2009-12-27
●[topic]サイバーパンク同人誌「サイバーパンカー」

http://randambutter.blog.shinobi.jp/
この冬、ramdam_butterがお届けする同人誌に参加させていただきました。今回のテーマは「サイバーパンク」。寄稿者たちが己の心の中にある「サイバーパンク」を見失い、そして再発見するさまが原稿に叩きつけられております。オレはわりとまったりしたブックガイドを書かせていただいてますが。見本誌拝見したところ、質、量ともにこれはちょっとしたものなんじゃないの、という仕上がりなんで、「サイバーパンク」に首ったけな皆々さまにぜひともおすすめしたい所存であります。
スペースは3日目西み17bとのこと。ふゆ☆こみで買うとぽもろっそ先生の描いたイラストペーパー付きDAYO。
2009-10-23
○[diary]「コミックで世界を解く─ 魔術師アラン・ムーアの世界」
アラン・ムーアのグラフィック・ノベル『フロム・ヘル』の邦訳刊行を記念して、ジュンク堂書店新宿店で開かれた、翻訳者・柳下毅一郎と『ウォッチメン』でアラン・ムーアにはまったラッパー宇多丸によるトークイベントの大ざっぱな覚書きです。メモとらなかったので、話題の順序や表現などに実際と異なる部分・足りない部分があるかと思いますがご容赦ください。括弧内はオレの所感あるいは補足。敬称略。
- 宇多丸の感想。二読三読して初めて分かる緻密さ、濃厚さ。ムーアは説明フリーク。
- 柳下:ムーアは全てをコントロールしたがる。頭のいい人は他にもいるが、ここまで緻密な絵を時間をかけて完成させられる人はなかなかいない(『フロム・ヘル』は完結まで10年かかっている)。
- 宇多丸:ムーアが感銘を受けたスティーブン・ナイト『切り裂きジャック最終結論』など関連書籍買いまくり。
- 柳下:ナイトの本は実際はわりと粗い陰謀論で、そのアイディアに惚れたムーアが緻密に再構成している。スイス時計にしたのはやはりムーア。
- 資料として配られたムーアのエディ・キャンベルへの指示書について。1コマごとにカメラワークから背景・セリフについて詳細な指示が存在する。(ここまで指定するなら自分で描けよ! とか思う。これにつきあったエディ・キャンベルも偉大だ)。意外とお茶目なやり取りがなされている。
- 宇多丸の疑問。最後に出てきたアイルランドの女性はメアリー・ケリーなの?
- 柳下:おそらくそうだろう。百年以上にわたり野次馬が弄んだ5人の女性たちへの贖罪? 冒頭「きみたちの存在と死。あらゆることの中で、それだけは確かなこと。」
- ヒントン「第四の次元とは何か?」。過去・現在・未来は同時に存在し、人間の精神がそこを移動する(まるでベイリーのようだ)。時間シャッフルは『ウォッチメン』のDr.マンハッタンなどもそうで、ムーアがよく使うネタ。場所にも全ての時間がある>ガルの幻視
- 「切り裂きジャック事件」を通して世界(の断面)を語る。
- 理性の魔術師ムーアはどこまで自分の書いたことを信じているのか?
- 柳下:ある程度は信じているだろう。ムーアのような頭のいい人は普通、不可知論的な方向にいきそうなものだが(わからないものを考えても仕方がない)、ムーアはその不可知の部分の存在に迫ろうとしている。それが魔術の実践とも繋がってくる。
- 宇多丸曰く「合理的に組み立てられた不合理」。
- 柳下さんのロンドン聖地巡礼話へ。
- 『フロム・ヘル』の舞台となった各所のスナップ写真>柳下さんがアップしてるもの
- ホークスムアの建てた寺院や殺害現場、娼婦たちの溜まり場だったパブ「10BELLS」(いちいち「おお〜!」とどよめく客たち)。
- ホークスムアの寺院の存在感。
- 「切り裂きジャック事件」と関係のないローマ女性についての石碑の文句までもが意味深に見えてくる。
- 柳下「もう頭おかしくなってますねw」
- ムーアのその他の作品紹介。
- 『Big Numbers』。田舎町に巨大なショッピングモールが出きたことで巻き起こる人間模様。フラクタル構造を目指した意欲作だったが、アーティストがムーアの要求についてこれずに壊れ、2章までで未完となる。
- 『ミラクルマン』。『マーヴェルマン』として始まったヒーローもの。ヒーローによる独裁を描いた『ウォッチメン』の先駆けともいえる作品。最近、マーヴェルが権利を買ったので復刊されるかも?
- 『LXG』続編その1。『BLACK DOSSIER』は古典作品パロディが本の造作にまで至っており、翻訳はかなり難しそう。テキスト部分が膨大でなぜか3D眼鏡付き。カリガリ博士、マブセ博士、メトロポリスのマリアたちによるドイツのリーグと英国リーグが戦う話なども収録(非コミック部分)。
- 『LXG』続編その2。『CENTURY:1910』。海賊の跡を継ぐのを嫌がって出奔したネモ船長の娘が悲惨な目にあい、ネモ船長の死後、海賊たちがロンドンの港町に派手な復讐をするひどい話。ブレヒトの『三文オペラ』ネタで落とす。
- 『Lost Girls』。アリス、ウェンディ、ドロシーの三大少女キャラの回想記。作品で描かれた彼女たちの物語は実は性的冒険だった、というコンセプトで、これまたアートからテキストにいたるまですさまじいパロディが重ねられた大作。
- 最後に、魔術師ムーアのお茶目さを知るため、『シンプソンズ』にムーアがムーア役で声優出演したエピソードの披露(柳下さんによる字幕付き)。
- 街にできたクールなコミックショップ(店長のCVはジャック・ブラック)でオルタナティブ・コミックの巨匠たち(ムーア、スピーゲルマンなど)のサイン会が開かれる。そこに商売敵がやってきて店をめちゃくちゃにしたので、巨匠たちが服を破り捨てて暴漢を撃破するという話(スピーゲルマンがマウスマンになるのに笑った)。
あとはムーアのサイン入り『V・フォー・ヴェンデッタ』や未訳の『トップ10』などのプレゼントもあり(オレはじゃんけん負けた)。そんなところでお開き。近年参加したトークイベントでは屈指の面白さでした。まあ題材的にマニア向けなんで、必然的に濃くなるわけだけど。しかし『フロム・ヘル』は必読ですぜ(といいつつオレも2周目に入ろう)。
2009-08-13
●[topic]ゆかいゲーム読本「.in」(ドットイン)

http://randambutter.blog.shinobi.jp/
またもramdam_butterさんの同人誌に参加させていただきましたよっと。今回のテーマは「ゲーム」ということなんですが、なぜか皆一様に己の黒歴史的なことを書いてしまっている印象。ゲームは己の心を映す鏡…ということなんでしょうか。とまれ、カオス度は過去のランバタ同人誌にもまったく引けをとらない出来ですんで、コミケにお越しの際はぜひお立ち寄りを。庭さんのカバーイラストも素敵や。
あ、スペースは3日目東ホ09bとのことです。なつ☆こみで買うと青梅松竹さんの描いた『ハーモニー』イラストカードがもらえるらしいぞ(あと同人誌のどこかに伊藤Pがいるぞ)。
2009-07-20
○[diary]ひさびさ更新
いやー見事に放置したなー。もうネットはtwitterとtumblrだけでいいやーみたいな気分になりかけましたが、とりあえず更新してみます。ついでにスタイルシートもいじってみた。
そういえば向井さんが10年目のブログというエントリ書いてましたが、このサイトも今月末で丸9年なんだな。ノーコンセプトでだらだらとやってきているわけですが、そのおかげでいろんな縁にめぐり合えたので、まだまだだらだら行きますぜ。あと観たもの、読んだものは感想書いとかないと、頭に残らん。なるべく週一くらいのペースで更新できるようにしたいけど。最近忙しくてなあ…。
あ、ヱヴァ破には無論やられております。しかし論評しようという気にあまりならない。ただよかったとしか。
■[movie]『サンシャイン・クリーニング』

監督:クリスティン・ジェフズ / 2008年 / アメリカ
高校時代はチアリーダーのスターだったが、30代になった今は未婚の母として細々と暮らすローズと、仕事が長続きしないやさぐれ妹ノラ。先の見えない暮らしにうんざりしていた二人は、ローズの不倫相手である警官の勧めで事件現場のクリーニング業を始めるが…という話。
『リトル・ミス・サンシャイン』と製作陣が若干かぶっているらしいが、監督・脚本は別の人。キャストもアラン・アーキンのお爺ちゃんくらいしか共通ではないのだが、あのお爺ちゃんはインパクトあったので、映画のイメージ重なるよな。ただ、家族それぞれの問題を巧みに描きつつ、見事な大団円にもっていった『リトル・ミス・サンシャイン』と比べると、映画としてのまとまりはちと落ちるかな。しかしくたびれ姉妹を演じるエイミー・アダムス、エミリー・ブラントはともに好演。生活に疲れた女が一瞬の輝いた表情を見せる演技が素晴らしい。もっと職業ものとして作りこんだほうが面白かったような気もするが、これはこれでいいのかもしれん。良作。
2009-05-03
○[diary]SFセミナー2009
今年も行ってまいりました。
ちょいと遅れて会場着いたら、若年性SFゴロを発症している連中がロビーでたむろってたので、そのまま1コマ目はパスして一緒にゴロる。まあハリー・ポッター読んでないし。そこで京大SF研の会誌などを買わせてもらったりする。架空アンソロジーの号は前から欲しかったのだった。そのままゴロってた人+αでねぎしに行って昼飯。
■本会企画2コマ目「円城塔は私たちSFファンのものではなかったのか?」
市川真人との対談企画。ちょいとタイトルは気恥ずかしいが、例によって円城塔の韜晦トークは楽しいのであった(いやご本人は韜晦する気はないと思うけど)。しかしいい加減わからんわからん言ってばかりじゃなくて、ある程度以上に円城作品を理詰めでわかってる人を立てて、もうちょっとSF的にかみ合った対談も聞いてみたい気がする。
■本会企画3コマ目「若手SF評論家パネル」
日本SF評論賞の受賞者や最終候補者を集めたパネル。さすがに皆さん曲者ぞろいで、批評へのスタンスやモチベーションを語ってもらうだけで十分以上に楽しめた。ご自分の労働体験とディッシュの『キャンプ・コンセントレーション』の同時代性を語った岡和田さんが熱くておもろかったす。藤田直哉氏がSF評論じゃなくて、評論SFを目指すというようなことを言っておられたが、フィクションと評論の境界についてもうちょっと伺ってみたい気がした。
■本会企画4コマ目「天を衝け! 嵐を呼ぶ 中島かずきインタビュー」
演劇人・編集者・漫画原作者などの多彩な顔を持つ中島かずきの人生の物語が、ハイテンションで語られて大変に面白かった。ガイナックス系の人々との近くて遠かった関係とか興味深い。高校時代のエピソードとか、大学生の時に蓮實重彦の授業受けてる時、最高に似ている似顔絵が書けた話とかおもろすぎた。あとはやはり、書き続けてきたから今の自分がある、というような述懐に感じ入るものがありました。元気をいただいた感じ。
本会終了後はアンサンブルっぽい人々で軽く夕食取ってから、さわや…じゃなかったふたき旅館へてくてくと歩く。
■合宿1コマ目:「追悼 伊藤計劃」
伊藤さんが初めてSFファンダムに来てくれたのは、2年前のSFセミナーだったなあ…というところから、訥々と思い出話。ムサビの漫研で同期だった方がいらしていて、学生時代の伊藤さんについて語ってくれました。あとはやはり作家・伊藤計劃についての話がメインでしたか。まだ確実な話ではないようですが、遺稿集の構想もあるようです。
■合宿2コマ目:「円城塔と語ろう」
えーと細部はよく覚えてないが、本会に引き続き、円城さんの小説を読んで「看過しがたい」と上京してきたご父君や、実家から送られてくる物資の対処話がメインだったか。浅暮さんの突っ込みがシュールすぎた。どこへいく円城塔。
■合宿3コマ目:「山岸真(未完)全仕事」
ちょっと遅れて参加。小浜さん、大森さんらの突っ込みが入りつつ語られる、少年がマニアになり、マニアがプロになる物語。もういくらでも話がわいてくる感じで圧倒されました。こういう話聞いてしまうといかに自分がぬるいか思い知らされるなあ。黒丸尚さんがワイルド・カードをやる時に、当時若手のSF紹介者に翻訳させた話とか印象に残る。
4コマ目以降は大広間に行って雑談。某氏が、V林田を笑い死にさせるという稀有な現象が起きたのは衝撃でした。あとは朝までだらだらと心ないトーク。gernさんによる絵解き『WATCHMEN』で、いかにアラン・ムーアがキチガイかということが広く知れ渡ったのもよいことだと思いました。明け方、ボーナンザを一回遊んだが、正直死ぬほど眠たかったのでルールが頭に入ってこなかったよ。ギャラクティカのボードゲームはやはりおもろいらしいので、そのうち買ってみようかと思う。
結局、ほぼ完徹でクロージング。例によってルノアールで朝飯食ってそそくさと撤収。今年は企画等にからんでなかったので、まったりした感じでしたが、楽しゅうござった。参加者の方々、スタッフの方々お疲れ様でした。

