OASYS88偏見レビュー

はじめに

 この内容はあくまでも私自身の独断と偏見によるものでありOASYSに対する評価はそれぞれ個人で触って判断してもらいたい。

購入までの経緯

  ハードディスクレコーダーやパソコン環境でのDigital Audio Workstationの普及やハードウェア、ソフトウェア音源の進化により個人レベルで曲の作成が簡単に行えるようになってきたわけだが、キーボード、シーケンサー、レコーダーをそれぞれ購入して使用している人がほとんとなはずである。これは設定や配線の複雑化、とりわけPC環境では0Sとソフトの相性やスペックの問題、ネットに接続しているPCではコンピュータウィルスの問題も考えていかなければならない。昨年引っ越したことにより前に住んでいた時よりも自分の部屋が0.75畳少なくなった環境で今までの機材をそのまんま置いてしまうと機材のスペースで場所をとってしまう。キーボード関連の機材に限っていえば同じピアノの音色であってもメーカーごとに多かれ少なかれ特色があり好みの問題もあるので一概にどれが最高というわけにはいかないが、一定水準の音質を確保しつつ相性や設定の問題を出来るだけ考えずに動作の安定性を確保出来るハードウェアが1台あれば、省スペースかという関点からも理想的である。もちろん設置スペースと予算が無限に取れればそれに越したことは無いのだが、今の自分にとってそんな都合のいい話は夢のまた夢。というわけでOASYSの購入を決心した。TRITON STUDIO 88、MOTIF ES 6、AW4416とこれらに関する付属品を売り払い購入資金の足しにした。今後OASYSの使い勝手次第では01R/WやPROTEUS2000も売却しても良いと思っている。もちろんOASYSだけで曲を作ることが目的ではないので必要であれば他の機材も使用していくつもりである。

2005/05/29 自宅に到着

 さすがに重い。30キロを超えると持ち上げるだけで一苦労する。LCDの部分に注意書きの書かれた紙が一枚。「ドット欠けやドット光りっぱなしは異常じゃない」というような内容とか。特筆するべきは側面は吸排気口になっているので塞がないようにとのこと。只のデザインだけでこんな側面の形にするにはセンスがないなぁと思っていたがちゃんと理由があったのね。ちなみに本体底面にはファンが見えない。(KurzweilのK2600Xは底面に排熱のファンが付いていたはず。)
 とりあえず取扱説明書を見ずに電源コードとヘッドフォンだけ繋げて音を出してみる。 最初に出てきたのはピアノの音。同じメーカーだけあってTRITON STUDIOに近い音(のはず。以前使っていたのである程度は記憶に残っているが確証は無し)。ただしちょっと硬い印象を受ける。それと低音域が今までのKORGの音にしては若干削ってあるような感じがする。今までの自分の中のKORGのイメージとしては良く言えばどっしりした音、悪く言えば暗い音というイメージがあったのだがこれは意外だった。鍵盤の重さはTRITON STUDIOよりも重くなっている印象があった。ENSONIQのKT-88を使っていたことがあったが、これと同じくらいな気がする。もっともここ最近はピアノ鍵盤を弾いていなかったので指がなまっているだけなのかも。CX-3の部分も低音域が若干小さいイメージがあった。以前CX\3を使っていた時期があったが、こんなものだったかな?今はVR-760のオルガンの音のイメージが強いからか?EXs2として入っている「500MBピアノ」は標準で入っている音色よりも柔らかい音だという印象を受けた。ただ、この波形を読み込むために標準で読み込まれていたEXs1と切り替えになり、設定を変えた後再起動が必要になる。この後説明書で確認したが「一度電源を切ったら再び電源を入れるまで10秒以上時間を空けるように」と書いてあった。パラメータ保存に関係しているらしい。
 使っているうちに「ドット光りっぱなし」を1ヶ所発見。注意書きにも有ったし大した問題じゃないので無視する。以前MOTIF ES 6を買った時に箱から出した時点で傷が有ったので交換してもらったが、初めて家から持ち出して3分と経たない内に自分で傷を入れてしまった(しかも交換する理由になった傷よりも大きい傷を)。

2005/05/30〜2005/06/04

 さすがに平日は仕事から戻ってきてからしか触れない。電源を入れると「Boot from CD」の表示が出る。DOS/Vのパソコンを思い出す。電源を入れてからプログラムが読み込まれ、音が出せるようになるまで1分ちょっと(測ったわけではないので具体的な時間は分からないが)。まずはプリセットの音をいろいろ聞いてみる。夜はさすがに大きい音を出すわけにはいかないのでヘッドフォンで聞く。ヘッドフォン出力に関しては出力が大きい。ボリュームスライダーで40%のところまで上げれば静かな場所ではむしろうるさいくらいになる。音の第一印象としては「良い意味でKORGっぽくない」ということ。先の文章でも書いたが、低音域が今までのシンセから抑えられてる感じがする。それに、昔のPCMシンセでは「あ、サンプリングポイントが変わった」と明らかに分かる波形があったが、こういう音がない(あるかもしれないが見つからないか分からない。)。これは弾いていて気持ちが良い。更に弾いていくと、自分の練習量の少なさと鍵盤のタッチの重さを実感することになった。TRITON STUDIOの時もそうだった(はずだ)が、鍵盤を押さえた状態で音色を変えると押さえていた鍵盤は音が出続けるというのはライブで使う時にはありがたい機能だと思う。ただし、エフェクトが変わったぶんだけの音の変化はあるわけだが。余談ではあるが、MOTIF ESにこの機能があれば手放そうと考えなかったのに・・・。
 KARMA機能はフレーズそのものが変わっていくのでどのパラメータをいじるとどう変わるかということを把握しておかないと単純なアルペジェーターになってしまいそうなので気をつけないと。ギター系の音とKARMAが作られるフレーズを聞いていると「MOTIF ESを手放しても問題なかった」と思わせてくれる。AL-1に関してはあまり欲しいと感じていなかったので「いずれ役に立つだろう」というところか。HD-1の音源部でもそうだが、ベクタージョイスティックでグリグリして音色の変化が付くのはなかなか面白い。CX-3は、ホイールブレイクが(ハード音源ではファンクションを開いていたが)ボタンを設定してあるのには感心した。

2005/06/11

 シーケンサーの部分をいじってみる。ただし、説明書をろくに読んでいない状態でいじるのであくまでも体験談的な話になることをお断りしておく。
 オーディオ部分が16トラックになったということでMIDIの部分よりも先にいじってみる。マイク/ラインとラインの2系統ずつと更にS/P DIFで最大6系統の入力になるが、トラックの入力は4トラックまでと説明書に書いてあったような・・・?説明書をもう一度見返してみないと現時点では何ともいえないが、一人で曲作りするには充分か。仮想トラックがないようで、新しいフレーズは別のトラックに録音することになる。また、シンセの音はメインアウトの出力を内部処理としてトラックに割り当てるようになるらしい。クリックを鳴らすとクリックの音も一緒に録音されてしまった。インディヴィジアルアウトとライン入力を直接ケーブルで繋ぐ方法しか方法が分からなかった。シンセの音はあくまでもMIDIを使えということか?それとも方法を見つけていないだけか?
 今日いじった限りでは「曲のデッサンを作る」には丁度良いという印象を受けた。細かい曲作りはがMTRソフトを使用したほうが良いということか?まぁ、OASYSは「シンセ」だからね。

2005/06/25

 パラメーターガイド(分厚いほうの説明書)を流し読みしてみる。付録のところにメモリやカレンダー用電池に関する記述があった。メモリに関しては空きスロットが1つ(合計で2つあり片方は1GBのメモリが挿さっている)ある。現在(説明書上では2005年4月1日現在とあった)は使用出来ないらしい。将来的には使えるようになるんだろう。OSのアップデートに期待したい。
 KORGのアメリカのサイトで説明書のpdfファイルがダウンロード出来るようになっていた。試しに落としてみたら、同然ながら英語だった。

2005/06/26

 前日購入した楽器屋から連絡があったOSのアップデートCD1.0.1が届いた。同封されていた書類には「不具合を修正するものであり機能の追加等はありません」とあったがCD-ROM内のpdfの説明書にはフットスイッチの設定に項目を追加したとあった。これが不具合か?それとも相変わらずの秘密主義か?
 アップデートCDと一緒に、忘れ去られていたと思っていた先着100名にもらえるCDケースが入っていた。これがもらえるということは最初の100人に入っているということか?シリアルは100以上の数字になっているのに。

2005/06/30

 メトロノームの音を外して内部シンセの音をオーディオトラックに録る方法を見つけた。説明書を良く読んでいればもっと早く見つけたかも。

2005/07/03

 先日購入した楽器屋へ行ってアップデートCDに関することを聞いてきた。対応してくれた店員の話によれば「今回だけ」らしい。AW4416を購入した時はアップデートCDを何回か送ってきてくれたことだし、今後も楽器屋を経由しないで送ってきて欲しいものである。送られてきたCD-ROMはまさに「焼いたもの」。AW4416のときはCDもパッケージも「作った」ものだったし、この製品の価格からすれば「焼いたもの」であっても送ってきてくれても良いものだろう。しかし、ホームページからのユーザー登録においてユーザーが指摘するまで製品名の選択肢にOASYSの名前が入っていなかったというのもメーカーのこの製品に対する意気込みを疑ってしまう。
 CX-3のドローバーをスライダーでコントロールする場合に、スプリットした場合はアッパー側のドローバーしかコントロール出来ないようだ。正確にいうとトーンアジャストの設定でラスイダーコンロトールの一つ一つに別々の設定が可能で、初期設定ではアッパー側のドローバーが振られており設定を変えればローワー側のドローバーもコントロール出来るようだ。
 やっとOASYSの鍵盤の重さに慣れてきた。そういえば、OASYSのシーケンサーと外部のシーケンサーの同期ってどうやるんだろう?

2005/07/04

 スロー系のピアノアレンジを作るにあたり「やわらか系」のプリセットを探したがどれも「硬い系」の音ばかり。柔らかい音に弾きこなせない自分の実力不足なのか?「500MBピアノ」も音が太くはなるが「硬い音」なのは変わらず。しばらく演奏力の向上と音色のエディットで頑張ってみるか。

2005/07/24

 初めてフリーズした。といっても本体を起動させた後にMIDIインターフェイスを立ち上げながらMIDIクロックの同期の設定を変えたときなので当然といえば当然か。本来こんな立ち上げ方はしないから次からは気をつけよう。

2005/08/13

 KARMA機能を使用していてふと思う。テンポを替えずにフレーズだけ半分の状態に出来ないだろうかと。特にリズム系はこれが出来るとアレンジの幅が広がると思う。現状ではこれをやるにはテンポを半分にしてオーディオとして録音するか別のシーケンサーに録るしか思いつかない。どこかにパラメータがあるのだろうか?

2005/08/21

 やはり他の機器との同期関係の部分でフリーズする場合がある。タイミング的には前回フリーズしたときと同じようなケースだった(完全には同じではないが)。この部分は今後のアップデータで直ることを期待したい。
 8/18にKORGのホームページで正式に1.0.1のアップデータが公開された。試しに落としてみようとしたのだがこれが(8/21の時点で)異様に重い。データが途中で止まってしまう。そんなに同時に落としている人がいるのか?

2005/10/23

 1.0.2のアップデータが公開された。今回は修正や機能アップに関する情報はいっさい無し。それより気になるのが11/3からの「楽器フェア2005」。この中のイベントのOASYSセミナーの内容が「V1.1になったOASYSの魅力を徹底解剖します」とある。もうちょっとしたら大幅な機能アップがあるらしい。

2005/11/01

 USのサイトで公開された1.0.2のアップデータには修正や機能アップに関する情報が入っていた。もちろん全部英語なので全部読むのは面倒だ。でもBug Fixの項目が結構ある。やはりバグは結構あるのね。

2005/12/25

 12/24、ついにVer1.1のCD-ROMが到着。早速インストール。そして購入しておいた1GBのメモリを取りつけ。メモリはI・O DATA社製の「DDR400 PC3200」。メモリを追加したことによりEXs1とEXs2を同時に使用出来るということはありがたい。メモリの追加による起動時間の変化に関しては・・・たいして変わっていないような気がする。とはいっても正確に測定した訳ではないのでなんともいえないが。今回のバージョンアップで追加になった音源STR-1は、ギター系弦楽器の音を始めとして「この音源ではこんな音まで作れるんだよ」というものまで追加の音源としては面白いと思う。ギターの音色が多いという部分はギターが弾けない私としては嬉しい限り。ただ、プリセットに関して言えば音が出る一番最初の「音程にならない弦をはじく音」をうまく再現して欲しかったと思った。

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