零戦22型

ハセガワ 1/48

 

  <コメント> 

  「22型は最もバランスのとれた零戦である。」とは、某大御所モデラーの御言葉です。
 確かにその通りで、機体のバランスとしては最もまとまっていたのは間違いの無いところでしょう。
 零戦の中で一番の美人であると、私も思います。ただ、その登場背景には、ちょっと考えてしまいますね。

  22型が21型からの正常進化版であれば、別に文句をつけるつもりはありません。が、御存知の通り
 最初の大幅改修型である32型が、若干の性能向上と引き換えに航続距離の大幅な減少をまねいており、
 折から発生したニューギニア地区での航空戦に使えない事が判明した為、慌てて機体を元に戻したのが
 この22型でした。結局のところ、零戦という戦闘機の性能バランスの限界が22型であったとも言えます。
 (1000ps級ENGである「栄」しか無かった、当時の日本の限界でもあるでしょう)

  ガダルカナルから始まったニューギニアでの航空戦は、日本軍の大損耗という形で決着し、それ以後
 航空戦で大攻勢に出る連合国に対し、日本軍は防戦一方となっていきました。
 零戦も、以後の型は、局地戦闘機(防空戦闘機)的性格を強めていきます。<航続距離より速度と火力

 そういう流れを知っているせいでしょうか、私は、22型には、零戦が栄光のピークから転落していく
 運命の影みたいなものを感じてしまいます。

<キットについて>

  ハセガワがプライドを賭けて取り組んだキットですから、モールドやカウリングの形状等の出来には
 文句ありません。全体のフォルムも良好だと思います。主翼の捩り下げの表現は、確かにそう見える
 写真もありますが、少々やりすぎの様な気がしますね。又、バリエーション展開の為に機首部が分割されて
 いますが、この分割位置はもう少し考えて欲しかった。目立つところなので修正には結構気を使います。
  確かこのキット以降「ハセガワの新解釈」とやらが、やたらと売り文句として目立つ様になりましたが、
 ハッキリ言って、かなり眉唾で独善的なものが多いと思います。作り込み派の人は要注意でしょう。

 塗装は582航空隊所属機。小池画伯の描く箱絵に魅了されました。(^^;
  #ハセガワの売り上げの半分は、小池さんの箱絵の魅力によるものでしょうね
 上面暗緑色・下面明灰白色の典型的海軍機塗装。暗緑色については、エナメル黒の汚しで変化をつける
 つもりでしたが失敗してます。濃色系は、塗装時にちゃんと変化をつけてやらなきゃ駄目ですね。
 下面色は「飴色」という説もありますが、私は「飴色」自体を信じてないので無視しました。
 そう言えば「飴色」説の張本人、考証の大家N氏の御名前が、最近、各社の資料書籍から消えてしまった
 ようですが、どうされたんでしょうか。

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