海上自衛隊 護衛艦 みらい

ピットロード 1/700

 

  <コメント> 

  「沈黙の艦隊」でブームを巻き起こしたマンガ家かわぐちかいじ氏が、新たに始めた軍事物「ジパング」。
 その舞台と言うか、主役の一人がこのヘリ搭載イージス艦「みらい」です。
  話の冒頭、タイムスリップでミッドウェー沖に「みらい」が出現した時には、日本版「ファイナル・カウントダウン」
 でも始めるつもりか?とも思いましたが、そこは脳天気なアメリカ人との差、
  #あるいは戦勝国と敗戦国との差か(苦笑)
 歴史への干渉の是非・未来を知る人間は、歴史に対しどの様な態度を取るべきか、という哲学的な方向に
 物語が展開していっています。
そうは言っても小難しい議論が交わされる訳でもないので、読者としては
 草加少佐と角松副長を中心として繰り広げられるIF戦記の世界を、素直に楽しむのが吉でしょう。
 今現在、私にとって1番次回が楽しみなマンガです。>「ジパング」

 さて「みらい」ですが、改こんごう級ヘリ搭載イージス艦「ゆきなみ」級の3番艦という、ちょとニヤリとさせてくれる
 設定ですので、現実の護衛艦が好きな方も抵抗無く受け入れられると思います。
  #小型オスプレイの如き「うみどり」は、好き嫌いが分かれるかも知れませんが
 それにしても、ドーントレスの攻撃くらいで被弾(体当たりか)してもらっちゃ困るんだけどなぁ。 

<キットについて>

  ピットロードの最新作という事になりますが、ハッキリ言って今年作った中でのワーストキットです。
 勿論、絶対的なレベルでより組み難いキットは多々ありますが、ピットロードのキットとしては、その組み難さで
 ワーストを争える出来ですね。模型誌で「初心者には少々ツライ」と書いてありましたが、そんなレベルじゃありません。
 普段模型をやらない人がマンガに刺激されてこれに手を出したとしたら、2度と模型は作らないでしょう。

  第1の問題点は、艦体及び上部構造物の合わせの悪さ。艦橋周りのパーツの合わせも良くないですが、
 その後方、ヘリ格納庫まで続く上部構造物のパーツと艦橋・艦体・上甲板との合わせがガタガタです。
 仕方ないので、上甲板の構造物の陰になる部分のモールド・第1煙突のラッタルは全て削り落し、瞬着を
 併用して強引に接着した後に、パテで隙間を埋めています。
 叉、艦尾の延長パーツも情けないくらい合いません。上甲板は辛うじて合うのですが、ヘリ甲板は1mm近い段差が
 出来ますし、艦体断面は全く別物です。結局、ヘリ甲板はパテで嵩上げ(プラ板張った方が早かったかも)、
 艦体断面はパテをタップリと盛ってから丸棒ヤスリでゴリゴリやって合わせました。
 不幸になりたくないなら、艦尾延長パーツは使わない事をお勧めします。
  第2の問題点は、新規小部品の型ズレの酷さ。大急ぎで金型を作ったツケなんでしょうが、とんでもない段差が
 出ています。「うみどり」なんて、段差を削ったら一回り小さくなってしまいました。(嘆)
 ちなみに「うみどり」のプロペラは、段差が無い代わりに厚くてダルいモールドになっています。
 可能なら、エッチングのペラに置き換えた方が見栄えがグンと良くなるでしょう。<私はパスしましたが(^^ゞ

 その辺の苦行を乗り切って形に出来れば、まあ文句はありません。どこから見ても精悍な「みらい」の姿が
 堪能出来ます。
 塗装は指定通りピットロードカラーの海自グレー1・2を使用。「みらい」の発売に合わせてセット売り中です。
  #商魂逞しい気もしますが、海自グレー1は生産が止まっていたので
  #その点では、この発売は有り難いですね
 デカールは細かいものまで入ってるのですが、硬くて脆いのは困り者。注意しないと、位置修正の際に
 破れます。<マークソフターが良く効くのが救いですが
 クリアーへの耐性は良好で、この点は誉めてもよいでしょう。
 アンテナは伸ばしランナーで作り、接着後に塗装。最後に黒エナメルで全体にスミ入れして仕上げました。

 まあとにかく、久しぶりにゴミ箱に叩き込みたくなるようなキットでしたね。やらなかったのは、「みらい」を
 立体として見てみたい一念から。「ジパング」のファン以外は、手を出さない方が幸せです。私はこのキットで
 ピットロードに対する信頼が一挙に無くなりましたよ。(マジ)

 今回の教訓:信用を築くのは時間が掛かるが、失うのは一瞬である

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