エスニック

虐待について

 先日保育園にお迎えにいくと、保母さんから協力して欲しいことがあると言われた。なんでもテレビ朝日「ニュースステーション」の取材班が来ていて、愛知の幼児餓死事件を受けた緊急父母会議を開いてその様子を撮らせて欲しいということである。
 あいにくこの日はちゅまが仕事の関係で帰ってこない日だったので、なにかと家でやることが多く、ゆうたも腹を空かせているだろうと思い、
「忙しいから」
「特に意見は無いから」
「ヒゲが伸びてるから」
「遺言でTVに出るなと言われているから」
「恐妻家だから」等々、
言い訳を頭に思い浮かべたものの、

 つい…

 「
ええ、よろこんでっ!

と言ってしまった。

 こうして、その場にいたお母さん5・6人と「にわか父母会」(と言っても男は私一人だけだが)を開催したのだが、たっぷりしゃべったにもかかわらず、いざ放映されたのは全部で30秒ほど。

 ま、TVなんてのはそんなもんだろうが、なんだか消化不良のような気がするので、質問に対する私の考えを以下にまとめてみた。

<虐待する気持ちは分かるか?>
 カッとなって手が出る気持ちはよく分かるが、それを虐待だとは思わない。子供が言うことを聞かないのは当たり前。カッとなって手が出るのもカッとなった瞬間だけで、そのまま継続的に手が出るのは別問題だろう。
 もちろん今までに本気で子どもを殴ったことなど無いし、体罰を肯定するつもりはないが、虐待とは虐げる意志が有るからこそそう呼ぶのであって根本的に次元の違うものだと思う。
 この前提で言えば虐待する気持ちは一片も理解できない。

<虐待の背景は?>
 マスコミに取り沙汰されたものをみる限り、大別して2通りに分けられるのではないか。
 勝手に命名すると、1つはヒトの親になる資格の無い者が起こす「無責任型」。もう1つは「こんなに一生懸命がんばっているのになんで思う通りに育ってくれないのか」という「育児突進型」。
 正直言って「無責任型」に関しては極めて悲観的である。場合によっては行政側が親権を剥奪し、子どもを親から隔離する必要もあるのではないかと思う。
 「突進型」はストレスの捌け口を見つけてやれば事態の改善は充分可能ではないかと思う。根本的には育児に対して前向きなのにそれが裏返しになってしまっているようなので、一人でも二人でも相談できる相手、同じ悩みを持つ相手がいるだけで危機的状況には陥らずに済むのではないか。
 小さいうちから子どもを保育園に預けることに関しては色々意見もあるだろうが、四六時中絶えず子どもといるよりは仕事で外に出ている方が育児に対する鬱憤は溜まりにくいと思う。
 同居している親も無く、近所付き合いもほとんどないとなるとストレスの捌け口がなく、どうしても小さな世界に篭りがちになってしまうのではないか。そうした状況に陥らないための手段の一つとして「預ける」ことを考えるのもよいのではないか。

<なぜ虐待が絶えないのか?><どうしたら虐待を減らせるか?>
 虐待だけに限らず、「キレる」高校生などの事件も含め根本的に「思い通りに動かない相手を許容できない」という人間としての器の問題だと思う。
 核家族化が進んだうえ、家庭内でも個室に逃げ込むことが出来、当然近所付き合いも疎んじる現在、付合いたくない相手とは付合わないという傾向があまりに強すぎるのではないかと思う。
 確かに、一昔前のようにプライベートなことまで他人に踏み込まれなくなったという気軽さはあるだろう。
 しかしその弊害として、嫌でも顔を突合せているうちに相手のいいところも見えてくるといった大人の視点が養われていないのではないか。
 もちろん相手には自分の欠点も認めてもらっているからこそ人間関係のバランスが保てると言うことも理解できないのだろう。

<父親の役割について>
 私は、自分と子どもだけの世界に耐えられない女性を母親失格とは思わない。そもそも、父親・母親失格とはどういうことか、父親と母親の役割とは何か、その差はどこにあるのかと言うこともはっきり答えられないというのが本音である。
 ただ、子育てに関して出産・授乳以外はすべて父親でも出来ると言う考えが私にはある。もちろん、共働きで家事・育児も共同で、と言いたいのではない。家庭のスタイルは様々で、各家庭ごとの「理想」はあっていいはずである。その中でも将来はますます「主夫」という選択肢も認められてくると思う。
 しかし、育児に参加する意志があってもそれを許さない状況の父親は依然多く、「父親は外で働くもの」という価値観は今なお広く根づいたままだ。
 私にしても、環境が許せば「育休」などは是非取ってみたいと思うが、40日ほどある有休も数日しか使わない状況では望むべくも無い。幸い残業が殆ど無いので、その分手伝いがいくらか出来ている程度に過ぎない。
 ただどれほど忙しくても、最低限の役割として妻の「話をよく聞くこと」は必要だろうと思う。

・ ・とまあ、こんなことを話してみたんですヨ。
あまり堅苦しいことを書くのもなんですが、「0歳保育」や「共働き」「早期教育」などについてもおいおい書いていきたいな、と思っておりますのでどうかよろしく。

(ご意見お聞かせ頂ければウレシイです)



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