Bf109F(翼コレクション)

童友社 1/100

 

  <コメント> 

  先に書いた様に、この翼シリーズは、元々は完成品ブーム乗っただけのお手軽商品的なものでした。
 少なくとも、四半世紀以上も前の金型を再利用していたこれまでのラインナップは、間違いなくそうだったと言えます。
 それが、予想以上に売れたのか、はたまたスケールモデラーからの強い要望でもあったのか、このBf109Fからは専用金型を
 使った本物の新製品として出てくる事になったのは嬉しい誤算です。正直、童友社を馬鹿にし過ぎていたかも知れません。

 ライトユーザー層を取り込む手段として、塗装済みキットは一つの手だと思います。が、そのレベルが低いのでは現在の食玩と
 変わりが無い。むしろ接着などの組立作業が加わる分、商品性は低くなるでしょうし、食玩との差別化も出来ません。
 食玩よりも少し手間は掛かるものの、出来には歴然とした差がある・・・という物でなければライトユーザーの目を模型の方に
 向けさせる事は出来ないでしょう。

  童友社が本気で模型業界の将来を考えているのかは知りませんが、今回から塗装済みを前提としたスケール的にも十分な出来の金型を起こし、
 しっかりとした塗装を施し、400円弱という低価格で供給している、という点については素直に賛辞を送りたいと思います。
 そして、ライトユーザー向けの入門用として、今後もこのフォーマットでラインナップを展開して行ってくれる事を期待したいですね。

<キットについて>

  先に書いた様に、塗装済みを前提とした新金型のキットです。
 機体のアウトラインは非常に良い雰囲気ですし、モールド等もスケール的には十分なもの。金型は、部品の切り離しの際に塗装面に
 影響が出難いようにゲートをアンダーゲート的に加工しており、殆どの部品は、丁寧に切り離せばタッチアップ不要です。
 又、各部品の合わせも非常に良く、隙間が出ないのは、最近の加工技術から言えば当然とは言え大したもの。
 塗装は、これまでのシリーズ同様、良い出来です。色味的にもそう文句は出ないでしょう。

 問題としては、スピナーの径が一回り以上大きい事と、今回もピトー管が省略されていること。前者はちょっと修正不可能ですが、後者は
 真鍮線等を使えば大した手間無く再現出来ます。(と言いつつ、今回はPASSしてますが…(^^; )
 スミ入れや汚しなどはなされていませんが、これは、むしろ作る人の楽しみにやらないでおいてくれた方が良いかもしれません。
 今回は初めてコピックを使ってみましたが、スミ入れはなかなか良い感じに出来ました。汚しの方は、まだまだ研究が必要ですが。

  このキット、組み上げるだけなら30分強。スミ入れ・汚しの塗装作業を含めても、完成させるのに1時間は要りません。
 コピックの様なアルコール系塗料を使えば、有機溶剤臭は接着剤以外嗅がずに済みますし換気も不要です。
 リモネンの様な非有機溶剤系接着剤を使えば、それこそリビングで家族を前にして作業しても文句は言われないでしょう。
 その点でライトユーザー層にはとっつき易いでしょうし、それ以外にも、日頃、有機溶剤臭を目の敵にされて肩身の狭い思いをしている
 オジサンスケールモデラーが、ストレス解消に息抜きで作るのに丁度良いキットだと思います。

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