翼コレクション

童友社 1/100

 

  <コメント> 

  ブームは既に去ったとは言え、確固たる1ジャンルを形成した食玩に代表される塗装済み完成品商品群。
 アイテムも、万人受けする物から(ネタ不足なのでしょうけど)最近は随分とマニアックな領域に広がっています。
 これがモデラーの裾野を広げるのに繋がるなら喜ばしい事ですが、実際はライトユーザー層を『買って集めるだけ』にしてしまい、
 むしろモデラー人口を減らす方向に働いている様な気がします。

 その辺については当然の事ながら模型メーカーの方が真剣に考えている筈で、実際、バンダイからは塗装済み発光ギミック付きの
 エンタープライズ号(スタートレック)シリーズが発売されました。
 ガンプラの御蔭で体力に多少の余裕が有るが故とは言え、塗装済み前提の専用金型を作った本気さは素直に評価出来ます。
 (値段には落涙しましたが・・・)
 一方、スケール物のメーカーから出てきた回答らしい回答がこの童友社の翼コレクションってのは、正直、少々情けない。
  #タミヤのマスターワークコレクションは塗装済み完成品そのものですし
 まあ、明日の朝食を心配する前に、今日の晩飯を確保せにゃならんという事なんでしょうかね。その為だけに専用金型を起こす体力は
 無いってのが正直なところかも。童友社のこれにしても「出来る事を出来る限り」やっている事は確かでしょうが、バンダイの本気を
 見てしまうと、お手軽なお茶濁しの感は否めません。値段や塗装レベルを考えればかなり頑張っているとは思いますし、キットの本来の
 目的からすれば、何も考えずにパチパチ組むのが正しい姿であるとは思います。ただ、現在売られている食玩のレベルを考えると、
 本当にこれで良いとするの? と思わずにはいられません。

  塗装済みキットだけがモデラー人口を増やす(あるいは減らさない)為の手段ではありませんが、何か努力をしかも本気でして
 ライトユーザー層を取り込まなくてはこの先ジリ貧になるという事は、当のメーカー自身が1番判ってる筈なんですがね。
 その意味では、少し前にファインモールドが出した大判の塗装迷彩デカールは、より積極的な回答の一つになるものだと思います。
 タミヤ・ハセガワの両雄が、本気でこの懸案に挑んでくれる事を期待したいですね。

<キットについて>

  元々はマンサンのキットだったと記憶しています。つまり30年以上も昔のキットな訳で、今の目でどうこう言っても仕方無いでしょう。
 零戦の機首・風防廻りを除けば、完成したイメージは思っていたより良いです。ただし、各部の合わせは30年前レベル。
 特に左右胴体の段差はキツイです。又、一部にバリも出てます。金型はそれなりにメンテしたと聞きますが、何をメンテしたのか。
 こういう商品形態にするなら合わせの向上は必須なのですが。(-_-;)
 結局、ダボを切り飛ばして外形合わせ優先で形にしましたが程度問題。塗装を考えると広範囲にペーパーをかける訳にも行かず、
 カッターの刃を立ててガリガリやる程度でお茶を濁しました。機銃・ピトー管類は全て省略されており(塗装の為だとか)、そのままでは
 あまりに寂しいので、0.3mmの真鍮線で再現しました。簡単な加工ですが、これで大分雰囲気が良くなります。

  売りである塗装ですが、こちらは流石になかなかのもの。特に隼の塗装なんかは、私には絶対出来ません。その分、前述の
 段差が恨めしいです。タッチアップで済ませるしかないのですが、原色系や上面色はともかく、零戦・雷電の下面色は調色が必要。
 しかも妙に青や緑が入っていたりして、色を合わせるのが結構手間でした。対象ユーザーを考えると不必要なのかも知れませんが、
 調色表を入れておいて欲しかったですね。

 ちなみに、隼の風防は四式戦のもの。例のアナウンスを知る前に接着していたので、請求するのも面倒だしとそのままにしました。
 殆ど違和感が無いのは、同じ中島の機体だからこそでしょう。

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