エスニック

まずは上々

 

 引越してから2週間が過ぎ、ようやく段ボールの山が姿を消した。
 引っ越したといっても、当初はエアコンがついてなかったり、建具や照明の一部がついてなかったり、新調したもろもろのモノが届いていなかったり、と足りないものだらけのスタートであった。

 新居は住宅街の中にあり、我家だけ新参者としてやってきたのでどうやってご近所とコミュニケーションをとっていこうかと考えていたのだが、幸い向こう3軒両隣の範囲でゆうたと同じくらいの子が8人もいて、いくらでも子どもをダシにお近づきになれそうである。
 それに加えてちょっとした事件が発生し、それも言葉をかわすきっかになった。
 事件と言っても大げさなものではないが、引越しの2日後、朝の7時過ぎに向かいの奥さんがみえて「ちょっと出てきて欲しい」と言う。何事かとちゅまが出て行くと、血相を変えてちゅまが戻ってきた。
 私も出て行ってみると、なんと我家のガレージでスーツを着た若い男が寝ているではないか。
 お隣の奥さんがたまたま発見し、仲の良いお向かいさんに一言かけたらしい。
 まさか死んでるんじゃないだろうな、と、とりあえず男がちゃんと息をしているのを確認してから起こしたものの、まだ泥酔状態でどこにいるかすらわからないらしい。
 どこに帰るつもりだったのか聞いてみると、数百メートルははずれた向こう側、ってな感じ。

 「事件にならなくて良かったですね」ととりあえず皆一安心。それなりに滑り出しは上々できている。




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