睡眠時無呼吸症候群に対する耳鼻科手術 |
|
耳鼻科手術の種類とその限界 わが国で行われている睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する手術療法のほとんどは耳鼻科的手術です。手術療法はのどの手術と鼻の手術に大きく分けられます。 手術で完全に治してすっきりと治療を終わりたいという患者さんの心情はよく理解できますが、残念ながら現時点ではいずれの手術も確実に治療の効果を保証できるものではありません。 |
|
のどの手術![]() 多くの場合には、扁桃腺と口蓋垂(のどちんこ)を切除し、さらに扁桃腺と口蓋垂の間の組織を切除してのどを広げます。この手術方法は1980年代前半に藤田史朗博士という日本人医師によって開発されたもので、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術uvulo-palato-pharyngo plasty(UPPP)と呼ばれており、睡眠時無呼吸症候群に対する手術療法の最も代表的なものです。 合理的な手術法ではありますが、残念ながらUPPPが実際に有効といえるのは全体の約半数に過ぎず、さらに一旦改善した方でも長期的には無呼吸が再発してしまうことが稀ではありません。この手術だけでSASの治療を完結させようとするのではなく、治療の一つのバリエーションとして捉えることが重要です。 外科的な手術ですので、通常手術前後数日間の入院が必要です。手術後の出血が短期的には問題になり、長期的には声が変わったり(開鼻声といいます)、水を飲むときに鼻に逆流するといった副作用が起こる場合があります。当院では、この手術を希望される場合には、その効果について十分ご説明した上で、専門の耳鼻科施設にご紹介することにしています。 |
|
レーザーを使ったいびき手術について ![]() UPPPをさらに簡略化し、レーザーを用いて口蓋垂の一部を切り取り、その両サイドに切り込みを入れるレーザー口蓋弓口蓋形成術laser-assisted uvulo-palato plasty:LAUPと呼ばれる手術があります。 入院が不要であるため、手っ取り早くいびきだけを止めたい場合にはそれなりに意味があることもありますが、この手術がSASそのものに有効であるという信頼できるデータはなく、いびきの音は小さくなったにもかかわらず無呼吸を悪化させてしまった例の報告もありますので、事前にSASの有無や重症度について十分な評価を受けてからこの治療法を選択するかどうかを検討する必要があります。 |
|
| 鼻の手術 鼻閉(鼻詰まり)があると睡眠中に口が開きやすくなり、そのことによってSASが悪化します。小児のSASでは、アデノイド増殖症による鼻閉が原因の多くを占めますが、成人では鼻閉だけがSASの原因となるわけではありません。成人のSASで鼻閉を治療する必要があるのは、むしろCPAP療法を適切に行えるようにするためとご理解いただくのが適切です。 鼻閉の最大の原因は花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎ですが、慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や鼻の骨が曲がっている鼻中隔弯曲症なども多く見られ、中には鼻腔内の腫瘍などが鼻閉の原因になっている場合もあります。 当院では、鼻閉が高度でCPAP療法がスムーズに行えない方に対しては、アレルギー性鼻炎が明らかである場合には点鼻薬や内服薬で治療を行いながら鼻の構造について検査を進め、必要な方には専門施設と連携して外科的治療も視野に入れた方針をとることにしています。 |
|
鼻中隔弯曲症![]() 鼻腔を仕切る骨が左に曲がっています(>)。 |
慢性副鼻腔炎![]() 右上顎洞(頬骨の裏)に膿が溜まっています(*)。 |
| 呼吸器科に戻る | |