技MIX P-3Cオライオン(厚木511飛行隊)


トミーテック 1/144



 
ハープーンの塗装が米軍仕様なのは見なかった事にしよう 兵装庫再現が珍しいので開けましたが、閉めた方が綺麗かな

  <コメント> 
 
 
最近は尖閣周辺での中国船の領海侵入が日常茶飯事になりましたが、一時期平穏だったロシアの方も又領空侵犯が増加してきたそうで、海に空に海保と
 自衛隊の任務の重要性はますます高まってきています。航空機ではスクランブル任務に就いているF-15やF-2に脚光が当りますが、地味ですが更に重要な
 任務に就いているのが哨戒機。海岸線の長い日本では対艦/対潜哨戒機は中でも重要なわけで、日本がアメリカに次ぐP-3C運用国であるのも宜なるかな。
 後継機のP-1に交代するのはまだまだ先のことですから、これからもP-3Cの勇姿を見る機会は長く続きそうです。

<キットについて>

 技MIXを作るのは先回のCH-47Jに続き2機目。興味を惹かれる機体では有ったのですが、現用4発機となるとなかなか積極的には手が出なかったので、
 技MIXでの発売、しかも白/グレーの二色塗装機の発売はコレクションに加えるのに有難い話でした。
  出来の方ですが、技MIXの中でも最近時の発売ですので余程思い入れのある人以外は文句は無いかと。1/144での対抗馬となるとアリイ(旧LS)のしか無く、
 悪いキットでは無いですが流石に古いので、今1/144でP-3Cが欲しいのであれば、このキットに手を加えるのが1番早いでしょう。
  モールドなどは、このスケールとしては必要にして十分。各部は細かい所は可能な限り細かく作られていますが、それが災いして組み立ても完成後の取り回しも
 かなりセンシティブです。特に林立するブレードアンテナや航法灯の類いは、私と同じ位の歳の方の眼と手では、かなりの難行苦行となります。出来れば、
 最上級品のピンセットとヘッドルーペを用意する事を強くお勧めします。私は若干つかみの甘くなったピンセットを使ったので、かなりの数のアンテナ類と
 ピトー管まで飛ばして紛失してしまいました…。orz ちなみに、15x15cmの小さな作業マットの上に落としても、しっかり消えて無くなってくれます。まあ、欠落を
 全部下面に回し、見なかった事で誤魔化す手も有りますが。兎に角、1度ピンセットで摘んだら、絶対に握り直しなどしない覚悟で作業するのが肝要かと。
  パーツの合わせ精度は基本的に非常に良好ですが、困ったことに1番目立つ機首周りの合わせが良くありません。キャノピーは胴体側とセリますし、レドームは
 胴体側に対しやや小さめ。キャノピーの方は位置合わせ用のリブを削り落として合わせ、レドームの方は目を瞑りました。これから組む方は、コクピット付近で
 胴体接着面を少し削られた方が良いと思います。プロペラはスピナーと合わせる根本部が極めて細いので、取り扱いは要注意。組説を無視して、カウル側から
 積んでいく様に組んだ方が事故は少ないでしょう。同様に、垂直尾翼の組付けは最後にした方が取り回しの邪魔になりません。アンテナ類は数の多い下面側
 から接着していくのが鉄則。又、接着面が極端に少ないので、ジェリー状瞬着を使った方が強度的に安心できます。尚、アンテナ類の取り付け穴は、組説に
 従って自分で加工する必要がありますので、組説の指示のチェックを忘れないこと。私は2箇所ほど開け忘れましたが、組説のイラストを参照して開口し、事無きを
 得ました。組説のイラストはパネルラインまで詳細に描かれていますので、この様な時には大助かりでした。
  兵装類とそのパイロンはディテール再現優先で取り付け用のガイドが全く付いていませんので、確実に取り付けるには兵装側に0.3mm以下のの真鍮線を
 刺してやり、パイロン側に受け穴を作って瞬着で固定するのが1番確実でしょう。尚、翼下のハープーン(海自だとASM-1が正解)は別売りの武装セットにしか
 入っていません。価格はかなり高いので、私は手持ちのアリイ(旧LS)1/144の武装セットから調達しました。
  デカールは少々問題で、フィルムがマットになっているのは有難いのですが、糊が弱くシルバリングが明確に出ます。糊の方はデカールセットで補えますが、
 シルバリングはクレオスのデカールセットやフィットでは、ほとんど効果がありません。強力なデカールフィットは持っていなかったので、色々試行錯誤した結果、
 昔ながらの蒸しタオルの押し付けで何とか解決出来ました。化学的には頑固なフィルムですが、熱という物理攻撃には弱いようです。今は電子レンジで簡単に
 蒸しタオルが作れますので、火傷に注意して試されると宜しいかと。
  最後になりましたが、このキットの1番の問題は機体上面パーツのヒケです。嵌め込みの為の四角状ダボが上面パーツ裏に2箇所有るのですが、この部分が
 見事にヒケています。画像では判り難いですが、肉眼だと結構目立ちます。私は胴体接着後に気付いたので手遅れでしたが、ツヤと色味の合わせに自信が
 有る方は、パーツ状態の時にポリパテ等で埋めて再塗装するのをお勧めします。ただ、細かいステンシル等が入っていますので、そこをどうにかする必要が
 あります。

 ストレートに組むだけなら1日で出来るかと思っていたのですが、デカールのシルバリング対策やら極小のアンテナ類の取り付けやらで随分と梃子摺ってしまい
 ました。それでも、集中してやれば土日で完成出来ると思います。完成した姿は、1/144とは言え4発機なのでなかなか迫力があります。グレー一色塗装の
 最近時の機体やOP-3CやEP-3等も発売されていますので、海自のP-3Cを集めたい方には丁度良いキットでしょう。
 (実作業時間:12時間)

今回の教訓:
ピンセットは、常に最上のコンディションのものを使うこと

07.APR.13

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