■ [ 2002. 4. 3 更新 ] 自賠責紛争処理に第三者機関指定 法・医など専門家調停 国土交通省と金融庁は1日、自動車損害賠償責任(自賠責)保険や共済の支払いをめぐる紛争の処理機 関として、新たに設立された第三者機関「自賠責保険・共済紛争処理機構」(理事長・倉澤康一郎武蔵 工業大学教授)を指定した。 同機構は主に、被害者側の重過失の有無や、後遺障害の認定をめぐる紛争を調停する。弁護士や医師、 法学者ら計46人の委員で構成。トラブル内容により1件につき専門分野の委員3人を選定。合議制で 解決に当たる。 これまで紛争処理は、損害保険会社などからなる「自動車保険料率算定会」内部の第三者組織が請け負 ってきた。が、「損保寄りではないか」と疑う声もあったため、全くの第三者機関を新設することにし たという。 (4.2.20:32) [ 朝日新聞 ]
■ [ 2001.6.16 更新 ] 井手会長自賠責問題を国会で語る 6月5日(火)、衆議院「国土交通委員会」において、遺族の会の井手会長は参考人として意見を 陳べました。3年におよぶ自賠責保険問題も法律改正という山場を迎えました。 私たちが守ろうとした、政府再保険制度がこの改正でいよいよ潰えようとしています。 この参考人質疑が行われた翌日、委員会では法案を無修正で採択しました。本会議を経て、審議はい よいよ参議院にうつります。被害者救済が十分でないとして反対するのは日本共産党のみです。 仮にこの法律改正がなされたにせよ、私たちは今後も執拗に損保会社の被害者いじめを監視し続けて いく覚悟です。 (井手会長の意見書全文はここをクリックしてください)
■ [ 2001.3.3 更新] 自賠責運用益、9000億円を被害者救済に 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の制度改革を検討してきた国土交通省は、廃止される「政府再保険」の累積 運用益約二兆円のうち約九千億円を交通事故の被害者救済対策資金に充てることを決めた。 残る約一兆一千億円が保険料負担の軽減など自動車ユーザーに還元される。 再保険制度廃止に当たっては、ユーザーメリットと被害者対策のバランスが大きな課題となっていたが、在宅介護支 援など現行の被害者対策が後退することなく制度改革が実現する。 これらの内容を含む自動車損害賠償保障法など関連法案は二日、閣議決定される。 現行の自賠責保険は、損保会社が集めた保険料の六割をいったん国が預かることで、損保会社が保険金の払い渋りを していないかをチェックする「再保険制度」がとられている。 一九五五年の制度発足以来の大改革となる今回の制度見直しは、この再保険制度を廃止した上で、〈1〉保険金支払 いをめぐるトラブルを解決するため民間の紛争処理機関を新設し、国が監督する〈2〉損保会社は、保険金の支払い 基準を事前に被害者側に示し、逸失利益や慰謝料などの明細を被害者に示す――ことなどが大きな柱となっている。 約二兆円に上る再保険の累積運用益の使途については、今回、「二十分の九」を被害者救済対策に充てることが法律 に明記される。 被害者対策予算は、療護センターの設置・運営や在宅介護支援、短期入院助成のほか交通遺児への援護など年間約百 九十億円に上るが、累積運用益から割り当てられた約九千億円を基金として運用することで、同省は十分な被害者対 策が実現できるとしている。 一方、残る約一兆一千億円は自動車ユーザーに還元される。今後は保険料の全額を損保会社が運用可能になることか ら、運用益の活用により保険料の値下げも期待される。 (3月1日14:37) [ 朝日新聞 ]
■ [ 2000.11.30 更新] 手前のチェック機構に拘る損保協会
11月の30日、明日から師走に入ろうとしています。 この日、運輸省において「第9回今後の自賠責保険のあり方に係わる懇談会」 が開かれました。来年の法案作成のために、懇談会では報告書の作成を急いで います。 損保協会は、再保険制度の廃止に伴い、適正な支払いにかんするチェックを自 ら行うとして、委員の全員から猛烈な反発を受けました。チェックとは、あく までも公正さが保たれてこそ信頼性が増します。 損保協会は、「民で出来ることは民で」という建前に拘って、自前のチェック を主張して譲りません。 今回損保協会は、公益法人の「自賠責保険紛争審査機構」という案を持ち込み ました。権限もなければ、法的な裏付けもない機構に、どれほど期待がもてる でしょうか。「自分が行う支払いの公正さを、自らチェックする」という、子 供でも分かる不自然さに、彼らは少しも気がつかないのです。 委員の中からは、「再保険廃止そのものを、原点に戻って反対する」など、強 硬な意見が飛び出しました。 損保協会は、これにたいし何ら明快な説明を行わないまま、結論は次回に先送 りされました。 写真は、西崎座長と、手前に金沢理委員
全国交通事故遺族の会の井手会長と、全国交通事故後遺障害者団体連合会の北原浩一さんらは、 10月4日、運輸省に森田運輸大臣を訪ね、来年の国会に提出される自賠責保険法の改正と、 それに伴う制度改正について、被害者保護の最優先を求める陳情を行いました。
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次いで次官室において、泉運輸総括政務次官(参議院議員) に面会、大臣に対してと同様の陳情を行いました。以下は当日 手渡した陳情書です。 写真は陳情する井手会長と泉運輸政務次官 | ,![]() |
平成12年10月4日 運輸大臣 森田 一 殿 |
■ [ 2000.7.01 更新 ] 6月28日自賠責審議会、日野長官に最終答申書 本年4月金融監督庁長官より諮問を受けて開催されていた「自賠責審議会」は7回に及ぶ審議会を経て、 6月28日、その答申書をまとめ上げ、即日日野長官に答申されました。 新聞記事に見るように、被害者保護が全面に押し出された内容ですが、とくに遺族の心のケアにまで踏み れなかったのが残念です。 それにつけても、なぜ今、政府再保険制度を廃止しなければならないか、充分に説明されつくしていませ ん。いっそ、損保業界を肥やすためだと言ってくれれば・・・・ 毎日新聞6月29日(木)朝刊より● 自賠責保険見直し点
自賠責改革 重度障害者救済を強化 審議会答申「協力病院」も創設へ 自動車損害賠償責任(自賠責)保険の制度改革を検討 してきた自賠責保険審議会(蔵相・金融監督庁長官の諮 問機関)は28日、被害者救済を強化するため、195 5年の制度創設以来の抜本的改正を求める答申を出した。 従来の金銭的な被害者保障の概念から脱し、ここ10 年間で倍増している重度障害者を自賠責保険で支える重 要性を打ち出しているのが特徴だ。 同庁と運輸省は制度改正に着手し、来年1月の通常国 会に関連法案を提出する方針だ。 答申では、重度後遺障害者に支払われる保険金につい て、死亡した場合と同じ上限額 3000万円に「介護料」を上積みして支給する方針が 打ち出された。 これまで自賠責保険から支給されてきた毎月約7万円 の介護料も来年以降10万円に増額されて継続される見 通しで、在宅患者を介護する家族への支給が手厚くなる。 重い障害を負って寝たきり状態になっている被害者 を治療する高度医療施設「療護センター」(全国3 カ所)は現在の140床から310床に増やして受 け入れ態勢を強化。 同センターや新たに創設する「協力病院」で、短 期入院や相談業務も行うべきだとしている。 脳障害で記憶力が極端に落ちる「高次脳機能障害」 については、後遺障害としての認定システムを構築 することを求めている。 国が、損害保険会社の集めた保険料の6割を預か って運用し、被害者対策に充てていた「再保険」制 度を廃止することに伴い、新たな財源として保険会 社の保険金運用益から、被害者対策費用を徴収する 「賦課金」制度の創設を検討する。 同審議会に4月から参加が認められた全国交通事 故遺族の会の井手渉会長(64)は「被害者が置か れた窮状を訴え続けることで、よりよい制度にして いきたい」と話している。(江差 正嘉)
見直しの本音 ・ 政府再保険制度の廃止
・ 運輸省カラーの脱色改正点 ・ 重度後遺障害者に介護料を支給
・ 高次機能障害者救済システムを構築
・ 事故紛争処理センターなどの機能充実
・ 運用益活用事業の縮小
・ 保険料の引き下げ置き去りになった点 ・ PTSD対策
・ 労災同等の障害認定基準
・ 加害者無責の被害者救済
・ 示談交渉制度の見直し
・ 自算会の組織改正
・ 科学的捜査手法の導入
・ すべての分野での情報開示一顧だにされなかった点 ・ 命の値段の算出
・ 被害者自助団体の育成
・ 恒久的事故防止ビジョンの策定
・ 交通事故関連行政窓口の一本化
■ [ 2000.6.27 更新 ] 自賠責審議会における、被害者の声を二木先生が代弁
自賠責保険に対する私の考え方 二木雄策(姫路獨協大学教授) 政府再保険制度の廃止に見られるように、自賠責保険見直しの背後にある理念は「規制緩和」である。 このことは、本審議会が諮問を受けた4月12日の会議で、日野正晴長官が自賠責保険にも市場原理が導入 され自己責任原則が貫徹されるべきではないか、という主旨の発言されたことからも伺うことができる。 経済全体、なかんずく金融の世界において「規制緩和」が必要であるというのは主流的な考え方だが、その背 後にあるのは当事者間の自由な競争が最適な(oputimum)経済状態をもたらすという理論である。 自由な競争が経済を活性化させ、それが雇用・所得などの拡大だけではなく、効率的な資源配分をももたら すはずだから、自由な競争を規正する枠をはめるのは極力避けるべきだ、というのである。 このような理論は一般論としては成立するかもしれない。しかし問題は自動車保険、とりわけ自賠責保険に おいてもこの自由競争の原理が成り立つか否かである。 この点に関しては、自動車保険がいわゆる第3当事者保険(third party insurance P・S・アティア 『法の迷走・損害賠償』)であることに留意しなければならない。第3当事者保険というのは、保険金が第3 者・・・自動車保険でいえば被害者・・・に支払われる保険をいうのだが、保険金受取人が保険契約そのもの においては第3者=部外者にすぎない以上、競争が被害者に望ましい結果をもたらすという保証はない。 事態はむしろ逆であって、競争が当事者にとって有利な結果をもたらせばもたらすほど、第3者である被害 者はそのしわ寄せを受けざるを得ないのではないか。 自由競争が保険に関係するすべての主体=保険会社・保険契約者・保険金受取人にとって最適な結果をもた らすのであれば、自動車保険を総て任意保険とし、その運用を市場原理に任せるのが最も望ましい、というこ とになる。しかし実際はそうではない。 一般的に言って、被害者の利害は保険会社の利害と対立するだけではなく保険契約者=加害者のそれとも相 反するからである。第3者はあくまでも第3者にしかすぎないのであって、だからこそ被害者を保護するため に自賠責保険という強制保険制度が設けられなければならなかったのであり、政府再保険制度が採られもした のである。 実際、自賠責保険が発足した当初、政府再保険制度が必要とされたのは、大別して次の二つの理由からであ るとされている。(保険毎日新聞社=『自賠責保険のすべて』)。 @自賠責保険は市場原理が働くものではないから、保険会社は事故の責任でリスクを回避することができな い。その上ノーロス・ノープロフィットの原則が保険会社の行動を制約する。 規制がもたらすこれらの不利をカバーするために政府再保険制度が採られた。 A政府再保険制度は、政府が保険会社の運営に一定の枠をはめ保険金の支払い状況の公正化・適正化を図る ことによって、被害者救済という目的をより確実に達成するために設けられた。 しかるに新聞等に書かれている限りでは、政府再保険廃止の理由は保険会社の経営力が当初に比して格段に 強いものになったという@の観点からのものだけであって、被害者保護というAの観点は等閑視されている( 例えば4月7日付け日本経済新聞)。 政府再保険の廃止が被害者保護という原則にどう影響するのかは何も論じられていない。これは議論として 片手落ちである。 本来、必要なのは「規制緩和」を前提とした上で自賠責保険本来の目的=自賠法第1条にいう被害者保護= を貫徹するためには規制をどこまで緩和すべきかを論じることではないのか。 しかし事態は「まず規制緩和ありき」である。このような状況の許だからこそ被害者保護に尚更の配慮がな されなければならないのである。 以上 (平成12年5月16日、自賠責審議会での発言から)
■ 自賠責懇談会、第2回基本制度検討部会 [ 2000.6.13 更新 ]
6月12日、運輸省において自賠責懇談 会、第2回基本制度検討部会が開かれま した。 今回は委員3人(賀集・堀野・福田)の 他、2人の参考人からの意見陳述が行わ れました。 拓殖大学の藤村和夫教授は紛争処理セン ターの拡充によって、将来的には悪名高 い示談代行制度の廃止を視野に入れたい、 との新しい提案をされました。 また運用益について、保健料の引き下げ のように、安易な方法を選択すべきでな いなどが述べられました。 またジャーナリストの柳原三佳さんは、 保険会社の払い渋りなどを「無責」を例 にとって説明、被害者保護を訴えられま した。 堀野委員は「市場原理に立つ損保企業は、 必然的に被害者救済を営利目的に整合さ せることはできない」とし、自賠責の民 営化には限界があるとの発言されました。 | ![]() |
| 意見陳述をする柳原三佳さん |
■ 自賠責審議会に制度改革第一次案でる [ 2000.6.8 更新 ] 金融監督庁長官の諮問を受け自賠責審議会が開催されています。今回は自賠責保険の 「政府再保険制度」の存続に関する審議が中心になっています。 全国交通事故遺族の会の井手会長および、二木先生が被害者代表として臨時委員に加 えられました。 私たちは運輸省懇談会が打ち出した「被害者保護を後退させない」という方針を、履 行したうえでなければ、制度改正には賛成できないとの立場をとってきました。 ユーザー(保険者)への利益還元という雰囲気が強い会議の空気の中で、あくまでも 被害者保護の確約を取ろうと、井手会長たちの奮闘が続いています。 6月7日開催された同審議会には、金融監督庁側から第一次案が提示されました。 会議終了後井手会長と全国交通事故後遺障害者団体連合会の北原浩一代表は、請願署 名簿18450名分を金融監督庁に提出し、改めて被害者側の危惧を伝えました。
[ 被害者保護の道筋が描けない自賠責保険 ] 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は被害者保護という観点から、世界的に見ても類を見ないすぐれた 制度である。この立て役者は、ひとえに「政府再保険制度」にあるといえる。 政府(行政)が絡むことによって、精密審査といわれる支払い業務のチェック機能が発揮され、保険金支払 い以外の救済策、例えば重度後遺障害者への介護料の支給や、植物状態の患者を受け入れる「療護センター 」の開設が可能になった。 再保険制度は、民間損保業界の保険金支払い能力が不安だった45年前の時代的背景がある。その意味から すれば、民間に資金力がついた現在、制度の見直し論議があっても不思議はない。 ことの始めは規制緩和の流れに乗って、損保協会に後押しされた経団連が、自民党行革本部に自賠責保険の 民営化を働きかけのがきっかけとなった。改革の矢面に立った運輸省は、99年2月「今後の自賠責保険の あり方に係わる懇談会」を設置した。 全国交通事故遺族の会の井手会長ら、被害者代表を含めての議論の結果、被害者保護の充実を中心に据えた 5項目を満たした場合、という条件付けで(運輸省は)再保険制度の見直しを容認した。 これを受けた政府は今年3月、平成12年度以降の再保険廃止を閣議決定した。ただし政府の方は5条件整 備の確認をしないまま、「始めに再保険の廃止ありき」の見切り発車の形となった。 提案を曲解された感じの運輸省は、急遽懇談会を再開し、被害者保護の具体策を提案するとして「紛議審査 会」の設置や、後遺障害者対策費として損保業界からの資金拠出などを提唱し、業界側から一斉に反発され ている。 一方、金融監督庁におかれた「自賠責審議会」では、再保険制度の廃止を前提に、法律改正を含む自賠責保 険の枠組みを策定すべく、6月にも答申書をまとめる方向で動いている。 この審議会に井手会長ら被害者代表が臨時委員として参加したのは、ようようこの4月のことである。 審議会の方向は、近い将来の再保険廃止を念頭に、2兆円にもなる運用益の処理が最重要課題になっている。 自賠責保険はノーロス・ノープロフィットであるからとして、保険料の引き下げが最優先されているのだ。 さて、懇談会・審議会とも再保険廃止に伴う議論に、肝心の被害者保護のあり方についての議論が全くなさ れていない。そもそもこれが大問題である。 現在車の保有台数と免許証の所持者、そして被害者の100万人という数を考えれば、交通事故は国民の大 部分が関わる大きな社会問題であることに異論はないだろう。 微々たる保険料の調整などという、帳尻合わせを議論している場合ではない。そもそも運用益は自賠法によ って発生したものであり、本来被害者保護に使われるべきものである。 一例を挙げれば、自賠責から支払われる高度機能障害者の在宅介護料は、一日たった2250円である。 これを最高月額35万円が支給される介護保険制度と比較すれば、現行制度がいかにその負担を家族に押し つけているかが分かる。 むろんこれら制度を見直すことも必要だが、こうした議論に行き着かないのは、被害者保護のあり方を行政 側が充分に議論していないのと同時に、「金だけ払っておけば良い」とする安易な考え方があるように思わ れる。国は命の値段問題に踏み込もうとしないばかりか、遺族の心的外傷(PTSD)など後遺障害にも目 をつむったままである。 交通事故の解決には膨大な時間と費用がかかることを認識しないと、これからの被害者対策は成り立たない ことを肝に銘じて欲しい。 もう一点被害者保護とは、直接被害者だけに付与されるものという考えを改めるべきだろう。 交通事故は、人的にも経済的にも国家にとって無益な浪費である。運輸省の事故対策センターには、交通事 故防止という重要なテーマがあるにも拘わらず、実状は広報活動などでお茶を濁しているため、官僚天下り の受け皿のごとく非難されるのである。国会から「交通安全対策特別委員会」が姿を消した現在、まさに自 賠法と運用益を拠り所にして、事故防止の旗手を、今こそ行政は買って出るべきではなかろうか。 自賠責保険精神の生きた提案をしないからこそ、被害者側の危機意識を拭えないばかりか、国民のコンセン サスが得られないのである。
金融監督庁 長官 日野正晴 殿 運 輸 省 大臣 二階俊博 殿 |
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