昔むかし、あるところに 
            しな乃という名の女の子がいました 
             忘却と風化の嵐に晒されて 
             
               光陰矢のごとしとはよく言ったものです。娘の交通事故死から、はや20余年という長い年月が経ちました。娘が生きていれば、三十路に差し掛かります。たぶん立派に成長し、今ごろ可愛い孫の顔でも見せてくれていることでしょう、と考えるのは、私たち家族だけかも知れません。 
             
               娘と一緒に育った幼友達・同級生の脳裏のなかに、もはや娘の存在はありません。いえ会社の元同僚や、幼友達・親戚の人たちにとっても、間違いなく過去の話となっていることでしょう。 
               では、私たちはどうなったかと問われれば、やはり以前のように泣いてばかりいることはなくなりました。悲しみを、うまく逸らす術を身につけたからかも分かりません。 
             
               でも私たちの胸中から娘がいなくなることは、決してありません。ホームページ「森にかえったしな乃」は、娘の死後ほどなく作ったものですが、このほど新しく作り変えることにしました。 
             
              忘却と風化への、親のはかない抵抗とご理解ください。 
             
             
              
                                  帰らぬ主を待っているのは、この人形たちだけ 
             
             
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