MQ-1B攻撃型プレデター
プラッツ 1/72

 
こうして見ると、本当に爬虫類チック ヘルファイアのデカールは流石カルトグラフという発色です

  

<コメント> 

  UAV(無人航空機)の軍用はターゲットドローン辺りから始まった訳ですが、作戦用無人機の実戦化は以前はSFネタでした。
 それが実際に使われ始めたんだなと私が認識したのは、20年以上前のTV放送。パレスチナ難民キャンプの上空監視に
 イスラエル軍が使っていたシーンが写った時です。まあ、当時は大型のラジコンに毛が生えた程度のものでしたが、衛星通信に
 GPS,無人制御技術の進展で、20世紀末から21世紀始めに本格的な実用機が飛ぶようになりました。
  プレデターの場合は、1995年に偵察型が実戦投入され、2001〜02年辺りで攻撃型が実戦投入。対地攻撃のみならず、
 イラク戦争中の03年にはMigと空戦まで行っています(撃墜されましたが)。以降は対テロ戦争が主だった事もあって増殖を
 続け、今ではこいつとその後継機が機数上は米空軍の主力となってしまいました。

 何というか、正直ロマンを感じる機体ではないですね。いや、現代戦自体にロマンを感じる余地など無いのですが。人間を削ぎ落として
 機能を追求した機体にはロマンとか美しさとかは有りませんが、その代わりにそういう機械のもつ一種の凄みは感じられます。
 果たしている役割的にも、コレクションには加えるべき機体と言えるかと。

 ちなみに、こいつの「パイロット」は朝自宅から基地に出勤して「戦場」に向かい、定時後は自宅に帰って家族と夕食を共にする
 生活だそうです。文字通り、戦争ゲームを戦っている訳ですな。尤も、倒す相手は紛れもなく実在の人間な訳で、
それと極普通の
 サラリーマン的な勤務とのギャップで、PTSDを患う人の割合は下手すると戦地の兵士より高いとの事。 
 文字通り非人間的なレベルまで電子化機械化が進んだ現代戦を象徴する機体ですね。

<キットについて>

  輸入が本業のプラッツが、スケールキットを出し始めた最初の頃のキットだと思います。生産はトランペッターかAFVクラブか、
 何れにせよ中華系メーカーでしょう。最初期のキットだけに、ちょっとこなれていないところが散見されます。
  キットの雰囲気は、実機のの特徴的な形状もあってなかなからしいかと。各部の合わせも良く、多少摺り合わせた程度で、パテは
 一切使わずに形になりました。ただ、これは中華系メーカー共通の弱点だと思っているのですが、試組みがなされてない感じで
 ダボ穴が緩かったり浅かったりで、小物パーツの位置決め・組み付けには少々手間取ります。それと、文字通りの極小パーツが
 何点かあるので、切り離しと接着には注意が必要です。
  鬼門は機首と翼下のプローブ。小さく繊細なので、私の場合、切り離すときに飛ばしたり折ったり、接着後の取り回しの際に
 触って飛ばしたりで、3本共無くしてしましました。仕方が無いので、0.3と0.4mmの真鍮線で代用品を作っています。キットパーツと
 比べると全くモールドが無くなってしまいましたが、ものが小さいのであまり気になりません。それと後部の微小インテークに
 気をつければ、後はサクサク進みます。
 尚、機首に0.25gの錘を入れる指示がありますが、今回入れ忘れてしまったのですが、そのままで自立しました。脚が繊細なので
 重量を軽くする為にも、寧ろ入れないほうが良いのではと思います。

  デカールはカルトグラフ製で発色やクリア耐性は申し分ないのですが、御存知の通りフィルムが固めで、主翼の前縁部のラインや
 尾翼のチェッカー、ヘルファイアの黄帯や「US ARMY」の文字はそのままでは追従してくれません。ちょっと危険な技ですが、
 マークソフターをタップリ塗ってフィルムを軟化させてから馴染ませてやりました。やり過ぎるとデカールがバラバラになりますが、幸い
 フィルムが硬い分しっかりしているので、多少の無理は利くようです。

 塗装は、流行を追ってレッドブラウンを下地色に吹いてからMr.カラー315を下地を残すように吹き、茶色に振った黒でスミ入れして
 仕上げました。
(実作業時間7時間)

  今回の教訓:微小パーツの切り取りと接着タイミングには要注意のこと

18.DEC.10

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