2004 Winter      トップページへ




平ヶ岳2142m
2004・3・27快晴 ☆☆☆☆☆
戸倉スキー場400MTB〜津奈木橋530〜鳩待峠700〜山ノ鼻800=830〜猫又川1500m930=1100テント泊〜大白沢山分岐1330=1400〜テント1500

3・28快晴
テント400〜大白沢山分岐600〜平ヶ岳!!900=915(下山)〜大白沢山分岐1200〜テント1330=1430撤収〜山ノ鼻1530〜鳩待峠1710=1730〜津奈木橋1830〜戸倉スキー場1910
 

Per 平ヶ岳は永遠の山でした。もう25年前の夏でしたが、入沢君と利根川上流に入って沢登りをしようと計画したのですが、そこに上がる水長沢の出合いまでの間に敗退して、しょうがなくその手前にある、赤倉沢に入ってしまったのです。これがすべての過ちでした。
 途中の滝にハーケンが残置してあって、以前に誰かは登ったものと思われましたが、沢のツメで1泊、翌日には山頂に出られるかと思ったのですが、赤倉岳からススが峰までがやっとで2泊目。次こそと思ったものの、平ヶ岳手前で3泊目。どうしようもないヤブと身長以上の大笹にすべて阻まれて、行き先を見つけるのに、木に登って目的地を探しました。そして4日目についに平ヶ岳に登って、当時新設されて間もない、水長沢沿いの登山道を出合いに下山できたわけです。
 あの登山道は多分もう廃道になってしまったでしょう。地元の小泉さんたちが切り開いたものでしたが。話はまだ続いて、どうにか赤倉沢出合いのデポに戻ったのですが、どうしようもすることができずに、ちょうどモーターボートでそこに遊びに来ていた家族連れがいたのですが、翌日にはその船で送ってもらうことを、強引にお願いしてしまったのです。あのときの前橋の家族の人有難う。彼らがいなければ、さらにあと2日かけて、ダムの廃道を延々と歩いて下山しなければならなかったわけです。
 どうしようもなく、体たらくの山行でしたが、それでもあの山は、何か失敗でもしないことには、登れない山なのです。山スキーをやるようになって、きっといつかはと思っていました。それにしても、2万5千を縦に2枚つないで、1枚目の下から2枚目の一番上まででしょう、正気のルートじゃないことは分かりますが。

 週末が二日とも晴れの予定で、どうせなら雪の多いこのシーズンにいってみようと思っていたのです。3週ほど前に、戸倉から入った報告があって、除雪が少し進んでいるということで、ついに私も入山にMTB使用することにしました。でもバンだと前輪外さないと荷台に載らないもんで、ちょっと面倒。それに明らかに日帰りは無理なのです。1泊してもいけるかどうか。
 400星空の元戸倉スキー場ゲートをスタート。慣れないと怖いですよ。荷物も重いし、坂も急だし。途中やっぱり道が凍っていて、転びましたね、2回。でもけっこう奥までいけます。1時間以上もMTBこいでました。疲れた。津奈木橋のほんの手前まで。ガードレールにロック。
 さてスキーに履き替えて、ほんの10分でその分岐。林道は橋を渡って向こう側を登っていますが、スノーモービルの後らしいのが、川の手前登っていたもんで、それ行くことにします。雪もまだたくさん残っています。するとどうでしょう、20分ほど登っただけで、向こう側の林道がすでにこっち側に来ているのが、頭上に見えます「おお、近いんだ」と。
 そこに登る付くのに、ちょっと巻いて急登いきますが難なく出られました。その上の林道は2,3回ユーターンしていますが、ちょっとカットして、思いもかけず橋から1時間足らずで鳩待峠、早かったです。戸倉から3時間で付きました。するとここにテントから出発する学生パーティ10人が出発するところで、至仏に向うようです、リーダーが「あの斜面滑るぞ」といっています。私シール外しただけでそそくさと出発、先が長い。
 下りにはいくつかの古いトレース残っています。でも雪が綺麗ですよ。2週前に上高地いったときには、もう降雪がないようで、枝とか葉っぱで雪が汚れていてまるで夏の残雪。比べてここにはまだ雪降りますから、新雪のように真っ白。少しガリガリしているのは、しょうがないけどね。1時間で山ノ鼻。夏には大賑わいですが、今日は誰もいません。風が少しあるために建物の影に入って、大休止。ここまでけっこう順調。

休憩した山ノ鼻。右の斜面は至仏山の裾野。

 さてここから予定通りに大白沢山目指して前方左の沢に入って行きます。でも尾瀬湿原は広いです。真っ白です。視界がきくからいいようなものの、これガスっていたら完全にアウト。南極大陸みたいに広い。猫又川に入ります。綺麗なブナ林の原生ですよ。

猫又川下流のブナの原生。

このシーズンだけでしょう。ここ入れるのはね。2,3回川を横断してね、半分水、半分スノーブリッジで楽しいです。二股は右いきます。こっちだと行程は長いのですが、緩い坂が続いて楽そうに見えたもので、それに上に出ると、外田代と地図にありますが、山の中にまた湿原があるとなってました。
 さて1時間歩くと、さすがに疲れてきます。テント、コンロ、すべて持っていますから。この冬テント泊は初めてになります。冬季小屋には2回ほど。どこにテント設営しようかと思ったときに、翌日往復して下山できる場所がいいわけで、あまり奥に入ってしまうのも得策ではないということで、この沢のなか標高1500mに決めました930。疲れてきたというのが大きな理由ですが。15年前のカモシカのエスパースですがちゃんと機能しましたね。内張りは先週買ったものですが。設営して昼飯。天気良くてのどかですよ。それに絶対に誰も来ない自信はあったし。

平ヶ岳登頂のためのBC.大げさな。明け方マイナス6度。昼間のテント内プラス17度。

 昼飯食べた後に、空身で様子見に行くことにします。目的の平ヶ岳みないことにはどうしようもないし。1100出発、おおよそ登り3時間の予定です。1時間ほどで、外田代という山の中の湿原平坦地にでます。何で尾瀬にはこんなところにも湿原があるんでしょう。芸術的です。さて湿原に西側から上りついたわけですから、ここでまたUターンして北西へ進路を変えます。山でこんなことするのも何だか奇妙ですよ。雪があるときだけでしょう。しばらく平坦地を進むと新潟県との稜線です。しかし、どれが大白沢山だか分かりません。ススが峰、カッパ山、似たような山が連なって、やっぱりここも視界がいいからいいのであって、ガスはアウト。ひどいところに来てしまったというか、簡単に戻れないところに突っ込んでしまった感じです。とにかく尾根向こうの沢のツメ目指せば目的地周辺ということで、高いところに向っていきます。
 少し登ると至仏山が見えます。この山だけが目印ですよ、おおよく分かる。ちょっと右過ぎました。左へ方向修正、私は船か? 小さな尾根登りつきますが、まだ目的稜線はその向こう。トラバースして次こそと尾根に出ましたが、まだ違います、その向こうにまだ稜線見えています。ちょっと愕然としますね。向こうの尾根と手前の尾根が雪で重なって繋がっているように見えるわけです。いよいよ3度目今度こそ大白沢山の左コルにでました。テントから2時間半、けっこう時間がかかります。それにこれは明日の偵察で本当によかった。当日だと、勘違い尾根の愕然で果たしてどうか。そこから20分ほどでついに尾根の分岐ピークにでます。山頂に小さな雪庇もっています。至仏があれで、向こうの烏帽子岩みたい山頂が会津駒で、燧は雪が少しで黒くて、それで正面のぬぼーっとした火星人の頭というか、タコの頭の真っ白は何だと思うと、なんと平ヶ岳。象の鼻と両耳のようにも見えます。それにしてもやはり異様に平たい。以前山中彷徨ったときに、100回は見たはずの山でしたが、全然風景違います。間違っているんじゃないかと思って何度もみても、やっぱり平ヶ岳。妖怪のような形してます。

大白沢山、西、分岐ピークからの平ヶ岳。ここまでこないと山容見えません。山頂が象の頭。手前稜線が鼻。左右に大きな耳、左耳の延長が水長沢の尾根、その向こうが大水上山へ続く、利根川源流の尾根。美しい。

 地図上ここから目的地までは、ここから至仏と同距離4キロ。果たして4時間でいけるか、明日は晴れるか。今日が最後かもしれないと、写真取り捲りでテントに戻ります1400時発。下りは早い。自分のトレースが頼りになる、ショートカットして1時間でテント。明日の出発は4時にします。5時ですでに明るくなりますから、その前1時間くらいが限度ですよ。それ以上だと暗さ敗退してしまうことがあります。時間はたっぷりあるのですが、夜なかなか寝付けないですね。ちょっと興奮していますか。午後11時くらいからうとうとして、2時半起床。4時出発。
 満天の星空で今日は昨日よりも天気がいいという予報は本当でした有難い。雪明りも何にもなく、真っ暗。それでも自分の2本のトレースがあって、それ頼っていくというのは快感ですよ。一人で極地法やっているのかと。6時、昨日の最終地点。順調です。さて北へ向う尾根に入ってすぐ、心配していたようにスパッと両側キレ落ちたピークにでます。クラストにシールが張り付いていくのですが、でも心配で戻って、アイゼンつけます。仕方ない。ピークの向こうも雪庇の痩せ尾根続いて、そのまま樹林との境目辺りを下っていきます。20分くだってまたスキー。いよいよ広々してきました。

平ヶ岳の稜線に入ってから2度めの痩せ尾根。東側に小さな雪庇。だんだん山が大きくなってきました。

クラスト斜面にアマガエルのように、ピッタリシールは気持ちがいい。一山上ると、だんだん目的地が大きくなってきます。なんだかドキドキするなあ。そういう登山は実に珍しい。
 続いてまた一箇所痩せ尾根と雪庇の下り。でも雪庇そんなに大きくないし、2m横をずうずうしくそのまま進みます。

痩せ尾根を振り返る。

少し雪も融けてきましたが。また1個ピーク越えると、さらに平ヶ岳大きく。ここでも錯覚でその向こうから最後の斜面に見えてきました。右の山は何だろうと。でもその先いくと、右の山登ってから最後の斜面でした。象の鼻の部分を登ります。引っかき傷のように見えるのは、直射で融けた斜面の雪が強風で荒れているのでしょうか。ちょっと珍しい。

平ヶ岳に大接近。

 その最後の斜面も、シールがうまく張り付いてそのままどんどん。いよいよ頂上です。まっ平で何もなく。山頂にポールが1本立っているだけ。ここは運動場ですよ。

平ヶ岳頂上には雪面から1本だけポールの先が覗いていました。あとは何もない雪原。


一回りできます。でも風が急に強くなって寒い。鷹ノ巣方面はなだらかです。おお目の前の丘陵は池ノ岳の尾根で、沢は中岐川で左に流れているんですか。家に帰ってから分かりましたよ。何しろ風が強くて。会津駒は遠くなってしまったし、逆に越後見えますよ。利根川の源流の大水上山が分かって、繋がっている兎岳、中ノ岳、さらに越後駒。この辺りは真っ白ですよ。会津とは積雪が違いますねえ。でも何故か、奥利根湖が一切見えない。後立山からは黒部ダムが綺麗に見えるのに、奥利根湖を望める山はないのか。25年振りの課題達成です。

中央の二子山に見えるのは、左中ノ岳、右越後駒ケ岳。中ノ岳手前に重なっているのが兎岳。その左に大水上山。その稜線がこの山頂まで繋がっています。目の前右の丘陵が池ノ岳のなだらか稜線。

 さて15分ほどして下山するのはいいのだが、なんだか慎重にアイゼン付けたくなって、シールで登ってアイゼンで下山などあり得ますか。滑ったら止まらないようだし。分岐から片道3時間は順調でした。でも帰りは怖いという格言どおりに、雪は腐って疲れも出て、もう開き直りにのんびり歩行です。くるときにアイゼンつけたピークもやっぱりアイゼン。痩せ尾根に2m内外の雪庇の波が5個くらいありましたから。行きと同時間かかって12時分岐到着。さて平ヶ岳ともここでお別れです。往復6時間とても楽しかったよ。
 あとは一気に下山といっても、途中の川割れに入り込んで、水ガブのみしたり汲んだりして13時半テント。休憩・撤収で14時半出発。下ってみると湿原は週末のスノーモービルで雪は大荒れ。どうもねえ、鳩待までヘリで入山して、ブナの観察とか大学の先生とか来るんでしょう。それの東京電力もいまどきはモービルで入ってきます。鳩待に登り返しで峠に17時。薄暗いです。トレースも増えて、つぼ足2人もそこから林道へ下っています。学生10人部隊のスキーも同様。でもその林道もモービルが真ん中走行していて、日影はすでにガリガリ状態でエッジ機能はゼロ。ちょっとひどいなあ。モービルは道の端っこ走ってくれよ。積雪期の国立公園とはいっても、モービル運ちゃんは乱雑、東京電力も乱雑。でもトレースあるものの、山ノ鼻にテント1張りあっただけで、すべて夕暮れにつき宴の後で誰もいません。奈津木橋で18時夕暮れ。林道忠実にきて時間かかりました。登りと同時間。またまたMTBはヘッドライトで入山も下山も夜でした。1910分車デポ。でもここ歩いたら2時間以上かかるでしょう。MTBでも30分でした。この時間から温泉とラーメンビール。帰京は翌日午前5時。好天に恵まれてシーズン最高のツアー・クライミングとなりました。感謝感激。




上高地〜一ノ俣上
2004・3・13 晴れ☆☆☆ 
坂巻温泉上500〜河童橋800=830〜明神1030=1100〜徳沢1230=1300〜横尾1400

3・14 高曇り
横尾500〜一ノ俣出合い先700(下山)〜横尾800=900〜明神1030〜大正池1230〜車デポ1400

Pre 下チビが高1の春休みで、山行に付き合ってくれることになって、先月天候不順で失敗した上高地なら適当だというわけで、同行する。その先月に「徳沢園」の小屋が越冬していて、宿泊できると聞いていて、それを採用しようと思って、出発の2日前に試しにと、電話したところ「満室につきダメ」といわれて、これに唖然。「どうして」。予約制になっているし、3月は上高地も込むもので「満室」というわけ。冬季小屋20人宿泊程度だと思われるのだが、これにもちょっと圧倒されて出発。

 坂巻温泉上の適当なところに車を止めて500出発。徳沢園がダメとなって、横尾の「冬季無人小屋」を目標に、チビとそれぞれシュラフ、私は用心のためにテント。徳沢満室で横尾も満室だったらどうしようというわけ。さらにコンロ、コッフェルなど、まさかの雪洞用にスコップなど、久しぶりの2人テント泊のために、ザックも多少は重いが、気は軽い。
 やはり釜トン入り口などでは、バスツアーの客を降ろしていたりで混雑。釜トン出たとこで、雪が先月よりも少なくなっていて、まあしょうがない。スキーは履いたが、しかし驚いたのは、人為的なハザード。明神で通年梓川の底さらいの工事をしているとかで、釜トンの出口から明神までクルマで入れるように除雪されているのだが、この道が、通行するクルマに圧雪されて、完全にスケート場のように、凍り付いていた。直射で融けて、それがガチガチに凍り付いている。ツボ足でさえまともに歩けない。どにかく山では人為的な行為が最も怖いものだ。
 一般道を帝国ホテルに向けていくが、その除雪道がピカピカに凍り付いていて、本当に始末が悪い。大正池の堰堤先で、一旦除雪が終了してよくなったが、すると今度は、先週からの大勢の歩行者の歩行圧雪で、またまた雪がガチガチ。あれは日に当たっても、融けないんだね。10日間くらいは、上高地は降雪がなかったんですよ。これ以降もないか。どうにか帝国ホテルに着くが、ここでまた林道が合流していて、氷漬けの道。頭にきて、大正池方面樹林に入って、どうにか河童橋。ここまで3時間。
 数パーティ前にいたりしたために、橋を渡って向こう側で休憩。その後そのまま明神目指す。ところがやはりこれが悪かった。こちら側の林道もスケート場状態で、歩行できず。樹林に入って夏道などにそって進むが、途中で雪で道も分からず、ワサビ沢とかけっこう梓川から沢が明神岳方面に入っているんだね。その度に、迂回路探したりして、私たちなんで上高地でルートファインディングしなくちゃいけないんだと。どうしようもなくて林道に出たりすると、そのスケート場で悪戦苦闘。明神池に出るまで2時間。あり得ない時間のロスでしたよ。

明神池ほとりで。我が家の下チビ高1と。よくもオヤジの趣味につきあってくれました。

 池のほとりにしても、踏み跡はたくさんありますね。先週のものです。嘉門次小屋では除雪のクルマが入っています。最近のスタッドレスはスケート場でも走るわけでした。明神からまた橋渡って戻って、一般路沿いをいきます。しかし、徳沢までの間に妙な高巻きヶあって、そういうのも意外です。河原に降りたとしても、流れで積雪が切れていて、急斜面登らなくちゃいけないところもあるんです。1時間半かかって、徳沢到着。
 そんで恨みの「徳沢園」によってみたんですよ。「やっぱり満室?」「ああ、電話した人ね、電話でもいったでしょ」だって。無愛想。「本当に来たんだね」くらいはいえないかねえ。「団体客、もう到着しているの?」「いいえ、まだですが」。午後1時過ぎですよ。私ね、今でも正直に「本日満室」はウソだと思っています(後日談;この週末に徳沢に泊まった人がいて、確かに土曜日には10人パーティが2組はいって、満室だったそうです。午後3時到着だったそうです)。だって明神以降は極端に登山者少ないし、踏み跡ないし、それに夏山だって、宿泊拒否しない時代に、冬山で前日に電話して「泊めない」など、変ですよ。素泊まりですよ。見た感じ、20人以上は泊まれそうな感じだし、私たちたった2人ですからね。「はいはい、横尾行きますよ」と捨て台詞。

梓川本流が埋まっている徳沢の新村橋の真下。こういうときに本流歩くというのも、楽しいものです。

 ちょうどここからは本流も埋まっています。新村橋はその真下通行できて、とってもいい感じですね。こうして梓川の真ん中歩くと、この辺は広いなあと再確認です。一般道は隅っこをコソコソ歩いていますからねえ。スノーモービルの跡がありますよ。追い風だし、実にスムーズに1時間で横尾到着。午後2時。すでにこういう時間では宿泊の準備に限ります。冬季小屋も、綺麗になっているし、隣にトイレもあるし、なんと小屋に水場がありますよ。さっきの徳沢の冬季管理人がモービルで来て、綺麗に管理しているんでしょう。怒ったけどまあ許しましょう。それに私たち二人だけ。心配は杞憂でした。当ったり前だけど。

風の強くて寒い日に1泊お世話になった横尾の冬季小屋。なんと右の木の下に、水場があって感動しました。

 それにしても冬季小屋というのは、一番寒いです。テントはまだ暖かいし、雪洞はなおさら。しょうがないけどね。飯食って5時に寝たけど8時に目覚めて、チビと紅茶飲んだり、もう一回熟睡できたのは12時で、3時半起きにしました。
 翌日は高曇りで、ちょっと期待はずれだったのですが。槍沢方面を目指して、意欲満点でしたよ、出発時はね。500出発。でも流れが、期待はずれで出ているんです。槍見河原までの間でも、夏と同じように高巻きあったし。一ノ俣出合いの橋もちゃんと見えます。その橋渡って、さてその次です。

槍沢の一ノ俣出合いの橋。このあたりでも橋を渡らないと、沢を横断できません。雪が少ないのが残念。

夏道のトラバーズが急斜面になっていて、これってどうにか一旦沢を横断しなくてはならなくなって、ちょっと危なく流れをまたいで、向こう側に行くことには成功。その先、再び戻るときに、ついに飛び石渡渉になりました。私靴だけ一瞬水被って渡れたのですが、どうにもチビが自主性を発揮して、別のルートを行くと。従わせずに好きにさせたのですが、やはりというか途中で行き詰まり、戻ることになって、そこでこけて尻まで濡れたのです。そこで一気に「敗退宣言」。「勝手なことして馬鹿やって、自業自得だ。尻まで濡れて冬山いけるか」と。多分チビは反省だと思うのだが。横尾から2時間進んで、けっきょく槍の稜線はやや曇っていて、一度も見る事もできずに、敗退です、残念。もうちょっと、二ノ俣を過ぎれば、後は雪渓どうして、何も問題はなかったと思うのだが。
 それにしても、このあたりでも流れが出ていたというのは、当てが外れてしまった。帰りは早くて1時間で横尾。そこで早い昼飯にして、さて昨日のルートをどう上手に戻るかということです。新村橋までいって、そこから対岸に上がることにしようと。除雪されていない林道があるからとね。それで明神で橋渡って、一般道合流という計画です。9時出発。寒かったけど、しっかり1泊お世話になりました。
 下山の道順は正しいようですね。林道はしっかり樹林に埋没してますが、やっぱり分かります。それに日曜だから、スノーシューの団体が、わんさかいてありこちにトレース山盛りです。明らかにもう観光シーズンって感じだね。明神で再び戻って、上高地へ。そして川沿いの遊歩道にそって大正池へ。そこからまた氷付けの道へ。ところが今日一日で200人以上がこの道を往復したのでしょう。スノーシューのスパイクが氷を刻んでくれて、いやそれにしてもなんでツボ足OKの場所を、スノーシューで歩いてくれるんでしょうか。最近のブームというのは。そのおかげで、氷の坂も登れるようになって、なんと釜トンの直前までスキーでいけました。予想外のラッキーなのです。

帰りがけ大正池からの焼岳。山頂から噴煙が上がっていましたよ。やはり活火山です。

 14時クルマデポ着。行きは9時間もかかったクルマ〜横尾を帰りは5時間。だよね、そのくらいでいけなくちゃね。にしても上高地というところは、スキーやりにいこうと思うと、難儀なハザードがたくさんありますよ。そう明神では本流の流れも全部埋めて工事してました。本流の水は地下水になっているようです。梓川もかわいそうです。


奥秩父・大弛峠
(おおだるみ峠 2360m 国師ヶ岳麓)
2004・3・7 快晴〜雪〜晴れ ☆☆☆ 山梨牧丘町柳平ゲート330〜桜沢出合530〜アコウ沢出合700〜大弛峠・小屋1030=1100(下山)〜桜沢1240〜ゲート1400

Pre 私は山に登りに行ったのか、小屋を見に行ったのか、まあいいでしょう。昨年のちょうど今頃、途中で敗退してしまったツアーに出かけます。ただし、今回雪があったのは、ほんの偶然だったのですけれどね。冬型で大体の山が荒れてしまった本日、季節風の影響受けない山にいこうと思ったわけですよ。

 昨年は、同じ3月の来週あたりにここに来ています。今年また着てみると、やっぱりというか「雪がない」。しょうがないですが。それでも新雪が林道のアスファルトに10センチくらい乗っかっていて、なんだか12月の山みたいです。そうです、昨日ここに雪が降ってくれたのでした。もし昨日着ていたら、降雪の中さっさと帰宅していたはずですよ。
 山梨県牧丘の柳平からの林道は、昔は「峰越林道」といっていたのに、最近は「川上牧丘林道」というそうですが、つまらない名前になりました。夏はクルマで大弛峠2360mまでいけてしまって、そこから1時間の国師ヶ岳2591mまで簡単に登れます。左に行くと2時間で金峰山ですが。今日の目標は大弛峠まで林道15キロ、ちゃんと往復することです。少ないとはいっても雪もちゃんとあるし、さて気合入れて3時半にGo。
 昨年はあと1mも雪がありました。モナカ雪にてこずって早々と敗退したのが、桜沢の手前だったか。今回は、2時間でそこを通過。満月で明るいです今夜は。夜が明けて、快晴かと思っていたのですが、なにやら少し曇ってきました。南アルプスや八ヶ岳は雲の中。冬型がここにまで及んでいます。尾根の向こうの東側から出た日が、7時前にようやく差し込んできて、日の当たるところで大休止。

奥秩父・大弛峠2360m。向こうが長野の川上村、こちらが山梨の牧丘町。

 それでもなぜか今日は寒いです。この3週間てっきり春山になったと思い込んでいたのにショック。同じようなペースでさらに進んで行きますが、出発が早いと歩いていて眠くなっていけません。それに林道は単調だし。立ち止まったまま寝てしまうなんてことしていると、ペースは落ちるばかり。それでも林道のUターンの場所に来ると、峠に近くなったことも分かって、少しは元気になりますが。それに今日みたいに寒いに日は、持ってきたコンビニ弁当など全然食べる気にもなりませんよ。飯が凍り付いているし。大福食ったら、胸焼けしてしまうし、やっぱり寒い日にはテルモスだと反省しきり。10時半ようやく念願の峠にでました。大弛峠。奥秩父では有名なところなんですが。1分のところに、小屋があります。

峠からすぐのところにある大弛小屋。冬も玄関が開放されていて、宿泊2000円と出てました。雪はとっても少ないです。

 いってみると、玄関が開きました「おお、休憩できる」と。ガラスがはめ込んである玄関で、しかも玄関庇でちゃんと雪除けになっています。何もしないでドアが開くなど、なんだか奥秩父というのは、雪に無防備です。雪降らないしね。それでも稜線は膝くらいのラッセルですが。さて小屋で30分休憩したのですが、降ってきた雪がやみません。視界もあまりよくない。どうせなら国師ヶ岳に登るのが当たり前のことなのですが、その気力なし。ヤフーの予想天気でも、午前中に曇りマークがついていたんですよ。

少し下るとまた晴れてきました。春の天気はよく変わります。

 午後から晴れだろうと思っていましたが、そこまで待てずにあっさりと下山します。下りは早いですよ。でも下ってみると、なんだか山頂方面も晴れてきて「まあ、いいか」と。

下山途中からの金峰山。

 午前中の数時間の晴れで、アスファルトを被っていた雪も融け出しています。スキー持ち込めるチャンスはほとんどないんですよね、このあたりは。それでも3月にはラッセルで苦労したという報告もあるのですが。雪がどれだけ積もっているかということですね。小屋は4月末に開きますが、昨年のその頃の写真が小屋の中に掲示してありましたが、今よりやはり1m以上積もっていました。まあこういう山行もたまにはいいでしょう。



大渚山
(おおなぎやま・長野県・小谷温泉そば。1566m・南面から登行・北西面を滑降)
2004・2・28 快晴 ☆☆☆ 大草連730〜山頂1150=1230〜下山〜最終ダム1500〜阿原1600

 
 先々週オバ組みに誘われて、4人でツアー。聞いたこともない小谷温泉近くの「大渚山」1566m。これもツアークラシックルートの一つでした。最も山行の理由も小谷温泉の「山田旅館」創業400年にすでに予約済みとあって、なんだか「物騒なツアー」開始。
 快晴の予想です。気分だけはモリモリ。スタート開始880mから山頂まで、標高差700m。それに雨飾山が良く見えるその他の理由で気分だけはなんとか。
 6時南小谷スタートして、下山予定のクルマデポに、山頂から真西の阿原の部落を選択。1台デポ。もう一台に4人乗って、小谷温泉近くの大草連部落へ。ここは山頂の真南。なんだか「南の日当たりのいい斜面から上って、北西側の、さらさら雪を滑る」という壮大な行程。
 7時半、部落の他人の家の庭先のようなところから出発。緩斜面につき適当に登り、さらに林道らしき斜面も出てきて、それに頼ったり無視したりして、上の方に向って前進。

大渚山・南面。登行途中。快晴に付き景色も最高で暑いくらい。でもトップはボコっというモナカでラッセル少し。

 ここって相当日当たりがいいですよ。8時頃からドンドン上着を脱ぎ出して。それでも小谷当たりでは未明にマイナス6度くらいだったもんで、いくら春ツアーだといっても、侮れません。ラッセルも少しありますね。モナカ系で、ボコっと脛くらいまで沈みます。でもスキートップは浮いたままだから、新雪ラッセルに比べれば、OKOK。4人ツアーはトップとラストは大違いの気分で、さて誰がどれだけトップするのかが、問題です。スタートから頂上は見えるのですが、やはり700mもあると、簡単には着かなくて、最後の200mでも1時間半くらいかかります。途中大休止挟んで、それでも12時前に山頂。

わお、頂上。背景に雨飾山。まもなく南風もやんで、のんびり大休止。

 50センチくらいの雪庇がこっちに向って見栄張っていますね。乗越て頂上に出ると、ちょうど標識が雪面ギリギリに出ていて、おお雨飾が真正面に大きいですよ。これ双耳峰だといったおっさん(深田久弥)がいたけど、どこが?。右に金山、天狗原。さらに出べそのように、妙高。乙妻。戸隠のギザギザ山。やっぱり素晴らしいのは、後立山の爺、鹿島槍、五龍、唐沢、白馬三山、雪倉、朝日。大快晴につき、全部見えるのです。鹿島槍方面は、登っているときから見えましたけどね。山頂は間もなく無風になって、長期滞在。12時半になって、予定通りに北西面に向って滑降下山ですよ。

 パウダー緩斜面で快適。登った方向と逆の北西面に下っていきます。

 上部はパウダーで、残り3人は楽しいようで、20m置きに止まって写真とっています。私斜滑降。途中尾根を少し間違ったのですが、とにかくなるべく谷に降りないようにして、テレビ塔付近目指して降りていきます。そこから林道が始まっているということですよ。400mくらい降りると林道です。

 滑っている平地の末端までいって、左の谷に入ります。

 けっきょく、谷は例によって堰堤パラノイアのために、林道沿いに下山。途中でもちろん林道は斜面に消えているところもたくさんですね。ショートカットも含めて、3時前に最後の谷横断橋を渡れます。けれどその先道はダムに消えてしまって???。仕方なく少し登り返して、ダム堰堤上の平坦地にでると、また林道出てきました。なんとそこに「千国街道・塩の道」。そうです、この当たりは歴史道ですよ。その後林道少し行って、農家の果樹園みたいな緩傾斜を滑り込んで、4時デポクルマに下山です。
 下りのルート探しも面白かったし、他に誰もいなかったし、面白いツアーでした。それから入山デポクルマ回収して、予定通り小谷温泉宿泊です。翌日は雨予報でしたが、まったくその通りに、現地では雪。帰京。

Ps1 たまたま山行前に「百名山の背景」読んだんですよ。なんと深田オジサンは、女房がいて、愛人連れて、昭和16年に、この山田温泉宿泊してるんです。「おお、上等じゃねえか」。「右の耳は私の耳、左はキミの耳」だってよ。アホ。他人に言うことか?いいえ、文豪になってしまうと、火宅も上品な行為なのですだってよ、まあいいや。そのポエムですか、温泉の露天風呂の途中のウィンドウにありましたよ。でも雨飾山って本当に双耳峰か? 女連れて山頂がぶれて見えたって気もしますが。

Ps2 小谷温泉は武田信玄が見つけたということで、400年の歴史だそうです。平成2年にここのオヤジ当時87歳が本を出して、この人が19代目当主。

 小谷温泉の山田旅館。この木造3階建ては大正3年建築。本館玄関は明治だそうですよ。で露天風呂にいく別館はエレベータ付きで平成だって。

 昭和3年のサンモリッツ冬季五輪にいった麻生さんとか、友人らしいです。スキー界の草分けですね。で大正だったか、大島亮吉が松尾峠(乙見峠)越えたときも、ここに逃げ込んだとか。今はオヤジさん亡くなって、息子70?その息子40が、21代目だね。スキー選手で有名な山田さんだそうです。有名旅館だから、お客さんも多くて「白馬47」でボードやるような4人組も、記念宿泊しているんです「ほー」。けど、夕食用意している女中連中は、そういう昔の話誰も知らなくて「灯台元暗し」「ブタに真珠」ってこのことだね。
 横に資料館あったけど、19代目が遺品たくさん展示したのだろうけど、どうも解説弱くって、後2代後には消滅するね。

Ps3 「塩の道」がなんとしても、この当たりの重要文化財です。なにしろ雪の量が圧倒的に多い。日曜日下界は雨でしたが、山田旅館辺りで雪。100m登った「栃の木亭」ではさらに深い雪ですよ。わずかで積雪大いに違います。2週前に、小谷で雪ゼロだったのに、栃の木に@金沢先生が夜間6時間滞在して、その間に積雪30センチだったようで、これだけ雪が降ると、直江津〜信州の昔の物流大変だったわけです。
 それが塩の道で、千国街道の旧道というのは、直江津の根知川から、雨飾山の左のボコが戸倉山975mでその間抜けて信州に来ています。さてそこからすぐに姫川に下るのは新道で、旧道は大峠、地蔵峠からなんと私たち車デポした阿原、深原に出ていますよ。そこに私たち下って「塩の道」の標識に出会ったものです。
 さらに旧旧道は、そのまま横川登って、湯峠から小谷温泉に下って、この旅館前通っているんです。さらに林道沿いに中谷川下って、姫川にいっています(正確には、中土からさらにトラバースして、土屋川にでます)。
 そういうことも資料館に古文書みたいに絵地図が展示されていますが、現在地図と対照表がないために、私のような専門家じゃないと、分かりません=資料館不親切・親の心子知らず)。

 姫川の大糸線から引っ込んだ小谷温泉など、「なんだ」と思っていましたが、部屋に置いてあった、その19代の本で、実に様子が把握できましたよ。日本秘湯の会会員でした。スキーヤーがこの小谷温泉付近が好きなのもわかりました。積雪が圧倒的に多い。白馬の比じゃなく、こっちが多いわけです。

槍ヶ岳 新穂高〜蒲田川右俣〜飛騨沢
2004・2・21 快晴 ☆☆☆☆
新穂高400〜穂高平530〜白出沢630=700〜チビ谷出合〜滝谷出合830〜槍平930〜飛騨沢到達地点2600m1200〜下山〜槍平〜滝谷出合〜白出林道1600〜新穂高1730

 Pre この週末からは「春スキー初日」です。2週前の上高地のすでに春っぽい雪。先週の上越も、下はもうカリカリ。妙高や鍋倉高原の報告も春の雪でした。先週末に降雪があってこの数日は晴天。ということで1月のリベンジ。新穂高から槍に向かいます。

 午前4時新穂高、快晴。行き止まりの駐車場にすでに10台「そんな・・・」と心配したのだが全くの無用。写真オジサンその他でした。出発して5分で分かりましたね。トレース全くなし。最初の堰堤巻く林道が、暗闇で分からないのです。1ヶ月前に来たとき分かったの「どうして」。積雪1m増えています。林道が雪崩れた斜面に埋もれて、その斜面乗越て、はあはあ、向こうに林道の続きありました。
 でも、やはり春の雪。潜りません。潜ってもくるぶしまで。スキーのトップは沈まないし、引きずって滑らせて「この調子ならツアーは成功か」嬉しくなってきました。1時間半で林道沿いに穂高平。前回2時間半ですからね。さらに1時間で白出沢出合い。もう快適です。ここでコンビニ弁当。
 そうだ来るとき松本で気温6度。安房で−2度。東京で4月ですから、桜咲く頃ですよ。さて休んだ後どう行くか。とりあえず夏道に沿っていきますか。白出し越えて対岸少し登って、すると間もなく登山道が斜面の積雪に消えています。ペンキところどころにありますが、もう探すの面倒。@金沢大先輩の解説どおり、下ってもいいそうで、適当に本流に降ります。でも流れ出ていますよ、今年は。雪に埋もれずにかわいそうな感じだね。
 そのまま右側にそっていきますが、2箇所ちょっと変な藪5m高巻き。1時間でチビ谷。さらに1時間で滝谷出合い。なんとここきれいなんですか。どこにも雪崩れの後ありませんよ。新雪が表面解けて固まっただけだから。私ラッキーです。それに、この奥に絶対に明らかに誰もいません。9時、日が出たきました、快晴です。

チビ谷少し下流。まだ水の流れが出ています(下山から)

 でも雪面は完全なクラスト、まったく潜りません。そのためウロコで登れずにシール。おお、何という吸着力でしょう。窓ガラスのアマガエルです。吸盤が付いているように、クラスト斜面にピタッと吸着します。それに滝谷過ぎてからついに谷も埋まって、もう流れの真ん中堂々と行きます。少し急になって、南沢ですね。自然にそこに入りますよ。でもどこまでも坂で??。適当に樹林に入って槍平なのですが、そうしてみると少し上りすぎて小屋の少し上「なあんだ」。冬季小屋ありますが、どうせ真っ暗だと思って通過。

南沢樹林から槍平小屋の上部に飛び出たところ。

 それにしても、こんな快晴の別天地独り占めしていいの?と同時に、もう天候の急変では即座に対応できません、ここまで深く入ると。なんだか覚悟決めますよね。でもねえ、ロッジがあって、テラスでコーヒー飲んでいる客が大勢いてもいいくらいの雰囲気なのに、人影なし。ちょっと人恋しい。
 少し登って大休止。前回の反省から、銀マットのあの大1枚持ってきました。二つ折に広げて、尻からどっすんと落ちて、寝転がって「ああ、雪山はこれに限る」。板外して胡坐かいて、ストレッチ、ストレッチ。さて現在10時。リミットまで2時間。どこまでいけるでしょうか。槍見えるでしょか。

飛騨沢の最高到達2600mから振り返って、鏡平から弓折岳、双六岳。双六カール見えます。

 雪面まだクラストでシールピタッと効きます。効きすぎて、3分登ると立ったまま頭抱えて呼吸整えないと。そのうちにそのまま瞬時居眠り。はっと気がついて「おお、遺憾」。さすがに疲れています。2300mくらいで飛騨沢が右に折れると、おお西鎌尾根の分岐の岩峰見えますよ。その先を辿っていくと、槍の小屋見えます。が、本峰はどの三角形かというと、これが情けなく分からない。こっちからだと、槍は見えないんだっけ?見えたんだっけ?
 振り返って、中崎尾根の高度を越えて、鏡平から弓折れ、双六まで同高度になってきました。このままドンドン登れそうな雰囲気でもありますが、やはり辞めましょう、12時。大喰岳方面にトラバースするといいことあるかなあと思ったのだが、何もなし。高度2600m。シール外して下山スタート。十分大満足です。

標高2600mからの頂上方面(到達地点)。槍肩の小屋は見えるのだが。飛騨沢少し大喰岳よりから。

 下りにスキーダンゴになりますが、今回はワックス、コルク持参でとっても助かりました。@金沢さんのアドバイス、さらに今月「岳人」の菊池さんの紹介からたまたま「スキーツアー」買って、急にワックス、コルク持参思い出していました。ありがたいですよ。あの人「浦佐のスクールおかしい」と書いてあって、そういうの好きです。
 下山始めて雪も緩くなってさらに安心です。そう槍平は本流行くとちょっと急になっているんですね。夏も樹林に入って南沢越えて、変則ルートでした。思い出しました。さらに滝谷、チビ谷と自分のトレースありますからそれ頼りですよ。楽しいですねまったく、沢筋というのは。白出しの出合いは、今回出合まで突っ込んで、げげ、そこに高巻き少しあり、さらに林道まで100m登りです堰堤2個。あそこは積雪期うまく処理しないとロス出ますね。

夕刻の穂高平

 林道に上がったのが16時。遅いけどもう下山できたようなものと、さらに40分で穂高平。そこに小屋関係者のトレース2本。やっと人の匂いです。さらに駐車場に17時半。やっぱり自然圧雪になっている春が最高です。今シーズン初めての納得ロングツアーできました。

 ps深山荘の300円露天で汗流して、幸せ。でも宿泊先なくて、新平湯に素泊まり看板思い出しましたが「満員」。でけっきょく松本まで昼寝して走って、ビジネスH宿泊。明日は雨だしもう山行終了。熟睡。

鹿島槍ヶ岳 北俣本谷〜標高1900m

2004・2・22 晴れ ☆☆☆☆☆
サンアルピナP1100〜大谷原1110〜西俣沢出合1220〜堰堤2個上1250〜北俣本谷(到達点1900m)1350〜下山〜鎌尾根取り付き1400=1430〜サンアルピナP1530

 Pre ぐっすり熟睡して、ビジネスHの朝食を食らうというのん気な日曜日。ところがこの日、雨の予報だったのに、窓から見えた常念岳がしっかりと青空の下「なんだ」。といっても、さてどうすることやら。チェックアウトして外に出ると、「やっぱり風が強いなあ」。それで松本インターから高速に乗って、左が東京で右が豊科というと「ま、晴れているから、冷やかしで豊科方面へ」。ところが梓川Pを出ると、真正面に鹿島槍も、これもしっかり快晴ではないか。「天気予報がウソをついた」。特に、金曜夜のNステーション姉さんは、しっかり元気に「日曜日は全国的に荒れ模様です」。あっそ。こうしてはいられないと、鹿島槍の出合いの大谷原へ直行。そこでウンもようして、しょうがないから、サンアルピナ鹿島槍スキー場でトイレ借りることに。ところが、その駐車場の真正面にその鹿島槍、なんと大きくきれいに見えたことか。「なら、早く言ってくれよなあ」。

サンアルピナからの鹿島槍。いいロケーションで見えました。

 北俣本谷と鎌尾根分岐もちゃんとはっきり見えるではないか。昨年6月、あそこ登ったときが懐かしい。では今日のこのチャンスにも再び。別にそう慌てません。11時スタートでOK。午後2時までの3時間でどこまで登れるんでしょうか。「クライミング・ルネッサンス」の精神です。同じ山でも、言った季節や日にちが違えば、必ず新しい発見あるものです。記憶に残っている昨年の4月中旬と北俣谷はどう違っているんでしょうか。
 この季節、ちょうど大谷原の曲がり角にスキー場の駐車場あるではないですか。10台ほど駐車していますが、「皆お散歩入山かなあ?」と。付近にスノーシューなどの跡けっこうありますね。それに曲がり角で除雪が終わっているのも、何だか始めてみるようで新鮮です。春になると、大谷原まで除雪されてしまいますから。

 予定通り11時出発。もう通いなれた道です。この1年で5回目の入山。昨年4月のお散歩、6月の偵察、同じ6月の北俣谷から吊尾根、8月のお散歩。いついっても風景は違っています。さて今回スキーはよく滑ります。10分で大谷原通過して、西俣出合いへ。「おお、トレースありません」。数日前のトレース残骸だけ。またしても、この奥は独り占めですか「自分を誉めてあげたい」。出合までよく数えてみると、堰堤5個ですか。でも雪の量はどうなんでしょう。昨年4月よりも、林道の跡がしっかり残っているような。といっても、大谷原で川の両脇には雪がたっぷりですから、少ないと言ってもやはり2月。

頭だけ出ているお化け堰堤。その下が夏の赤岩尾根登山道でした。正面越えられずに左から。積雪10mほど。

 1時間ほどで西俣沢出合い。わずかこんなに下界に近いところでも、でも山の中っぽいです、ここは。下から300m登っていますからねえ。さてそのまま北俣本谷に入って行きます。例のお化け堰堤(下に登山道が通っているやつ)は、上若干見えているんですよ。ということはちょうど堰堤と同高度、積雪10mってとこですか。左から過去の林道跡みたいなところから巻いていきます。その次の堰堤も頭出しています。これは右から。この二つ越えるともう、雪だらけ。
 それにしても、なんだか積雪がとってもきれい過ぎます。本谷にデブリなし「いったいどういうこと?」。もう20年前の3月には、西俣出合いで、背丈の倍の大デブリでしたよ。昨年4月ももうちょっと上で3mはえぐられたデブリ。今回は何もなしですか。ブロック雪崩れのまだ前ってこと「ええ、そう解釈しましょう」。春スキーの初日ですからねえ。
 新雪降って、晴れて融けて、冷えた固まっただけとしましょう。とはいっても、両側からのチリ雪崩れはいくらでも起きます。「カッ、ボコボコボコ・・・」という例の嫌な音ですよ。どうせこの広いU字渓谷では足元まではきませんが。ジグ切って高度ドンドン上げます。さてこんなのん気な調子でどこまで登れるんでしょうかと思います。
 鎌尾根末端で、冷池へいく二股になりますが、昨年4月はここ越えられませんでした。デブリがぐちゃぐちゃ。たまたまあのW会の遭難があった翌週だったのですが、でも5人パーティだったか、その鎌尾根に取り付いていて、私下から見送っていたんです。ところがその場所も今回はきれいに越えられるんですよ。もう不思議です。
 そうしてさらに上に。1800mで一旦傾斜が落ちるのですが、なんとはやりそこに新雪デブリありますね。本谷からのものですよ。傾斜が落ちているところにたまるんです。でも乗っかるとブロックもぐにゃと簡単に崩れて、堆積したばかり。でももう少し行きたいです。そうすると本谷ゴルジュの間から、吊尾根きれいに見えるんですね。残念がから少し曇ってきましたが。そのために鎌尾根脇にそって小さいジグで行きます。仮に本谷から雪崩れたら、瞬時方向転換して滑降しながら、鎌尾根斜面に駆け上がるなんて、理想ですが「冷静ならできるか」。際どいねえ。

最高到達1900mから上部北俣本谷ゴルジュ。山頂はちょうどガスの中。

 いよいよ標高1900mの緩傾斜でストップですね。ダイレクト尾根の取り付きも見えるし、2300mの上部二股も見えます。ここから鎌尾根側もゴルジュになるしね。ここまでくれば、納得。1350予定通りです。Pから850m登りました。振り返ると、おおサンアルピナ見えますよ。向こうから見えたんだから「こっちからだって見えるぞ」と。でもゆっくりできません、こんなところで。

さてこの大斜面いきますか。車パーキングまで高度差850m。下界左にサンアルピナ鹿島槍スキー場。

 さてどういう風にくだるかというと、本谷は幅50m「うーんと、大回りターン5回で高度下げますから、3分間だけは本谷雪崩れないでね、いけ」というわけで、幅一杯の斜滑降ターンに入ります。だって手前側デブリで、うまく滑れないもんねえ。ほー、どうにか200m降りて鎌尾根末端です、1700m。大休止、大安心。
 多分今だけでしょうね、間もなくこの谷しばらくはグズグズになってしまうと思えます。チリ雪崩れは下のほうから聞こえてきますよ。休みなく5分おきくらいに。1430さて出発にしますか。いえその前に、初めてのスキー記念写真撮ります。ウロコ&サロモンはこういう板です。普通のターンはできません。斜滑降とキックターンだけです。でも私この板好きなもので、見かけたらよろしくね。

クロカン板ですね。カルフのアウトランド・金具サロモン。好きです軽くて。この日ウロコだけ。鎌尾根取り付きで、正面北俣本谷。

 後はもう快適にスイスイと。ただ下の林道で、3時間前に通った道に、新雪雪崩れています。げげ、歩いていたら潰されますね。東尾根からの斜面で樹林帯の中なのに、こういうことなんです。カッ、ゴロゴロとなったら、すぐ逃げましょう。

 右に3時間前の登りのトレース。おおしっかり雪崩れていました。や〜ね〜。

 1時間で駐車場に付きました。半日ツアー大いに納得でした。



上越・日白山1631m
2004・2・14 ☆☆☆ 
快晴 新潟県湯沢町 にっぱくさん 上越国境の平標山1983mから北へ繋がっている尾根上の山。その北にはタカマタギ1529mがあって、山スキーのクラシックルートらしい。頂上からの展望は谷川岳、仙ノ倉岳方面。

二居林道奥640〜地王堂川ツメ840〜1300m付近稜線上930=1000〜日白山頂上1120=1150(下山)〜クルマ1330

 山スキーの先輩のオバと2人組。ちゃんとスキーできる山に行こうということで、山の場所を説明しないと、東京以外の人には知られていない山に行くことになった。ちょうど上越はこの3日間くらいは晴天が続いて、下のほうの雪はなんとなく3月っぽくなっていた。林道奥の車止めから640にシール付きで出発。他に1パーティいたのだが、彼らは閉鎖になった二居スキー場方面の尾根から、同じ目的地へ出発。私たちは除雪のない林道を登っていく。
 堰堤パラノイアはこの川でも同じで、10個以上がわずかに隙間で並んでいる。雪が多くないから、上部半分くらいは顔をだしている。最終堰堤の上で林道は川に消えていて、そのあたりで流れは完全に埋まっているために、川の真ん中を登っていく。3日前あたりのトレースも残っているようで、このルートをボードで滑降してきたような跡。
 1時間半くらいで沢もツメっぽくなって、急傾斜になってくるのだが、左右とも斜面がきつくて上がれなく、そのまま沢の終了近くまで登っていく。雪崩の心配も雰囲気なし。膝程度のラッセル急斜面で、狭いところをジグ切っていく。この当たりからけっこう疲れる。目一杯のシール登行は、けっこう疲れるものです。大好きじゃないとできないですねえ(オバ)。
 その後ツメっぽいところから右側の稜線上というか斜面に登って休憩、930。真上に頂上が見えてくる。沢筋を離れたためにラッセルも少なくなって、足首程度。

頂上直下から最後の斜面。山頂には何も標識がありません。埋まっているのでしょう。

 やはり同じように相変わらずジグ切って登行。それから1時間半ほどで、なんとか稜線上に。快晴は相変わらずで、尾根の向こうに平標山から谷川岳に続く稜線が急に飛び込んでくる。最後の斜面を登って頂上に出ると、反対側から先の2人組みが、少し前に登頂していた。風が強くなってきたが、それでも30分ほどは滞在できる。

頂上での私でございます。相手がいると自分の写真も撮れますね。晴天でなにより。

ちょうど1年位前に、反対の土合から仙ノ倉谷を西ゼン手前くらいまで登ったけれど、その当たりもよく見えて懐かしい。
 さていよいよ登った同ルート方面へ下山ということで、先輩オバはテレマークでドンドン下っていくのだが、私ゆっくり後続。

頂上から南へ続く稜線。大変なだらかで安心できます。

登ったところよりさらに南に下り易い斜面があった。最高のパウダーだったらしいが、私はさして関心も示さずに、後続。

稜線から斜面への急降下で高度はドンドン落ちまる。下りはこのまま斜面を。登りは右側の沢を登ってきました。

ほんの30分ほどで、登りに休憩した1300mを簡単に通り過ぎてドンドン下り。最後は少し下りすぎて、沢の横断にちょっと戻ったが、再び林道に合流して、1330クルマに下山。上越の山スキーのクラシックルートの一つだったようです。
 ちなみに翌日は荒天で近くのスキー場のリフトも運休するほどで、何もしないで帰京。


上高地〜明神池
2004・2・8 曇り ☆☆☆
坂巻温泉上530〜釜トン出口630〜帝国ホテル・田代橋730〜奥穂岳沢登山口830〜明神池900〜明神館930〜(下山)上高地河童橋1030=1100〜大正池1100=1130〜釜トン中の湯売店1300=1400〜車1420
 冬の上高地ってのは、人気がありますね。反対側の新穂高の100倍以上です。この日も100人くらい入っていました。まだ暗いうちに出発。車はけっこう下の方に置き増す。6時頃に釜トン入り口につきますが、すでに観光バスが来ていて、客30人ほど降ろしていますよ。上高地ツアーらしいですが。バスはその後8時間くらい平湯で時間つぶしして、14時にまた迎えに来るようです。そのオジサン客は、長靴に4本歯アイゼン履いて釜トンのアスファルト歩いていたり、皆手に三脚もって写真マニアですか。冬の上高地の自由化って感じです。
 釜トン抜けて驚きました。除雪してあるんです。そう今明神当たりで梓川の底さらいの工事しているんです。春まで延々と休みなく。上高地の冬も馬鹿にされたもんですよ。釜トン出口から大正池下流の橋渡って、川の左の治山林道ってやつですよ。それたどると明神まで何の苦労もなくてね。スキー場の圧雪と同じことでした。
 私は一般的な道行きます、真っ直ぐに。帝国ホテルまで釜トン抜けてから1時間。そこからやはり除雪してある田代橋の方にいきます。

田代橋からの梓川上流。上高地温泉ホテルとその右・清水屋

 天気は相変わらず曇って雪もチラチラ。この辺のハイキングオジサンというのは、はやりのスノーシューはいています。あれってかかとをずるずる引きずって歩くもんで、トレースが巨大ナメクジの跡みたいになっていて、アメリカから上陸した新種の動物のようで、気持ち悪いんです。トレース踏んだら毒に当たりそう。
 梓川の対岸に出ると、もう人は少なくなります。そのまま明神へ。途中で河童橋に戻ろうかと思ったのですが、そういう道は雪が積もったままで、分かりません。岳沢から奥穂への登山道も、動物の足跡だけ。

岳沢への登山口。まったく埋もれて雪だらけ。でもこの新雪そんなに潜らないんです。すでに春の雪って感じ。

 でも驚きました。冷やかしで少し新雪に入ってみたのですが、もうそれほど潜らないんです。足首くらい。雪が重くなっているんでしょうか。これはラッキーです。スキーラッセルにはいい加減嫌気がさしていますよ。1ヶ月前の新穂高を思い出しても、ぞっとします。それから1時間弱で明神池にでます。

明神一之池。この当たりは誰もいなくて静かです。

 誰もいませんねえ。100人上高地に入っても、90人は大正池でストップですから。残り5人が河童橋。さらに残りの5人が、怪しげにどっかいきますけれど。嘉門次小屋も山のひだやも埋もれたまま。

山のひだ屋。ついこの間10月に行ったときには、晴天で明神岳もしっかり見えたのに、本日は見晴らしダメ。営業していない小屋というのは、寂しいもんです。

橋を渡って、明神館のほうに行こうとしましたが、なんと橋を渡り終わると、トレースなし。げほです。明神館に出ても、ここ100回は通ったところなのに、トレースなし。けっこう驚きと感動ですね。新鮮です。9時半。さてどうしようかと思うのですが、曇りで視界も上空は300mくらいまでで山も見えないし、本日あっさり終了しました。
 トレースのないところを上高地に戻ります。途中でわかんの2人組みとすれ違い。このあたりもやはりもぐりません。足首くらいまで。ここまで雪が重くなってくれると、いよいよ春なのかなあとちょっとウキウキです。1時間で河童橋。10人くらいいました。

河童橋も静かです。そういえば芥川の「河童」はこの橋のことですね。彼、槍に登ったときに、ここ通っています。

 橋を渡って売店の軒下で休憩。風が来なくていいです。そうだね、皆日帰り組みでも、ちゃんとコンロもっているんですよ、湯を沸かしたり。ハイカーっていいですね。帰りには大正池のほとりまで出てみます。夏だとバスの中からだけで、ちゃんと池のほとりに来たことってないですから。その後もうしっかり踏みかたまった雪滑って、釜トン入り口までは30分くらいでした。思ったより近いです。今度は晴れているときにいきましょう。
 帰り中の湯売店で、徳沢に宿泊した人に会いました。延々と今でも人が入っているそうです。素泊まりだけで6000円だとか。芳野満彦の時代から続いている徳沢の越冬管理です。そういえば徳沢へは、先の林道明神から梓川本流をその上で横断して(埋まっているらしいね)いくのが、最短だといってました。意外・・



北八ヶ岳・白駒池〜高見石〜丸山〜麦草峠
2004・1・25(日)快晴 ☆☆
八千穂高原スキー場先ゲート620〜白駒池案内所900〜白駒池920〜高見石1040=1120〜丸山1200〜麦草峠1300=1400〜ゲート1500

 装備はテレマーク板にシール

 クロカンのメッカと言われている北八ヶ岳にいきます。日本海側では豪雪だったのですが、ここはそれほど降っていません。中央線の分水嶺って、たしか塩尻のトンネルの当たりだったかで、ここは太平洋側になるんですよ。松本だって冬型の時もそれほど降りませんからねえ。
 当日1時頃に家を出て、長野道経由で朝までには現地に着くだろうと。6時前に着きましたが、この時間はまだ満天の星空。星が消えそうな頃に出発します。前回の新穂高のラッセルにもう嫌気がさして、この当たりなら誰かのトレースがあるだろうと言うやましい考えがありましたね。確かに前日の土曜のトレースがしっかり残っていて、林道は楽なものです。夏だとメルヘン街道といわれる自動車道ですから。

夏のメルヘン街道の途中から、あと1分早ければきれいなダイヤモンドリングでしたが、朝日ってカメラをザックから出していると、どんどん昇ってしまうんですよ。

 50センチくらいの積雪でしょうか。それでもノソノソしていて、途中で日の出を見たりしてゆっくりいきます。ここは実は15年位前に、クロカン板で遊びに来たこともあって、うっすらした記憶あります。何だか3時間くらいかかって、白駒池に入る案内所につきます。誰もいなくてひっそりしてますね。今日も真っ青な晴天で、弱い冬型ではここは晴天です。
 一応目標は昼まで前進して戻るということですが、もう9時ですから、リミットはあと3時間。案内にしたがって白駒池にいきましょう。初めてです。でもそっちの池に向ってなんだかスノーモービルの跡も残っているんですよ。登山者の人通りも多いようで、ちゃんと登山道が自然に圧雪されているんです。ちょっと登って下って、間もなく白駒池につきました。

前面氷結と積雪の白駒池の真ん中くらいから、青苔荘方面を。樹林密生の北八ヶ岳のなかで唯一木が生えていないところでした。

 ここは北八ヶ岳の名所です。11月から前面氷結と書いてあって、当然真っ白。池の中に向ってどんどん歩けます。青苔荘(せいたいそう)という小屋が営業してます。この当たりは通年営業の小屋があるんですよ、感動。その脇通って池を横断して、高見石に向います。そこが北八ヶ岳の稜線になるわけですから。

高見石の小屋。なんかヨーロッパ風だし、天気がよくて5月っぽいよねえ。

 そこまで行く道もちゃんとラッセルあって、急坂だけどシールが効きます。さて夏時間と同じに1時間で稜線の高見石につきます。そこの小屋も営業中。テラスが除雪されていて、なんだか5月の山みたいでおしゃれでしよ。しっかり休憩しました。それにラーメン作ってもらって、なんだかスキー場でレジャーしているみたい。
 11時少しに出発して、中山までいけるかと少し前進したのですが、それにしても北八ヶ岳というのは、密生した樹林帯ですねえ、本当に。富士山にも青木が原の樹海というのがありますが、火山というのはなんで樹海になってしまうんでしょう。そういうところに、ボブスレーコースのように登山道があるだけで、それシールで登れたとしても、下れないんです。左右にターンできそうになくて、ここって本当にクロカンのメッカなんですか? 登山道の細さに嫌気がさして戻ります。麦草峠目指して。

丸山山頂から、向こうに中山とその向こうに天狗岳が見えます。方角は南方向。わずか30分くらいで急に雲が出てきました。やっぱり11時過ぎると山の天気は崩れてきます。快晴はほんの2時間くらいだけ。9時から11時まで。

 さて丸山という2329mの山があって、そこに登り、その下りも急坂ボブスレーで、板脱いで、少しくだってからまた板はきました。これほど人通りが多いと、ウロコ板の方が、扱い易いかと思ってしまいます。麦草峠に下ると、そのヒュッテも営業中。さらに林道戻って、先の白駒池案内所で休憩します。だれもいなくて、もちろん営業していませんが。
 少し休んでそこから、3時間かけて登ってきた林道下りましょう。昼過ぎから少し雪が降って、降雪3cmですが、それで登りのトレースに雪が被って、下り易くなってますねえ。それにテレマーク板でクロカンの真似して、下りは早いです。さっきの青苔荘のオヤジさんが、お客をスノーモービルでゲートまで送り迎えしているんですよ。レンタルのウロコ板で下ってしまうお客も、板の回収したりして実に親切に真冬の営業やってました。わずか1時間で下山。
 北八ヶ岳は樹林が密生しすぎています。ああブナの林が恋しいねえ。クロカンはさておき、山スキーヤーは絶対に北八ヶ岳に行かないのは、広々したところがないからだというのは、本当のようでした。でも麦草の反対側の縞枯方面はいったことないから、次回のチャンスにいくかもね。

蒲田川右俣(岐阜県) 新穂高〜白出沢出合 

2004・1・9(金) 快晴 ☆☆☆
新穂高400〜穂高平600〜白出沢出合830(休憩)1000(下山)〜穂高平1100(休憩)1130〜新穂高1230

 わずかに1週間前には、槍ヶ岳から下山するこのルートは大賑わいだったのですが、静かになった今、行ってみたかったわけです。それに前日には50センチも積雪があったようだしね。クリスマス前の大雪以来の積雪でしょう。
 新穂高は冬の期間にはロープウェーの先に無料駐車場があったりして、入山はとっても便利でした。気合入れて午前4時真っ暗なときにといいたいのですが、すでに満天の星空に月明かりで十分に明るいです。今の時期に満天の星空など、もう珍しいくらいで有頂天でした。
 ところが登り始めて、やっぱりというか、相変わらずの深雪ラッセル。板はいても脛くらいまで簡単に潜ります。ライトつけてノタノタ行きましょう。
 白出沢までなど、夏なら立派な林道で、下山してきてもこの林道にでれば山行は終わったようなものですよ。ところが今登るとなると、これが難儀。トレースもゼロ。夏のショートカットを使わずに、川沿いを2キロ歩いてS字ターンするのですが、その直線部分だけで1時間半くらいかかります。歩行速度は時速1キロちょい。とんでもなく遅いです。
 6時頃に穂高平。夏にはこんなとこで小屋営業していますが、もちろん今は閉鎖。だんだん明るくなってきました、ようやく夜明けです。明るくなると、笠が岳の稜線が真っ白にきれいに見えますね。本当に雲ひとつなく快晴。

中崎尾根の向こうに錫丈岳から笠が岳の稜線

錫丈岳から笠が岳、弓折岳、抜戸岳など、まれなほど美しい。ところがなかなか白出沢に着きません。いい加減にラッセルがいやになった頃に、そこにある荷揚げ用の小屋に到着。新穂高から4時間半で8時半。もう足が痛くなって中止決めました。もしかしたら槍平くらいまでいけるかと思っていたのですが、一人では無理ですねえ。頑張って進んでも滝谷出合でしょ。すべて諦めました。でも白出沢渡って少し前進してみましたが、上流も本流は水の流れが出ています。やっぱり今年は積雪が少ない。この正月三が日は40年間で2番目の暖冬だったようで、しかたないね。

白出沢から上流を望むと快晴の穂高の稜線

 10時下山始めます。自分のトレースがあるといっても、深雪ではそれだけではスキーは滑りません。下りだというのに漕いだりして、大いに悲しい、でも一応楽ですが。
 天気がいいから北穂高岳、涸沢岳。さらに奥穂からジャンダルム、天狗のコルなど、全部見えます。本当に珍しい快晴です。1時間で穂高平、11時。

穂高平から本谷上流

ここにきてようやく直射日光が当たってきました。谷の東側って日が当たるのが最後なのです。そういえば、前日安房トンネルを出たとこで、標識の気温がマイナス15度でした。とっても寒い朝だったのですが、こうして直射に当たると、氷も溶け出します。ここでようやく快晴の恩恵受けて何だか楽しくなって、誰もいないこの牧場でぼーっとしてました。

左から北穂高岳、涸沢岳、白出のコルを挟んでジャンダルム。奥穂高はちょっと隠れています。雲ひとつない快晴でした。

マイナス15度ってやっぱり寒いですよ。休憩すると3分で寒くなって疲れているのに出発しなくちゃならないようで、これって辛いです。それにこういう平坦地で腰を下ろして休むことってできないんですよ。お尻を突くとスキーより低くなって二度と起き上がれなくなる。今度は大き目のテントマット持ってきて、それに寝転がって休憩するしかないなあと、思いましたよ。
 牧場で30分くらい休んで出発。やはり下りは早くて、1時間で新穂高到着1230分。朝には誰もいなかった駐車場が、しっかり除雪されていて、観光客もけっこうきていました。帰り近くのトンネルの途中にある深山荘の露天風呂300円に入りましたよ。ここって、かなりいいところですね。入浴中にビール飲んでもいいんです。露天が三つあって、一番下は水着の男女混浴なのですが、客は私一人でした、残念。
 トレースなくてもラッセル必要がなくなるのは、やはり3月に入ってからでしょうか。そのころ再挑戦誓いました。