エスニック

逃げた女房にゃ・・・


 共働きの我が家では育児に関しても分担作業が多い。保育園の送り迎えは、朝送っていくのが私で、夕方のお迎えはちゅまの役割となっている。
 送り迎えは大抵ベビーカーなのだが、雨ともなると会社用カバンと保育園用トートバッグに加え、傘を持ちながらベビーカーを押さねばならないので、保育園までの1km近い道のりはかなりしんどい。

 ここでやむなく登場するのが抱っこポーチである。休日のお出かけでは、私はフットワークの悪いベビーカーよりこちらの方が好きなのだが、さすがにスーツにこれを付けるのはいささかどころかかなり気が引ける。なによりネクタイはクチャクチャになるし、胸元でゆうたのヨダレと鼻水をブレンドされるリスクが極めて高くなるのが難点だ。

 まあ、どうせ誰も私のことなど見ちゃいないだろう、とタカを括っていたのだが、人が溜まる駅前の大通りを渡る時に、それとなくすれ違う人たちに目をやると…
おおっ!見てる見てる!目が合うは確率90%はあるではないか!
 そうか、やはり目立っているようだ。しかも半数の視線はどこか同情的だ…。まるで女房に逃げられた男やもめの様ではないか。
 
違―――――う!
 私は自分の意志で送り役を買ってでたのである!
(まあ、お迎え役だと飲みに行きにくいという不純な動機ではあるが…)

イカン!これからはもっと堂々と歩くようにしよう




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