NANTA-COOKIN`BEATS-
(1月7日 東京・青山劇場)
今年の初観劇はメイドイン韓国のミュージカル、というよりはもうパフォーマンスショーと呼ぶほうが相応しいかも。韓国の伝統的な「サムルノリ(四物演戯-4つの伝統的打楽器によるパーカッション・アンサンブル)」にあわせて展開する個性豊かな4人の料理人によるステージ。
結婚式の宴会用の料理を用意する、という万国共通の設定の中、時々覗きにくる厳しい支配人の目を盗んで4人の料理人が料理と遊びをリズムで表現する。台詞なんてほとんどないようなもの。最初のスープからデザートまで、作り上げながら、包丁や鍋、野菜、ペットボトルなどあらゆるものが打楽器に変わり、ビートが刻まれ、ステージと客席が90分間に渡りうねる。
このステージの一番にして最大の優れているのは「見てわかること」と「血を感じる」ことの二つに尽きるんじゃないかなあ。
見てわかるーそれは韓国はもちろん、アジア各国はもちろん、昨年8月のエジンバラ国際演劇祭でも絶賛されたことからも明らか。つまり言葉の力ではないのだ。もっとも台詞がほとんどないのだけど。そこで行われていることが国も世代も超えた面白さがあれば、かならず伝わる、それをリズムに乗せてもっともシンプルな形で見せていると思う。
たとえば、バナナの皮で滑って転んだり、支配人にどやされる光景は誰が見ても面白い。そこで「しょうもない」と感じる以前に「誰が見ても面白い面白さを徹底的に研ぎ澄まさせよう」と磨かれたのがこのステージであり、韓国のショーなのだ。客席を巻き込んで足を慣らし、手を打ち鳴らす。こういう形態に異議を唱える評論家も多数入るが、現にここまで客席を巻き込むうねりを生み出せる作品が日本ではあまりお目にかかれないだけに、日本の舞台にもこんな流れがでるきっかけになってくれたらいいのにな。
血を感じることーそれは韓国の血、アジアの血のリズムを感じたこと。大げさかもしれないけど、そもそもまったく縁のない四物演戯のリズムに自分の体がちゃんと反応するということは、やはりアジアで生まれ育った人間だなあとちょっと感じた。韓国では宗教と結びついたこういった伝統音楽は西洋音楽の影響を取り込みながら現代にも息づいているというが、そんな飾りを全部取り去ったまったく原始的な音の積み重ねにちゃんと反応し、興奮できる。そんな彼らが日本ではまだだれもなしえていない世界各国での公演を実現させたこと、うらやましくもあり、またアジアに暮らすものとして誇りにも思えた。 |
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