平成13年度 電子通信実験

1. 目的

 ディジタル集積回路(Digital Integrated Circuit)のうち,TTL NAND回路について,その静特性(入力特性,電圧伝達特性,出力特性)を測定し,動作を理解する.

2. TTL NAND回路

  図1にTTLの基本回路を示す. 図1のトランジスタTr1は,普通のトランジスタとは違って複数個のエミッタを持っており,マルチエミッタトランジスタと呼ばれる.

図1 TTL NAND 回路の基本回路

 図1において,入力端子X1,X2,X3のいずれか1個以上が低電位(論理値0)のときは,電源VCCから抵抗R1を通る電流は低電位の入力端子へ流れ込み,Tr1のコレクタCには流れ込まない. このため,トランジスタTr2にベース電流が流れないので,Tr2はoffとなり,出力端子Yの電位はほぼVCC(論理値1)となる.
 つぎに,X1,X2,X3のすべてが高電位(論理値1)のときは,R1を通る電流は入力X1,X2,X3のいずれにも流れずにTr1のコレクタCへ流れ,この電流がTr2のベース電流となってTr2をonにし,出力Yの電位はほぼ0V(論理値0)となる.
 以上の動作からわかるように,図1のTTL NAND回路は,Tr1によってAND回路を構成し,Tr2によってNOT回路を構成している.
 市販されているICでは,雑音余裕度,スイッチングスピード,ファンアウト等を考慮して,出力回路が複雑になっている. 実際のNAND回路の構成を 図2に示す(実はこの図も等価回路に過ぎない).

図2 実際の NAND 回路(7400)

この回路は2個の入力端子を持つNAND回路である. 本実験で用いるIC(7400)は,図2の回路が4回路組み込まれていて,Quad 2 Input Nand Gate と呼ばれる.本実験で用いる7400のICパッケージはDIP(Dual Inline Package)であり,その端子配列を 図3に示す.

図3 7400の端子配列

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