2006 WINTER    トップページへ





水上・仏岩トンネル上部 ☆☆
06・1・8 雪
 トンネル猿ヶ京側1130〜上部・標高差400m登り1340=1400〜下山1440

 小雪くらいかと思ったら、新潟は大雪。しかも除雪オジサンに「駐車禁止だ」と睨まれて、トボトボ三国峠を越えて群馬に引き返し、コンビニ喫茶で時間潰し。猿ヶ京から水上へ抜ける道の峠が仏岩トンネル。その尾根は阿能川岳へ通じているのだが。この道大雪で通行止めのために、その上部で遊ぶことに。
 ここでも除雪オジサンに文句を言われて、遅い時間に出発。林道をトンネル手前まで登り、そこから稜線目指して登る。

カラマツ林を縫うように滑る。

 この辺り、杉とカラマツはいやらしいほどに密生して植林されていて、うんざり。それでも100m登ると、カラマツは疎林になって、Pの標高650mから1020mくらいまで登って滑る。
 ほとんどラッセル滑降で、滑った後はスキートレースがなく、像かカバが滑り降りたようなバケツすべり台。人一人で50センチも新雪潰して贅沢滑降。途中少し日が差したが、また雪。でもパウダーだったことは事実で、少しだけ楽しい。明日に期待。猿ヶ京泊。


上越・三国山1636m ☆☆☆☆
06・1・9快晴
国道17号三国トンネル手前540〜三国山830〜下山〜稜線下845=900〜取り付き国道920

 パウダーを滑るにはラッシュで登ることに。明け方に星空。昨日から待った甲斐があった。朝330起き。

三国山から大源太。その向こうに平標。上に雪雲、その上は快晴。

 上越三国トンネル手前に500に着くが、さて取り付きはどうするのかと。除雪されている3mの壁を越えて取り付けるのか。暗いうちに出発。

 除雪ショベルが待機する場所の裏が、少し崩れているようだから、そこから登ってみる。夏道の「コンクリートの切れ目」など、この季節にはない。スキー履いて慎重にずり上がってみるが、ちょっと緊張。

ブナ林の登りで夜明け

 雪崩防御柵をまたいでしまえば、後は登るだけ。地図で見たより傾斜が緩くて登り易い。それとこういう変な場所は、無意味な植林もなくて、すぐ上から古い木立が並ぶ。
 間もなく夜明け。実は群馬側は晴れているのだが、新潟側は午前中は雪雲がかかっていた。標高差で100m登ると、さらに傾斜が落ちて、なが〜いジグを切りながら左方向の山頂方面に寄っていく。原生林があるところには、ウサギもいたし、カモシカもいた。ウサギってのは、白鳥のように、木の根っ子近くにうずくまって夜は寝ているようだった。

飛び跳ねて走り去ったウサギのトレース

 上部に出ると、稜線は雪庇がこちら側に出ていて、ブナやダケカンバ。木立がなくなったところへは、どうもでる勇気がなくて、再び右に上がって、小さな雪庇を乗り越えて稜線へ。新潟側が良く見える。北への稜線は大源太までは見えるが、平標はガスの中。その稜線を15分左に歩くと、三国山だと思われる。稜線の交点に出た。快晴なのだが風が冷たくて、そのまま来た道を戻る。少し下がった風除けで初めて休む。休憩なしで登り3時間。標高差600m。1時間200mだからいいペース。それと、これだけ雪が積もっていると、新たな新雪でも膝下までしか潜らない。それ以上、もう潜りようがないんじゃないかと思う。

明るいブナ・ダケカンバ林、その向こうに主稜線

 下山開始が早いことに午前9時。新雪も午後になると重くなるのは、先週経験済みで、早い時間に滑り出す。

稜線へ乗越手前の雪庇

 膝ラッセル滑降なのだが、フカフカで好きなところで自由に曲がれる。けど登りのトレース見失わないようにしないと、国道に上手に出られない。スノーシェッドの上に出たら大変なことになる。

雪庇の向こう側から登ってきたカモシカのトレース。下界右は上越稜線の群馬側、雪は少ない。

 かなり下に来た時に、妙にカモシカラッセルが多いなあと思ったら、目の下にカモシカ2頭。はねるように下りラッセルしていて、追いつこうと急いだら、なんとそこが終点の国道でカモシカは17号を横切ってさらに下へ行ってしまった。

下りはラッセルパウダー三昧で楽しい

 後で考えると、カモシカが国道横断できたということは、柵がない場所があったわけで、彼らはそれを認識していたんだろうか?不思議だ。私来た道で柵乗り越えて、国道に出た。登り3時間、下り20分。素晴らしい感動パウダー。格言・パウダーの賞味期限は刺身よりも短い。

浅間山が見えると、オヤジ手ぬぐいの塚田さんを思い出す。猿ヶ京のサル。





奥利根・雨ヶ立山・布引尾根左稜1370mまで
05・12・29 雪 ☆
宝川温泉630〜林道トンネル830=900〜林道終了その先1000〜下山〜宝川1130

 雨ヶ立などとんでもなくマイナーである。宝川温泉から入る宝川源流。しかしラッセルが多かった。
 天気図見て晴れるかなと思ったが、終日雪。それでも明日は晴れるんじゃないかと、林道をラッセル。膝近く潜りますよ。夏だと車でいける林道だけど、温泉の先にトンネルがあるのだが、その入口が埋まっている。仕方なく、川沿いの斜面に入ったものの、これが急で悪い。どうにか向こうに抜けて、さてこちらのトンネルの入口はと見ると、少しだけ開いている。強引にトンネルの中に入る。わずかに30mのトンネルなのだが、向こう側にいってみると、外の光が少しだけ。これじゃ井戸の中ですよ。

トンネル向こうの入口。これでも入口半分以上埋まっているのです。

 戻って、もう少し先に進んでみると、林業試験場となっているゲートを過ぎ、その先30分ほどまで進んで引き返し。帰りはトンネルの雪を崩して通過。戻ってみれば、下りは1時間半。登りは4時間半。ひどい雪。高崎宿泊。

トンネルこちら側出口。雪を切り崩してなんとか脱出。


05・12・30 晴れ ☆☆☆
宝川630〜昨日のラッセルあとから〜板幽沢出合い830=850〜右斜面を初沢に沿って登行〜1250m付近尾根1100〜さらに上部〜布引尾根左稜1370m1230=1250(下山)〜板幽霊沢出合い1420〜宝川1550

 天気不明で水上までいってみる。星空。気分がいい。昨日のラッセル跡を使って、一人で極地法か?ラッセルの終了まで1時間少し。夏道と同じようなもんだ。5センチくらい雪が乗っているだけ。さらに進んで、板幽沢出合い標高870mまで都合2時間。今日も昨日も誰も入ってこない。

大烏帽子(左)、朝日岳(右)

 さてここから地形図の緩斜面を頼りに右に入る。といっても、この辺りシラビソの植林跡なんだろうか。北八ヶ岳みたいに、びっしりと植林されて異常な密度。その中に入り込むには相当な勇気が要る。伐採されたあとってのは、悲しいもんだ。登りやすそうなところを進んでいくと、自然と初沢に入ってしまった。小沢で雪に覆われている。
 その上の伐採跡からまた登り安そうなところを進むと、植林も終わって、白樺とか、ブナの小さな木が多くなって、雪山らしくなった。そのまま右手の尾根に登りつく。標高1250m。この辺りカモシカや日本鹿の踏み跡がたくさんある。

標高1150m付近。下はシラビソか松の密生した植林跡。開けたところが伐採跡

 頭上のコブめがけてさらに進み、一応ピークに出た。ところがナビで確かめてみると、まだ布引尾根に合流していない。枝尾根だった。仕方なくさらに頭上のピーク目指して登って、1350mくらいでようやく合流。12時過ぎ。雨ヶ立1626mまでは到達できるわけもなく、敗退。

布引稜線はなだらか。右向こうに雨ヶ立山(あまがたつ・やま)

 しかし今日も上越はドピーカンの快晴。谷川岳。手前に大烏帽子、朝日岳が良く見える。何故か武尊はガスっている。

谷川岳もよく見えます。

 さて午後のけっこうべっとりしてしまった雪を、真下めがけてドロップ。200mくらいは快適に滑ったが、間もなく下の沢に合流。そうすると滑らない。傾斜が15度を切ってしまうと、ベッタリ雪は止まってしまう。そのままウォーキングで板幽沢に入る。この沢広い河原があって、明るく開けている。沢沿いにドンドン下って、登り始めた合流点100m上で、滝が出て、右手に少し登って向こう側に降りると、なんとそこは林道だった。

疎林帯パウダー

 あとはショートカットしながら下って、登行点に合流1420分。5時間半の周遊だった。そして長い林道1時間半で宝川に付く。
 




湯檜曽川〜一ノ倉尾根散策 ☆☆☆
05・12・24 雪・風強し 土合橋730〜湯檜曽川河原歩き〜マチガ出合い休憩所900〜戻り〜土合橋1000


雪は深深と降っています。湯檜曽川本流もかなり埋まっています。

 ドカ雪です。降り続けています。土合橋から河原の平坦道に入ったというのに、膝ラッセル。しかし静かなもんです。昨晩は60センチか80センチか積もったのか。林道脇の斜面だというのに、自分の足音をきっかけにして、その斜面が20センチずれて、足元に薄く雪崩れてきました。これも表層雪崩でしょうか。降り続けている雪は、かなり不安定で危険なのです。

林道脇のこの20センチの雪崩れは、自分の足音で落ちたもの。足元に薄く雪崩れてきたのです。緊張・・・

 それでも途中に川沿いに出たりしながら、1時間半もかけて、マチガ沢出会いの休憩所に着きました。過去、この屋根がこれほど雪に隠れているのと見るのは初めて。それでも何とか中にもぐって、少し休みます。
 その後さらに前進しようと思ったのですが、外に出たとたんに、正面からの風が強くて、意気消沈。視界も100m程度で、さっさと戻ることに。

屋根まで埋まっていたマチガ出会いの休憩所。こんな豪雪初めてでした。

 途中、こんな日にでも、スノーシューのネイチャーウォーキングとやらの10人団体にすれ違い。道が高速道路のように綺麗にラッセルされて、大いに感激。明日の晴天を期待して、水上に宿泊。


12・25 快晴・無風
土合橋630〜マチガ出合い700〜一ノ倉出合いから一ノ倉尾根取り付き800〜旧道出合い900〜標高1050m1110=1140〜下山〜旧道から旧道マチガ出合い付近〜新道〜土合橋1310

 天気予報というのは、悪い傾向に発表している。今日は移動高が来ていて、上越は終日ドピーカン。それなのに、曇りといわれていた。当てにならない。


一ノ倉尾根へ出る手前標高1050mから一ノ倉沢。

 朝4時に目が覚めると、星空。気分をよくして、昨日と同じ土合橋へ。昨日のトレースがしっかり残っている。昨日1時間半かかったマチガの休憩所までわずかに30分。その先に出ると、やっぱり脛まで潜る。しかし新雪というのは、12時間くらい経つとけっこう落ち着くものだ。昨日は膝まで潜ったのに、今日は脛まで。15センチ浅くなった。
 この河原から、一ノ倉岳、武能岳が朝日に輝いて美しい。こんな晴天の日に、新雪の河原を歩けるなんてなんという贅沢。

朝焼けの武能岳。この山はきれいな三角錐。

 一ノ倉の出合いに付くと、本当はもっと奥に行きたいのだが、やはりラッセルは辛い。今日はこの先一ノ倉尾根を登ろう。少し一ノ倉沢の河原に入ってから、右に取り付く。そこそこの傾斜。斜面に入ると膝まで潜る。時間で標高差100mくらいしか進まないのは覚悟の上。直射が差し始めて薄手のアウターに着替えて、なんだか4月の雰囲気になってきた。雪崩の心配もそれほどない。

朝焼けの一ノ倉岳。この山は丸っこい。

 スタート時の気温がマイナス8度。放射冷却は新雪をしっかり結合させているようだ。

堅炭岩。

 1時間進んで、カラスの鳴き声がうるさいと思ったら、上部の鉄塔に2羽泊まっている。高圧線は少しでも暖かいのかと思う。その鉄塔まで1時間。休憩の後に出発すると、なんとそこが旧道の交差点だった。そうだよね、河原の新道から登れば、100m上の旧道にぶつかるのだがすっかり忘れていた。もちろんトレースもない。その旧道を少し下って、登りやすそうな斜面から、また尾根を目指す。この時期、尾根上に出てしまうと、シュカブラとか雪庇とかが厄介で、実は斜面を進んだ方が登り易いというわけだ。

朝日に自分の影。

 しばらく登って、緩い沢に出たとことで、それに絡みながら上部へ。足元に、旧道が見えるが、スノーシューのトレースがある。

湯檜曽川の対岸には白ヶ門。

 だんだん傾斜が強くなってきて、本来尾根上に出たかったのだが、いよいよ行き詰ってきたところで、終了にする。標高1050m。旧道から200mくらいしか登っていないが、けっこう高いところに出たように思う。支尾根まで出てみると、向こうに一ノ倉沢の大絶景。ちょうどテールリッジの中間部と同高度くらいになっていた。一ノ倉尾根の向こうには幽ノ沢も見える。真っ白。滝沢の下部もしっかり埋まっていて、こんな日にクライマーはこの谷に誰も入っていないようで、もったいない。

見上げる一ノ倉尾根。尾根上の雪庇が時々崩れて、チリ雪崩で斜面に凹凸。

 12時少し前に、いよいよ下山する。上部斜面に入ってからは、少ししまっていたか、潜りも少なくなったが、こういう新雪をちゃんと滑れるのかあまり自信はなかったが、3度キックターンをしたのに、一気に滑り込む。ふむふむ、ちゃんといけるじゃないか。

コップの広場も少し雪崩れていましたね。

 途中一旦停止したが、一気に200m下っていく。極楽、極楽。
 さてここからなんだか奇妙な結果になって。本来そのまま一ノ倉沢下部を滑って、湯檜曽川に出ればいいものを、旧道のトレースに人恋しさが湧いてそこに合流。その手前で、林道がすでに雪庇になっていたために、一旦シールをつける。合流したトレースはここまでの往復組みだったようで、戻っていた。それを辿ってマチガ出合いまで行こうと思ったのだが、そこでシール外したのはいいが、林道は滑らない。仕方なく、適当な斜面を、これも新雪を楽しく少し滑ったのだが、河原に出る手前が段丘になっていて、これが下れない。またまたシールをつけて、トラバースした後に、マチガ沢下部に入って、ようやく休憩所で合流。

斜面の真ん中滑ってきました。

 ところがこの河原には、スノーシューがけっこう入っていて立派なトレースに様変わりしていたのが有難い。そのままわずかな時間で土合橋まで。
 冬山は天候第一だと改めて認識。少し雪焼けしたようだ。谷川温泉の町営風呂によって帰宅。




新潟・松之山・大厳寺高原 ☆☆ 快晴〜雪
05・12・17 松之山スキー場先1230〜工事中先1300〜高原の750m1440〜下山1500〜P1610


 松之山温泉の午後に、標高450から300m登って新雪スキー

春山のような快晴。この小川の先が天水山。沿って登っていく。

 大厳寺(だいごんじ)高原とか、天水山(あまみずやま)というのは、松之山と津南の境目の稜線で、ずっと西に辿れば鍋倉高原に通じている。長野側はなだらかなのに、新潟側は頂上部で急になっている非対称山脈になっている。

冬の棚田は雪が積もっているだけで何もありません。ところどころに農機具の小屋はありました。

 実は、上越では三日続けての晴天だということで、それまでに降った豪雪はけっこうしまっているものだった。松之山スキー場の先の除雪行き止まりから入る。豪雪の真冬なのに、なんだか小さな川で堰堤工事をしている。さてその脇から川に沿って登っていく。大厳寺の高原は夏には林道が通じているようだが、もちろん冬季は閉鎖。

あるのは兎の足跡だけ。

 少し登っていくと、これは多分棚田になっているところだと思う。斜面が続いたと思うと、まったいら。幅2mくらいの沢なのだがすでに埋まっていて対岸に渡ったりして、登れそうなところをドンドン行く。そのうちに、大きく迂回してきた林道に出たようで、それを登りながら、さらに上部へ。

三日くらいの好天が続くと、幹にくっ付いた下の積雪は、20センチくらい自然に沈み込むものです。

 ショートカットしながらの林道歩きの最後で、また沢に入って、その斜面を登りきって、向こう側の出ると、けっきょく後で見れば林道の最上部辺りまで登ったことになった。道路工事の小屋みたいなところまでとして、そこから登ってきたとおりに下山。

ところで人が通ったようなこの跡は、カモシカのラッセル跡なのです。一昨日くらいのものでしょうか。馬力があります。カモシカもラッセルするのです。

 13時頃から登りはじめて、1時間くらいは春山のように、なんだか直射も暑い。雪も少しシャーベットのようだし、嬉しいのはくるぶしくらいまでしか潜らなかったことだった。ところがほんの20分くらいの間に、いきなり曇ってきて、雪。そうなると視界も200m足らずで、斜面の凹凸も見にくくなって来て、でもまあ自分のトレース跡に沿って間違わずに下れるってのは有難い。

上部にはブナ林が広がっていて、日本の自然林百選に入っているということですが、まあ只見の樹齢200年オーバーのブナに比べれば可愛いものでした。

けっきょく距離にして5キロくらいは移動したようで、2時間足らずで、まあまあの満足。その日は松之山の兎口温泉の、明治の風呂に宿泊。海水よりしょっぱい温泉というのは、珍しい。

標高750mの高原からの天水山



平標山 05・12・11 雪 ☆☆
元橋700(別荘地奥)マイナス5度〜登山道入口800〜標高1650m1200(下山)1230〜登山道入口1440〜元橋1520

 一晩で大雪が降った。80センチくらい積もったかもしれない。

 2週間前の駐車場は、ほとんど夏状態だったのだが、今日は除雪もされていなくて、17号線からクルマが入らない。仕方なく除雪されている別荘地の奥まで入ってそこに止める。かなり雪がある。視界は100mくらいで降雪中。
 クルマをおりてシールで歩けるのは楽しい。しかしいきなり膝下まで潜って、新雪は相当なもの。思ったよりも早く1時間くらいで夏の登山道入口について、そのまま登る。何となく昨日辺りのトレースっぽいのが残っているが、全然役に立たたない。
 1300mで立ったまま少し休んだが、その少し上で夏道が不明になってしまった。真っ直ぐ登り易いところを直情して、さらにジグを切って登っていくが、笹薮にいきなり1mも積もった雪は、時々ガサッと崩れ落ちて、登りにくい。それでも藪山がジグ切って登れるようになったというのは、相当な積雪だ。9時過ぎに、少し薄日が差した。降雪中の視界といっても、100mくらいはあるもので、助かる。むしろ夏の上越の方が、20mくらいしか見えない深いガスと小雨に悩まされて、そちらの方が始末が悪い。
 1500m辺りで、右の方に赤いペナントが見えて、そちらに寄っていくが、その夏道周辺が登り易いのかというと、そうでもない。さらに右側が沢の詰めのガレになっていて、何度も見たことのある地形。そちらの笹薮の方が登りやすそうで、少し入ってみる。あまり悪くない。さらにそのままジグで登っていくのだが、急なところでは胸までのラッセルになる。板はいつも雪の下で見えない。雪は深深と降っている。高度が1650mで、ほぼ稜線の小屋と同じなのだが、まだ上にはガレが少しあって、ついにそこに上りつく気力もなくなって、そこで辞める。12時。止まってから気が付くのだが、この新雪をうまく下山できるのか、どうなのか。

まだ笹ッぱが埋まりきってないんですね。それでも昨年より、2週間くらい積雪が早いようなきがしますが。

 下りは、登りのトレース周辺を降りていくのだが、しかし、太もも一杯までくる新雪をラッセルしながら滑り降りて、ターンができない。斜滑降して、キックターンして。
 しかもスキーが、石楠花の枝の下に入ってしまったり、笹薮の途中に突き刺さったり、根雪がちゃんと藪を固めていないから、思うようには滑れない。それでもうまくいくときには、綿菓子の中を滑り降りているようで、快適ではある。
 少し傾斜が緩くなってくると、後ろ加重の直滑降でちょうどよく滑れるようになる。それでも膝までラッセルしながらの下り。加重を普通にすると、そのまま停止。パウダーは決してよくは滑らない。ところがこの姿勢がとんでもなく疲れる。20秒くらいすると、少し休む、また滑る。インターバル滑降か。
 しかしパウダーというのは、けっこう危険なもので、蛙のように前倒しに倒れると、顔がパウダーに埋まって、雪が吸い込んだ肺の中に入って、むせてしまうのだ。あれが大量にくると、多分一瞬で意識が亡くなってしまうんだろう。それに両足がバラバラに雪に突き刺さって、どうにも建て直しができにくい姿勢になったりする。転んではいけないというのは、かなり重要らしい。それにしてもこんな不安定なパウダーを自在に滑れる人がいたとすると、それは狂気に近いと思われる。もう一回どかっと雪が降ってくれないと自由に滑れない。
 林道に下りるが、自分が登ったトレースも薄くなっていて、滑らない。ところが間もなく3人組くらいがここまで往復したようで、いきなりトレースが大きくなって、おおお、よく滑るんだ。やっぱりスキーは滑らないと楽しくない。



巻機山 敗退05・12・3 ☆☆
雪 清水手前610気温マイナス1度〜桜坂800〜井戸壁1050m1200(下山)〜桜坂1500〜清水1550

 巻機山麓の清水の部落でも、昨夜からが初積雪。一晩で50センチくらいは積もっている。どこかでスキーができないかと思っていたのだが。

巻機山井戸尾根標高1000m付近。まだ藪が多くて滑れません。

 関越トンネルを抜けて、土樽でチェーン規制。塩沢で降りて清水へ。その部落に入る少し手前でブルの除雪が終わっていて、そこで下車。降り積もっている雪に気をよくして出発。
 清水まで15分ほどスキー担いで、林道終点でシール。途中夏の近道に進入して道迷い、途中から林道に出て、桜坂から米子沢を渡って、またまた夏登山道に進入する。藪がまだ多い。
 今年3月に来たときは豪雪で楽しく登ったのだが、そのときとイメージは大違い。藪を掻き分けて、スキーで登行し、30分位して、自然に井戸尾根に取り付いたようだ。スキーを履いてもすねまでしっかり潜る。80センチくらいの積雪はあるのか。それでも藪がまだまだ埋まっていなくて、垂れ下がった枝の雪を払いながら、半分夏道、半分は適当に登っていく。

藪の隙間から下界がすこし。

 しばらくして急になって、井戸壁に入ったような感じがする。しかし登りにくい。3合5勺を過ぎて、11時前に4合に到着。まだ標高は1000mに満たない。井戸の壁越えた緩傾斜までいけるかと思ったが、壁の途中でなんとも登りづらくて、12時になったもので敗退。藪の隙間から、ガスも少し切れて、桜坂の標高800mから250m登ったことが分かる。一日中どんよりしている日には、昼といっても、明け方なのか、夕方なのか判然としなくて、妙に気持ち悪い。

4合目記念、積雪80センチくらい

 雪はしきりに降っているのだが、何せ気温がスタートでマイナス1度と高いために、アウターが汗で水びだし、手袋も水びだし。なんだか雨の中を登っているような感じ。
 下山といっても、藪がひどくて滑れる状態でもなく、それでも横滑りとか、横下りしながら、登りとほとんど同じような時間をかけて下山。尾根の末端で右に出てみると、見たことのある伐採されたキャンプ場のような広いところに出た。そこに降りる。15時に近くなって、なんだか薄暗く、暗くなる前に林道に出たい。
 そのキャンプ場を横断して、向こうの林道に出てみると、朝登りはじめた登山入口に出た。林道である。朝のトレースが残っていて、それを辿ってどうにか滑っていく。16時前に清水に到着。途中からつぼ足一人のトレースあり。清水で泊まる。

翌日12月4日は少しだけ日が差して、大源太キャニオンから、大源太と右に足拍子



   
平標山 05・11・26 曇り・晴れ ☆☆☆
元橋730〜登山道取り付き900〜山の家1100=1130〜平標・仙ノ倉山コル1300〜平標山頂1330〜下山・スキー・徒歩山の家1430〜元橋1640

 少しくらいスキーができないものかと、スキー靴を履いて、板を担ぎ上げた。実際に滑れたのは山頂から標高差で100mだけ。まあいいか、初滑り。

平標山頂から仙ノ倉方面。遠景ガスの中に谷川岳の双耳峰

 明け方に元橋に着いたのだが、なんだか小雨。しばらく時間待ちしている間に、登山客が二組四人登っていく。7時過ぎに小雨もやんだようで、群馬側に青空少し見え出して、出かけることに。しかし林道はまったく雪もなく、気分も重い。
 スキー担いで、スキー靴履いて、よたよたになりながら、登山口。さらに夏道登りながら、何度か引き返そうと思いつつ、山の家まで行こう。稜線が近くなって、少し雪が出てきた。
 山の家で積雪30センチほどか。午前11時。仙ノ倉は少し白いが、平標はけっこう笹の葉っぱで青い。けれど新潟側も雲が取れてきて山頂まで見渡せるようになって、少し元気が出てくる。数日前のつぼ足の足跡が二人分だけ。夏の木道が半分くらい出ていて、同じように歩いて登っていく。最悪4時間後にここに戻ってくれば、暗くならないうちに戻れると思う。

平標山の家、まだ雪も少なく、頂上方面は緑です。山頂は一部解けていて、向こうの仙ノ倉は白いけど。

 頂上100m下で、仙ノ倉コル方面のトラバース道に真っ白に雪が付いていることを見つけて、ここでスキーに履き替えて、笹の上の雪を利用して、山頂行かずにトラバース。頂上には、反対側から来た数人の客が立っているのが分かる。こちらからも一人が追い抜いていった。

いつも思うけど、エビス大黒はピラミダルで格好のいい山だ。

 簡単にトラバースして、仙ノ倉とのコルに。ここには誰もいない。北側からのエビの尻尾が斜面一面に。白い斜面はどこかと探したが、仙ノ倉は這い松の茶色が見えていて滑れそうもない。しかしこの山は4つくらいの大きなコブを持っていて、近くで見ても大きいなあ。むしろ平標側に少し白い斜面見つけて、山頂登ってそこだけ滑ることに決める。コルのベンチで、またスキー担いで、木道階段を登っていく。
 頂上は、すでに直射で雪解け。登山客の足跡が少しついていたが、もう誰もいなくて、風も穏やかになって、北側も、巻機あたりまで良く見える。あちらの山の方が白い。蓬峠方面もけっこう雪があって、茂倉も白い。谷川の双耳峰もなかなかのもの。

仙ノ倉コルにある、ベンチとか標識。コルから山頂方面も木道の柵が半分見えている。

 ここでスキーつけて、いよいよ少しだけ滑る。けれど5回くらいターンするともう終わり。あとは下山の稜線方面に大きく斜滑降して、笹の中に突っ込んで下山の縦走路に合流。高度計みるとわずかに100m下っただけ。まあしょうがない。昨年ここに来て、頂上から山の家まで300m滑ったのは、クリスマスの直後だった。先週は雪が降ったようだが、この1週で解けてしまったらしい。天神平の積雪60センチというのも、あまり当てにはならないし、この辺りの雪は遅いようだ。

仙ノ倉は四つのコブがある大きな山。

 山の家にまた戻って、けっきょくこの上部で3時間半遊んだことになり、そこからまた重い荷物でヨタヨタ下って、暗くなる直前にPに戻れた。

けっきょく頂上からターン5回のみ。



南ア・笊ヶ岳2629m ☆☆☆
05・11・17〜18 快晴
雨畑ゲート(標高500・気温1度)550〜広河原800〜桧横手山1330=1420〜布引山1630泊
11・17 快晴
テント600〜笊ヶ岳710=725往復下山〜布引山830=900〜広河原1320=1330〜雨畑ゲート1500


 
標高差で2000オーバーのルートは、そんなにたくさんはない。山梨・早川からの笊ヶ岳はスタート500mから2600mまでで標高差が2100mある。年に一度くらいはそういう山に登ろうというわけで、すでに初滑りのシーズンを迎えているのだが、出発。今週は冬型の積雪週間になっているが、こちらは晴れている。
 笊ヶ岳は、もう30年も前に、出身の高校山岳部の後輩が、3月に遭難騒ぎを起こしたことがあった。といっても登りはじめて間もなくのテント場でのことで、沢筋に3分下降して水を汲みに出たままその夜彼が戻らなかったという騒ぎだった。何を間違えたのか水を汲んだ後にそのまま登りはじめてしまって道を失い、1ビバークして下山してきたという騒ぎだった。こちらからは救援隊が翌朝出かけたのだが、甲府辺りで無事下山の知らせを受けて、そのまま戻ってきたようだ(私は参加していない)。
 そんなことがあって、笊という名前は、トンマの代名詞のように仲間では言われていた。昨年農鳥岳に登ったときに、同じ尾根上のこの山に関心を持って登ることにした。

朝焼けの笊ヶ岳。左が主峰で右が小笊のコブ二つ。

 
今週は東京でも12月の気温というくらい、寒い週になっている。未明に登り始めるときに気温は1度。先週の朝日岳も今週も、取り付きまでの水平道が河原まで延々と続く。ヒマラヤだったらこれがバルトロ氷河のわき道ということなのだろうが、こういう遠い山は嫌いではない。取り付きの広河原までに、沢からのシャワーだとか、広河原では夏には膝くらいまでの渡渉があると書かれていて、雨傘とワラジをそこまで担いでいったが、どちらも使用しなかった。途中有名な廃屋が一軒ある。水平道の吊橋とか、ガレはさほど問題なし。
 スタート2時間で広河原に出て、ちょうど朝日が差し込んでくるいい時間帯になった。思ったよりも早く付いた。途中沢は登山道のかなり下方まで落ち込んでいたのだが、次第にせりあがって、同高度になったところがその河原になる。野呂川の林道もそんな地形だし、昔の猟師は上手な水平道を作ってくれたものだと感心する。スタートの駐車場や途中から、頭上に大きく見えていたのが、本日登り付く予定の布引山。見た感じでは近い感じもするのだが。
 この800mの河原から、布引2500mまで1700m一気に登る。最初はジグザグで急斜面をどんどん標高をあげる。道は段差もなくて急坂が綺麗に整地されていて登り易い。ちょうど紅葉のシーズンで、南アの紅葉はかなりシーズンが遅いものだ。

荒川岳頂上上に、早朝の満月。

 1時間でブナの古木の元に山の神。それ以降はけっこう疲れてくる。さらに登っていくと、造林小屋跡というところに付く。かつて大幅に伐採していただろう、造林作業の工事用ロープや機械が、そのまま散乱している。山を負われた自然破壊の造林屋が慌てて逃げ出したような後である。近くに昭和43年にカラマツが1万2千本植林されたという標識がある。植林前はブナやミズナラの広葉樹だったと思われる。そのカラマツが黄色に色づいて広い範囲で目に付くのだが、なんだかやっぱり異様な感じがしてくる。森林豊かな南アが、相当荒らされた歴史の一端。さらに急坂をどんどん登っていくと、桧横手山。登りだけで5時間かかる。
 そこで大休止して、後500mで主稜線かと思うと、少し安心。視界は相変わらずシラビソなど針葉樹で遮られていて、左に七面山が大きく迫っているのと、右に笊に続く尾根が見えるだけで、他に無し。その愚鈍とも思えるただの登りだけが南アの特長でもあろうか。
 昼食後また気を取り直して登りだす。また急坂を越えると、ようやく見晴らしのいい尾根に出て、布引のガレが気分を紛らわす。南に続く尾根の青薙山方面がよく見える。そして間もなくようやく主稜線。向こう側に主峰の聖、赤石、荒川と続いているのだが、少しガスがかかってきた。移動高の元で午後からガスがかかってくるというのは、夏山と同じこと。どうせ夜半にはガスも晴れてくると思っていたが、本当にそうなった。なだらかな布引山頂脇に整地されたテント場で宿泊。

水平道付近の紅葉。布引山頂上、シラビソの密生のなか

 日が陰ってくると、間もなく寒くなってきた。それもそのはず、明け方にスタートで1度ということなら、ここはマイナス10度になってもおかしくはない。けれど、シュラフは三季用だったし、羽毛ソックスは持ってこないし、どうも真面目じゃない。雪が降らなければ寒くないというのは勘違いで、降っても降らなくても寒い。12月の気温というのは、真冬のことだった。飲み水の他に2,5リットルの水を上げたが、それも簡単に凍りついた。夜は満月の月明かりで、ツェルトの屋根が明るい。それとこの辺りは羽田から関西方面への航空路になっているようで、午前、夕方など10分おきくらいにジェット機が上空通過して、これがけっこう雑音になっている。白ける。
 翌朝、午前5時頃、うつらうつらしたところから起きだすが、ガスも夏用だったためにつきが悪く、氷の合間から少しだけ水飲んで、パンかじって、行動開始。空身で笊ヶ岳目指す。途中にしばらく前の積雪3センチ。ようやく正面に、笊の本峰が見えるようになってきたが、やはり笊と右に小笊のコブ二つのおかしな山容。一端コルまで200m下って登り返すのだが、そのコルは倉沢のコルで、一時期は日本一険悪な谷だと有名になったところだった。その手前の所ノ沢は日本で二番目に険悪だったそうな。

頂上から逆光の富士

 笊の頂上は、展望よくするために伐採されたようなところで、この時期に雪をほとんど被っていない、赤石、荒川岳はそうとう白ける。南アは、まったく鈍牛といってもいい。しかも頂上標識は、何故か荒川など南ア主峰方面ではなくて、反対側の富士山の方を向いている。逆光の富士は間が抜けておかしい。本日も移動高のおかげで風が少しあるものの、視界はとてもいい。唯一少しだけ白く見えたのは間ノ岳で、北岳はそうでもない。昨年は1週前に農鳥にいったのだが、もう少し白かったのだが。

笊頂上からの聖岳。その右に赤石岳

 それにしても笊はただのシラビソが密生したなかに、這い松も少しだけあったが、色気のない山である。2700mが森林限界だから、樹林に囲まれて何も見えないのは仕方がないのだが、逆に風が強くても、樹林が避けてくれて、昨日の夜半でも風の音だけは聞こえたがテントは無風状態なのは有難いのだが。南の方に目をやれば、上河内岳の向こうに、空母のようにまったいらの光岳。この山が遠くから眺められるというのは、珍しいことだと思う。登ったことはあるけれど、山容が知れないという有名な山の一つ。続いて信濃俣、大無間、その他の山がうじゃうじゃある。ほとんど雪も付けずに、道もなく、夏にはヒルに襲われる、特異な山ばかり。存在だけが取り得なのか。

遠景右から北岳、間ノ岳、仙丈岳。遠くまでよく見えました。遠景左のまったいらな空母ふうが光岳。前衛右が上河内岳。

 少し頂上に滞在して、いよいよ長い引き返しに戻る。1時間で布引テントに戻り、直射で暖かくなったところ、テント回収して、下山。昨日はここから1700mを、8時間かかったが、下りは4時間半だった。平日だったせいもあるが、この二日間はほかの登山客はゼロ。






上越朝日岳1945m 05・11・13 ☆☆☆☆ 快晴
宝川温泉から林業試験P(標高780m・気温4度)450〜渡渉点700〜大石沢出合い830〜朝日岳頂上1130〜同下山〜広河原1400=1440〜P1650


広河原付近からの朝日岳 昨日の雨が頂上では雪だったようです。

 すでに今年初すべりした人がいましたか。昨日の雨はほとんど雪だったようです。しかしそんな期待しないまま、暖冬だという観念で、宝川上流から朝日岳へ。
 もともとこの辺はあまり知られていませんが、クラシックな山スキールートらしいのです。林業試験場には、Pマークが地図では出ていますが、堰堤工事していて、Pは消滅。休みの工事現場に駐車。
日の出も遅くなったいま、5時だというのに、満天星空で、ゆっくり林道登っていきます。
 小一時間で林道も終わって、夏の巻き道。これがアップダウンあって、長い。さらに1時間で、本流の渡渉点。けっこう悪いんですね。くるぶしまで使って、片足は靴の中まで濡れました。真面目にやるなら、ここまでワラジもってきてもいいくらい。帰りに分かりましたが、ここで5月に流された人の遭難碑がありましたね。
 渡渉終わって間もなくで、ウツボキ沢合流の広河原。広々して気分が本当にいいところ。しかも両方の支流上流方面は、源流っぽくなだらかに流れが上がっています。ミニ黒部源流といったところ。知らなかったね、こんなにいいとは。

 本流大石沢出合い。本流は2mの滝で、大きなお釜をもっていました。登山道から。豊富な水量です。

 しかもここからついに朝日岳本峰が見えてきました。なんと頂上付近が真っ白になっている。昨日の雪だったんでしょうか。そういえば足元にもちらほら雪が。予期していませんでしたが。
さらに夏道は本流に沿って上がっていきます。ナナカマドだけが真っ赤な実をつけています。小一時間で大石沢出合い。ここから尾根に取り付いていきます。その尾根といっても、地図で見るよりもなだらかで、ここから標高差700mを2時間で本当に登れるんでしょうか。最初はぬかるみに、積雪5センチで登りにくい。1時間登ると、大きな立ち木も消えて、ガレのトラバースに入るようですが、そこで積雪10センチ。どうにか赤ペンキが見えるのですが、道を外すと草つきで、ちょっと厄介。しかし積雪に、イタチの足跡がすでに付いています。雪が降っても、動物は元気なもの。
最後の斜面トラバースから風が強くなってくる。稜線はまさに冬山になっているのです。積雪30〜50センチ。稜線にでると、夏は朝日の湿原になっているようで、木道が敷かれているのがかろうじて分かる。そして分岐から左に5分で待望の頂上。ここにきて始めて向こう側の谷川本峰が見えます。正面に耳二つ。眺望はとてもいい。武尊はまだ黒いけど、笠と至仏はけっこう白い。そのまま左に、平ヶ岳、遠くに立派な台形は兎岳の周辺。さらに巻機。それらもかなり雪を被ってきました。もちろん谷川も。上越でも間もなくスキーができるでしょう。

稜線1500m付近からのナナカマドの向こうの朝日岳

それと驚いたことに、この山頂直下の風除けの這い松の下の半雪洞みたいところに、二人の男がいたのです。踏み跡の様子だと、昨日から宿泊していたみたいで、本日も行動する気配がありません。目線は合っていたのに、先方からの合図もなくて、しかも頂上風速15m程度の風強しで、私は寒くってさっさと撤退して話すことしませんでした。あれは何なんでしょう。耐寒訓練だったのでしょうか。目立たないグレーの上下を二人とも着ていましたが。

頂上のエビの尻尾標識の向こうの双耳峰は、谷川だけでした。ここからは正面になりますね。

山頂から清水峠の方向は見えません。稜線分けるジャンクション(分岐)ピークが、本峰よりも20mくらい高くて、それが視界遮っているのです。
下山は自分のトレースを追いかけてどんどん下るだけ。とはいっても、ほんの2時間前のトレースが、陽射しでしっかり溶け出しているのです。10センチの積雪などは、間もなく消えてしまうでしょう。帰りがけに下から見た山は、少し黒くなっていました。

向こうに下っている稜線は、烏帽子、笠、白ヶ門。その向こうに谷川岳。頂上から。

下って広河原で昼食にして、その後渡渉点まで来たときに、朝より2センチくらい増水しているのです。降雪が直射で解けてこの季節に沢の水が増えるというのは、本で読んだことがありますが、まさに実感。この季節におかしな現象です。

トラバース道から見下ろす宝川本流。このほかにも大きな滝がありました。近寄れません。

宝川上流というのは、雪が降るとかなりいいところになると思えます。まず入山にはこの夏のトラバース道が使えなくなるということ。沢沿いゴルジュのために、林道終点から400m登って一旦布引山の稜線に出て、そこから滑り込まないと源流に出られない。前山越えが必要なのです。それがまた魅力的に思える。それに本流はかなりの水量がある。土合方面からでは、裏側になるのですが、知られているとはいっても、こんな源流地域があったとは、頼もしくなった。
さらに移動高の中にいるといっても、稜線の吹きさらしは相当なもので、休んでいる暇はありません。稜線直下で休んだ後に、一気に頂上を往復してさっさと下山するという、だんだん冬山らしい感じに戻ってきましたね。