつく。今年1月にもここへ来たのだが、Pまで車で行けるし、無雪期は楽だ。急坂を少し登ると、ブナ緩斜面のトラバース道が続く

荒菅(あらすご)沢へ下る斜面からの上部布団菱の岩峰群。頂上は左端奥で見えない。

。登山道は荒菅沢へ一旦下るようになっていて、この下りに嫌悪感もあったのだが、何と上から河原がよく見えるし、明るい展望で予想とは案外違う。その北斜面の下りに雪が凍って残っていて、注意する。
 河原の奥に、おお布団菱という岩峰群が見える。怖い危険だと聞いてはいたのだが、河原の源流はその岩峰の中に消えているのだが、傾斜は案外緩い。初冬にここを滑った人もいるらしいが、さほど困難でもなかろうと思うし、残雪期にはグリセード遊び地帯でもあるらしいし、聞く話と見るものは大いに違う。
 しかし雨飾というのは、この荒菅まで来ないと、本当の雨飾じゃないなあと、改めて思う。冬に、ブナ斜面だけを登って滑ったのだが、んなものはただのブナ緩傾斜だけの山で、それが雨飾だと思っていたことに反省。
 飛び石で渡って、脇の急な尾根に登っていく。

河原を渡って対岸登山道を登ってい行くと、その布団菱の岩峰の北側斜面に、けっこう雪が残っていて、なんだかコップ状岩壁に似ていると思えてきた。頸城山群の奇怪な山の最高峰の資格十分にあり。この辺りまで海底火山だっか。

岩峰北側に雪も付いていて、見ながら登るのは面白い。急坂を上がっていくと枝尾根に出て、さらに登ると、向こうに低いコルから登ってくる金山からの尾根に合流して、笹平の平原にでた。上部プラトーである。何でこんな尾根上に、これほど間抜けな平坦地湿地帯があるんだろうか。

上部笹平平原からの雨飾頂上風景。こんなおかしな格好の山でした。中央ガレの右尾根部分を、10センチの凍り積雪の踏み跡登って行きますが、午前中だからまだ滑りやすい。下りアイゼンでしたね。

 案外長くて、20分も平地が続いて、頂上直下にでる。そこが荒菅沢の源流で、そこから100m登ると、二こぶラクダのような頂上に。双耳峰というのは間違いで、せいぜい猫の耳二つ。もしくは井上和香の厚い唇の横顔風景。
 午後から曇りだというが、展望は続く。北アは白馬、雪倉、朝日が白い。焼山も白くて、高妻辺りはまだ黒い。だが、足元の、頸城駒から昼闇山への稜線とか、その稜線上の鋸の向こうに、阿弥陀岳が重なって見える、頸城岩峰群の方が、なんだか面白い。雨飾は妙高群の低山じゃなくて、頸城岩峰群の最高峰という意味で、面白い山だ。

北ア方面は雪が白い。中央は小蓮華から白馬への稜線と、右に雪倉岳。


下りの笹平と、向こうは白い焼山、その奥に火打山。手前右のもっこりは、金山と天狗原山。



雨飾を麓から遠望するというのは、難しいんですよ。つまり見えない。上部笹平の平原の上に、もっこり頂上があるだけだから、よほど遠くからじゃないと見えない。小谷からだと村営温泉からないと見えないわけで、それより近づいてしまうと、もう山頂直下までいかないと見えない。というわけで、この山とは、こんな奇怪格好しているとは、下山して初めて分かる。

 1時間休んで、道を戻る。荒菅で昼飯にして、戻る。パラパラと客とすれ違う。Pから4時間で頂上という近い山なのに、雰囲気は奥深かった。そうだ有名な栃の樹亭は、廃業していた。村営山荘がシーズン最終営業日で風呂に入る。乙見峠がまだ開いていたから回ったが、しかし近道というわけでもなかった。




上越・エビス大黒ノ頭1888m 08・11・2 快晴〜高曇り ☆☆☆☆
川古温泉P510〜林道終点700〜赤谷川渡渉点830=900〜稜線・毛渡乗越1140=1200〜エビス大黒ノ頭1330〜避難小屋1400=1420〜仙ノ倉1500〜平標〜山の家1640=1720〜林道1810〜元橋P1920


 エビス大黒ノ頭に行きたいと言うと、何で?と言われて30年が経過して、赤谷川の川古温泉からの入山にしても、食わずもの嫌いでイメージが悪かったのだが、冠雪を迎えて谷口くんと勇気の入山。車一台を下山用に、評判最悪の苗場ふれあいの郷Pに置くが、何とPが今年から有料になっていたが、深夜につき無視。
 もう一台を川古温泉に回して、暗いうちから出発。満点の星空を歩く。間もなく夜明けになってきたが、何と予想は破られて、こちらの林道は上空が開けた明るい林道だった。紅葉もまだ残っている。
 そして林道途中からは、雪が被った稜線が見える。三角形にとがった山こそ、目的のエビス大黒頭。あそこまで登るのかと思うと絶句。

 林道終点で、左に二分していたのは支流の金山沢なのだが、そちらの方が水量が多いくらい。そこからの本谷トラバース道は、やはり歩きにくい。ようやく渡渉点について、持ってきた長靴を使って堂々と渡る。よく探せば飛び石もあったのかも知れないが。

渡渉点近く対岸の支流男滝女滝。登行意欲を湧きたてられるものだが、若いうちならと、オヤジ感覚。部分的に空中をとんでいる水と、よく見れば、ははあ、逆層のスラブでござんすよ。

 そこから沢を4本くらいトラバースするのだが、下部の滑った岩はやはり谷川特有で、登山道といっても、なんだか緊張する。3本目のかれ沢の横断辺りで大休止。
 さらに進んで尾根に上がると、上部が思いっきり開けて、気分がいい。こんな難路となっているところでも、しっかり下草が刈られていて登山道は整備されている。ただ急登で疲れる。しかも直射を避けようがなくて、寝ころんでも日焼けする。ようやく縦走路の毛渡乗越に出たのは昼近く。天気がいいのに誰もいない。

地図で見れば、ただ破線で直上している渡渉点から毛渡乗越までの道なのだが、上部は案外群馬側のカール地形の明るいところで、万太郎の東俣頭から後ろは小出俣、左はエビス大黒手前の岩稜まで大きく見える。雪を被っているのは、東俣稜線下部の岩峰群


毛渡乗越先からの、左エビス大黒、右仙ノ倉。仙ノ倉の雪の斜面から右下方面へは、シッケイの左俣とされるスキールートですねえ。

 主稜線はやはりかなり風が強い。雪は10センチくらい積もっている。目的のエビス大黒へは300m登る。へとへとで登って、向こうに100m降りてドラム缶の避難小屋に入る。

小屋辺りから振り返るエビス大黒は、群馬側が見えて、雪がついていますねえ。でも朝見えた雪は昼過ぎには案外融けてしまっている。登山道に10センチくらい。この細い稜線と、300mもの登下降が、上越稜線の魅力ですね。


思えば上越稜線のドラム缶小屋というのは、全国でもここだけの特産品で、わずかな平地に、強風と積雪に耐えるように考案さえたものだが、40年くらい前に建てられて何度も改築されてきた。ここと、大障子、オジカ頭にあるが、毛渡乗越にもあるはずなのだが、保護色だから遠望で探し出せなかった。笠にもある。
 小屋でカップラーメン食べて出発。ここまでくればどうにかなるとは思ったが、午後の3時を過ぎてもなお登っているわけだから長い。しかもやはり天候は下降線でガスが湧いてきた。午前中だけ晴れればと思っていたが、まさに予想的中。なだらかに仙ノ倉を通過するが、ガスの中になった。そして平標を下る。群馬側の道に入ると、風がやんで暑くなる。夕日が低く差し込んで、ガスの中にブロッケンが沸く。

よく撮れません

 膝の痛い階段下りで新築された山の家。無人だったか有人だったか、オジサン5人組が母屋で宴会していて、隣の離れで休憩。また湯を沸かしてカップトン汁。
 暗くなってライトで下るが、ここからの下り遊歩道はものすごく整備されていて、日本一歩きやすい。400mを40分ほどで下って、あとは林道を歩く。途中別荘の中に入るが、どうも別荘迂回の道もできたらしいが、これも登山客が別荘私道に入り込むなという、そこ意地の悪い湯沢の田舎者の考えで困った。