【前史プロジェクト】


制作:栗本薫メーリングリスト(nut-brown) グイン・サーガ雑学審議団




発表をご覧になる際の注意事項
グイン・サーガ本伝1〜63巻、及び外伝1〜15巻を参考にした。ただし、本伝1〜20巻については愛蔵版の記述も参考にしている。




無許可での転載および一切の改変を禁ずる。





註) 《・》――時期が確定されるもの
《※》――時期が推定されるもの
《★》――生誕年が確定されるもの
《☆》――生誕年が推定されるもの







【超古代】
何千万年もの昔、まだ山々が炎と噴煙をふきあげている時代、まだ植物が森をも林をも草原をもなしていないほど昔の時代、空には翼竜が、海には魚竜が、そして陸には魚竜のうち陸にあがることを覚えたものとそしてはいまわる蛟竜とが住まい、海と陸とを王者として、何者もうちかつことのできぬ天変地異がかれらの王国を土の下に、溶岩のなかに封じ込めてしまうまでうろつきまわっていた。
巨大なサイプロクスの一族がのそのそと灰色の影のように大陸を歩き回っていたころ、大きなシダのあいだにはハーピィのむれがとびまわり、そうして人面蛇や小人や飛ぶ花などがいたるところにいた。


《神々の闘争》
太古の時代、神々が地上へ姿をあらわしたころ、人間はまだ猿の一種であり、神々と人間の間にもさまざまな種族が位置していた。人面獣身、人間の体にさまざまな獣の頭をした半人半神の種族など、奇妙な生物があちこちにたくさん棲んで平和に暮らしていた。人間が誕生し、はびこってくると、神々の領域はあらされ、悪魔の領域も侵され、妖魔の領域までもどんどん侵食されてくるようになった。
死の爆発。大洪水時代を招来。
古代の神々と星よりきたりし者たちとのおそるべき争闘。
《古き神々(グレート・オールド・ワンズ)》が支配するこの星に《古きものども》がやってきて、戦いがおこった。その後、《古きものども》は同化して土地神になるもの、土地神とたたかって君臨するもの、土地神と婚姻のきずな、共生のきずなを結び、平和を守るものなど、さまざまなかたちでこの星に住み着いた。
キタイ地方の土地神であったサイクロプスの種族と、どこからともなくあらたにやってきて土地神となろうとした、天からふってきたともいわれる《古き者ども》とが、その地の覇権をかけてあらそい、サイクロプス側が敗北。サイクロプスの種族は地底にもぐって生き延びたごくわずかな連中を除いてみな殺されてしまった。ガドゥーをはじめとする何人かのサイクロプスは、のちに鬼面神ライ=オンに飲み込まれてしまった。
《古き神々》のしろしめす所であった暗黒大陸カナン、暗黒の神々の争闘のうちに海中に没し、滅亡。


二万年前、大魔道師アグリッパ生誕。《古き神々》に術を学ぶ。ただし、アグリッパの生誕時期については千年前〜二万年前の諸説がある。


【超古代〜4000年前】
《大災厄時代》
大災厄時代。極めて混沌とした時代。それ以前の超古代歴史やそれよりさらに昔の超科学の秘密、失われる。このころはまだたくさんの本当の神々や半神がいたるところにいて、人間とともにあり、ときには人間と通婚することもあり、人間の文明の発展するいしずえとなったという。
大災厄時代のころ、ヤヌス十二神、地上におりたち、中原にその支配をおく。
大災厄時代の直後、大混乱時代。暗黒の戦国時代。戦乱の世の中、残虐な暗殺、陰謀が横行した。


【4000年前】
《ランドックの謎》
約四千年前、大災厄時代と前後して、星船にのって、ランドシアに女神アウラ・シャー降臨。
ランドックと、宇宙を飛行する生命体との間に講話が結ばれる。
ランドックの聖豹頭王グイン、ある罪により暁の女神たちに罰をうけ、すべての記憶を失わされたのちにランドックを追放され、長い眠りにつく。


【4000〜3000年前】
《カナン、ゴーラ成立》
カナンよりも古い歴史を誇るゴーラ帝国成立。全盛期には世界の三分の二を占めたとも云われ、現在のクム、ユラニア、モンゴールからレント海岸のロス、タリアまでを含める、広大な版図を誇る。
太陽王ラーにより、カナン帝国成立。
カナン帝国の威光がキタイまで厳密にはおよばぬころ、人間界と妖魔の共存している地上ほとんど唯一の場所、フェラーラ王国成立。キタイ王国がフェラーラを併合する以前には、フェラーラは独自の小さいながらもきわめてユニークな地位をしめる魔物の王国として周辺をおさめており、住民たちはそれぞれの土地神を崇拝し、それに守られて平穏な清浄なくらしを楽しんでいたという。フェラーラでは、人間が土地神たちと近く暮らしていたがゆえに、人間たちと妖魔たちとの通婚が忌避されず、人間たちと妖魔たちとが敵どうしとなることも、妖魔が人間たちによって辺境におしこめられるようなこともなく、仲良く力をかしあって住んでいたという。
ゴーラ、版図をカナンといくたびかきそいあい、カナンにせめほろぼされて併合される。カナンは中原とキタイ全域、ノスフェラスを全て版図とする大帝国になる
大帝国カナンによる赤い街道建設開始。
世界一古い都ホータン成立。


《パロス、ハイナム建国》
カナンの時代、ヤヌスと直接に言葉をかわすことが出来、そして王国はおろか世界中のどこにでも自由自在に突然すがたをあらわすことができるほどの大魔道師であった初代王パロスにより、パロの前身暗黒王朝、闇王国パロス建国。魔道が行われ、現在よりも神々と、そして魔神とによって支配されていたという。このころ、パロスの王は世界最大の大魔道師であり、そしてヤヌスの祭司長であった。その後、国名はパロとなり、現在、カナンの古代帝国のおもかげを残す、中原でもっとも古い文明国となる。以来、夷狄に何度か征服されたり、四方を統合する大王国をうちたてたりするも、パロの名をかえることなくいまにいたる。
太古王国ハイナム建国。カナンの後裔を自称し、現在は鎖国を守っている。


ババヤガ、古代帝国カナンで有名な魔道師となる。その後、カナンが帝国であり、中原のなかばが海であったというほどの古いむかしに隠者としてカラクダイを去り、ノスフェラスの岩屋の中で眠りをむさぼる。


【3000年前】
ユラニアの紅都アルセイス建設。カナンの植民地として栄える。現在、中原のもっとも古い文化を伝える文化の都、中原でもっとも古い都市である。アルセイスの建築物は、石畳を連ね、石の建物がかなり間をおいて立ち並ぶカナン様式が多い。
現在のパロの首都クリスタル建設。


《カナン滅亡》
三千四百年前、カナン滅亡と前後して、望星教団(キタイ暗殺教団)成立。
カナン第四次王朝の第三のカナンの都、首都カナンをおそった謎の大隕石禍(星船の墜落)により一夜にしてカナン滅亡。ノスフェラスの、狗頭山以東、以北のほぼ全域が、死の土地と化す。グル=ヌーに闇の支配の種子がまかれる。
カナンの滅亡にともなってゴーラ独立。


《ゾルーディアの野望》
魔道師にして、ゾルーディア最初の王であるミイラつくりの名人アル・ケートルのもとにキタイの魔道師(一説には商人)がイリスの石をもたらす。アル・ケ−トルは愛娼タニアを水につけて殺し、心臓をとり出してそのかわりにイリスの石を埋め、<死の娘>タニアが誕生する。以後、タニアは三千年もの間、生きながらミイラとなり、生きることも、年とることも、死ぬこともかなわぬ存在にされて、ゾル−ディアにとじこめられてすごす。
アル=ケートル、自らの手によりミイラになる。その後、三千年にもわたって、<死の娘>タニアになぶりものにされる。


このころ、アルセイスを首都として、ユラニア帝国成立。


【3000〜2000年前】
《パロ聖王国成立》
アルカンドロス大王、パロス王国の流れを汲むパロ聖王国を建国。
聖王紀三年、アレクサンドロスの進言により、パロで新兵制開始。
アレクサンドロス法制定。
アルカンドロス大王、神託にしたがって古代機械で窮地を脱し、古代機械のある地にクリスタル・パレスを築いた。
アレクサンドロス、ルート・カラヴィア、カラヴィア・サーリスベリを結ぶ湿原の中に赤い街道を築こうとするも失敗。以後、何百回と試みられるもことごとく失敗する。
アレクサンドロスの発案と、その不思議な力により、赤い街道が現世と魔界と黄昏の国を結ぶ、一種の次元回廊となる。
アレクサンドロスによる七つの塔建設。
大魔道師ランズベール、アルカンドロス大王の命によりランズベール塔建設。
アルカンドロス大王、科学者アレクサンドロスに命じて魔道師たちを従え、「魔道十二ヶ条(ヤヌスの十二条)」を制定。パロの魔道師ギルド(「魔道師の塔」)成立。ロカンドラス、パロを去る。


ユラニア、ゴーラに併合。アルセイスがゴーラの帝都となる。
赤い街道、中原に広がりはじめる。


このころ、グラチウス生誕(書類上は石の年【809年前】)。


【2000年前】
ゴーラ現皇帝家創設。
パロで図書と資料の収集が始まる。現在、その図書と資料は世界に唯一のものとして、王立学問所の象牙の塔におさめられている。
学僧アルバトロス、ヤヌス十二神教はドライドン教、タルーアンの神話などから影響を受けた、全宗教の集大成的なものであるとの、異端の説を唱える。


《ユラニア大公国成立》
ゴーラ帝国第三王朝末期、ゴーラ皇帝家よりもさえ巨大な勢力と実力をもつ宰相としてオーランド公爵登場。三代にわたるゴーラの皇帝たちを文字どおりただの傀儡として、ゴーラに君臨した。(帝王として君臨するものは必ずや簒奪されるであろう――)という、生まれたおりの予言をかたく信じて、自ら帝位に就こうとはしなかった。
オーランド公爵の手により、かつては長い間にわたってカナン大帝国の中心部であったユラニア、ゴーラの大公領として分割。オーランド公爵の息子オルセー公爵を経て、オルセー公爵の息子オル・ダン大公が初代のユラニア大公となってユラニア大公国が完成。以後、ゴーラ皇帝家にユラニア大公の血筋の姫を妃として送りこみ、実質的にゴーラ皇帝家をユラニア大公の血筋と一体化させてしまおう、というこころみが行われた結果、ゴーラ皇帝家にゆかりが深く、カナン帝国の末裔を誇り、カナンの文化をもっとも伝える国となる。


ホータンの王が鬼面の塔を建立。そこにホータンの民すべての祈りと呪詛と希望がこめられており、その祈りがあまりにつよかったがゆえに、鬼面の塔は物でありながら物神ライ=オンとなり、生命を持った。以来、ライ=オンはホータンの土地神となる。
ホータンの王がいたく心服していた偉大な工芸家にして建築家である、《神手》と呼ばれたイザイの手によって、四面神将像がきざまれた。彼のきざんだ像にはあまりにも祈りがこもっていたためにことごとく魂があたえられ、物神となったという。
ホータンの領主であり、神につかえる祭司でもあったホイ・シン・エー、巨万の富をライ=オンに寄進したり供物をささげたりせず、道をきりひらき、赤い街道を整備するなど、おのれや人々の歓楽のためにも使い、祭司であるおのれをおろそかにしたために、ライ=オンの怒りを買い、ライ=オンに飲み込まれる。以後、ホイ・シン・エーはライ=オンの体内でおぞましいかぎりの怪物として生きていくこととなった。そのころはまだライ=オンはまだ若く、二兄弟であり、魔力もそれほど年へていなかったので、飲みこんだものがすぐに顔となって生え出してくるということもなく、自由に動きまわることもできた。


このころ、インキュバス(ユリウス)誕生(一説には金剛石の年【765年前】)。


【2000〜1500年前】
ロカンドラス、グル=ヌーの秘密を探るべく、グル=ヌーを訪れる。グル=ヌーの深部に訪れた時、一つ目を開いた巨大な赤ん坊(ホーリー・チャイルド?)に語りかけられる。


《クムへの移民》
東方のキタイの人々(たんみん)が、船にのってタリアへ流れ着き、クムに移住。故郷とよく似た湖水と川と小川の多い地帯(クム)をゴーラ皇帝に願い出て住まいとする。一説にはゴーラの王に征服されて東方のキタイからやってきた移民であるともいう。そのとき、クムの原住者はガルム峠あたりに逃げ、追いつめられて殺された。ゴーラ皇帝家は、代々キタイからの移民たちにきわめて親切にむかえいれ、手厚く歓迎し、クム一帯を移住者にひろく解放してすすんでキタイの文化を受入れるのにつとめていたため、クムを中心とするゴーラ帝国東部地方において圧倒的な支持を誇っていた。


【1500年前】
クム大公家成立。


《さかさまの塔建設》
キタイきっての大富豪トム・リン・リン、暴君ソン・ドン・イーの治世に《さかさまの塔》の建立を決意。パロで謎の科学者アレクサンドロスの一の弟子であったといわれるディードロス(一説に魔道師)に塔の建立を依頼。
ディードロスの娘ハンネ、ソン・ドン・イーに見初められ、宮殿へ拉致されそうになり自殺。いいなづけのディードロスの弟子アレスも自殺。ディードロス、ソン・ドン・イーとトム・リン・リンへの復讐を決意。
《さかさまの塔》完成。完成披露にてソン・ドン・イー惨殺を計画。トム・リン・リン、ソン・ドン・イーを招待。ディードロス、つり天上、落とし穴、《何でも飲み込む壁》、そして《さかさまの部屋》などでソン・ドン・イーを暗殺しようとするも、魔道師ソン・ドン・イーに見破られ失敗。トム・リン・リンとディードロスを、王を暗殺しようとした反逆の罪で逮捕され、拷問のすえに、トム・リン・リンはそのからくりの塔の吊天井に押し潰され、そしてディードロスは車裂きの刑に処され、ばらばらになった体はからくりの塔の屋根の四辺からつるされた。一説には、ソン・ドン・イーが《さかさまの塔》のからくりをさかさまに自分が用いてディードロスをとらえ、塔に封じたともいわれる。
《さかさまの塔》、キタイ王家のものに。その後、ディードロスとトム・リン・リンの恨みを鎮めるに南面神廟に寄贈。


【1500〜1000年前】
《グラチウスの野望》
グラチウスの師匠の黒魔道師で、ドール教団の最高導師、ドールの司祭イェライシャ、大いなる出来事によって、にこの世の変転をつかさどっているものはヤヌスにほかならぬということを確信し、改心して黒魔道師から白魔道師へ転身。ドールその人の逆鱗にふれ、ドールとその使い魔、その教団のすべての黒魔道師たちの的となり、追われる身となるも、無事教団を脱出。「ドールに追われる男」と呼ばれるようになる。
グラチウス、イェライシャがドール教団を離れると同時にドール教団の最高権力者に。イェライシャを狙った。当時、世界の生成の秘密を我が物となし、すべての力の源をおのが力に加え、そしてドールとヤヌスとそのほかすべての神々よりもさえおのが力を強化するという、最後の野望をいだくに至っていた。イェライシャの力を自分の黒い力とあわせれば、ドールその人より以上の力をもつことができると考え、イェライシャを狙う。その野望をドールのもっとも忠誠なしもべであるかのようにふるまいつつ、ドールからも隠してきた。


パロのランズベール塔の管理がランズベール侯家にまかせられるようになる
バルヴィナ市城建築。


【1000年前】
《ヨツンヘイム成立》
十九歳のヴァルハラの乙女クリームヒルド拉致。ヨツンヘイムの選ばれた巫女として、地下の都に王たち、神々によってヨツンヘイムの魂として封じ込められ、ヨツンヘイムの女王となる。
クロウラー、ヨツンヘイムの守護者となる。


《フェラーラ成立》
アクメット神につかわされたアーナーダの力により、ゼーダ魔王とその眷族、フェラーラ周辺の魔界に巣くう魔族をたいらげて王となる。さらにフェラーラ王国の周囲一帯をフェラーラに併合し、ランドシアなど周辺の国を属国として朝貢させる。のちにキタイ王国に併合され、キタイの首都となる。
ランドシアのアウラ・シャー女神、人々の前に姿を現すことを拒み、神殿の地下に身をひそめる。
人蛇アーナーダ、ゼーダ魔王の魔力により、永遠にフェラーラの地底の蛇穴に大切にフェラーラの守り神として封じられることになった。


【1000〜600年前】
純金の髪をもち、北方からやってきた人々、ヨツンヘイムへ。長い間、日にあたらずにいたので、髪の色もあわくなり、氷人と呼ばれるようになる。
パロの王子アリオンが、ヨツンヘイムから《ルアーの目》など、いくつかの宝を持ち帰り、それによって失われかけていた古いパロス王国を建て直した。それ以降《ルアーの目》はルアーの塔におさめられ、パロを守っている。


このころ、グル族、東方のキタイ領から流れて草原へ。


《パロ第二王朝とアルゴス建国》
建国王アルディウス二世により、第二パロ王朝成立。そのころすでに世界髄一の文明の都であり、古きゴーラと中原の覇を競っていた。
草原の若き英雄スラデクが騎馬の民を統一。草原の民たちは当時の暮らしぶりをほとんど変えぬままに現在に至っている。
アルディウス二世の娘アルゴ王女、レントの海の覇者たる沿海州の大国ランドヴィアの大公へ嫁ぐ途中、騎馬民族にさらわれるも、騎馬の民統一の英雄スラデクに救われ、恋に落ちる。
アルディウス二世、スラデクを討つべく大軍を率いて草原へ来るも、スラデクと対面して和解。アルゴ王女をスラデクに与え、別の姫をランドヴィア大公に与える。二世代後、ランドヴィア、アグラーヤに併合される。
スラデク、アルゴスを建国。以来他国の侵略に一度も屈したことはない。以後アルゴスの王は代々、王妃としてパロの姫をめとるのが慣例のようになり、アルゴスはパロの無二の盟邦となり、以後代々のパロ王はしばしばアルゴスの姫をめとるようになる。祭司長の家にのみ堅く残っている青い血の掟も、アルゴスに関するかぎり、障害にもならなくなった。


《クム大公国成立》
ゴーラ皇帝領がどんどんせばめられてゆき、ついにアルセイスの西のごく狭い地域を残すのみとなったとき、ユラニア大公家の野望を未然に防ぎ、ゴーラ皇帝家をないがしろにしたり、あるいは隠密裡に抹殺したりすることのできぬよう牽制するために、時のクム大公タン・ドン公爵はクム大公国の独立を宣言し、ゴーラの第九十八代皇帝ミルバヌス帝の許可を得てクム大公国を設立した。その後、何回かの内乱や戦争、ゴーラ帝国そのものの存在をあやうくもするような巨大な危機を経て、両大公家は和解。


《ケイロニア成立》
ケイロニアの一部族、アンテーヌのドミティウス家の女王アルビオナがタルーアンのヴァイキング王シグルドを計略により初夜の床で刺殺。その夜、アルビオナのみごもった子どもは、のちにタルーアンを統一する英雄シグルドとなる。
タルーアンのヴァイキング、沿海州へ漂着して村を建設。海人族の祖に。
ゴーラが大帝国だったころ、ケイロン成立。新興の山深い北の未開人の国としてさげすまれていた。
ケイロニア、大内乱時代ののち、このままでは互いにつぶしあうだけの結果になると、パロ古代王朝国家の流れをくむリラル族、最後まで統一に抵抗し続けたアンテーヌ族を含む十二の小国が連合して皇帝を選出。十二選帝侯制度によって、分立していたおびただしい小国家を統一し、激突と全滅とを回避、ゴーラ帝国の侵害に抵抗。以後、他国に蹂躙されることもなく、また他国に占領や領土拡大の意図をもって戦争をしかけることもほとんどなく、長い間平和と繁栄のなかにあることとなる。中原でもっとも早く、キタイはじめ奇妙な東方諸国と親しく通商をはじめた国となる。
ケイロニアの名君ロデウス王の言葉により、サイロンは黄金の都と呼ばれるようになる。サイロンは完成以来、一回も外敵の侵略を許してない唯一の大都市となってゆく。
ケイロニア第十三代皇帝アンチノウス、十三人の息子のうちの十二番目、妾腹のコンスタンチヌスを皇太子として選出。
ケイロニア第十四代皇帝コンスタンチヌス、三度にわたる大飢饉とタルーアンの侵略という大危機を乗り越え、ケイロニア賢帝と呼ばれるに至る。


このころ、パロのアルバヌス二世、マルガを別荘地としてひらく。マルガの美しさを守るため、マルガに別荘を建てるものは白大理石のみを素材とし、様式はすべてカナン王朝風でなくてはならぬとし、あまりに強烈な色をもつ花やお仕着せは禁じられた。
このころ、ホータン、フェラーラに変わってキタイの首都となる。その後も歴代のキタイの王、大君は、フェラーラをキタイの心臓として特別あつかいし、魔都として封じ込める。


このころ、グラチウスはホータンにやってきてライ=オンと対決し、ライ=オンに飲まれてライ=オンのなかから魔力によって出ることにより、ライ=オンを従えた最初の魔道師とり、ライ=オンを指図し、命令することができる唯一の存在となった。


このころ、エイラハ、ブダガヤの呪術師となる。
このころ、タミヤ、ランダーギアの廃都コダイで、飢えのあまり自らの生み落とした嬰児をむさぼりくらい、その非道をもってラン=テゴスの巫女、使い女たるの資格を認められる。ヨブの神殿の売笑婦となり、サーリスベリの泥濘のなかで、石づくりの神々とまじわり、世にもいとわしい不浄の儀式を行ったゆえに、口にするもはばかられる醜名を冠せられるに至る。


このころ、ルールバ、キタイのホータンで生誕。貴族であったが堕落し、キタイの暗殺者、テッソスの使用人となる。その後、グラチウスの弟子としてキタイの魔道師となる。
このころ、イグ=ソッグ、大魔道師アグリッパの実験室のフラスコとビーカーの中で、臭いタールと汚らしい泥にいかがわしい賢者の石を混入することにより誕生。アグリッパの使い魔となり、長い年月の中で七星の会を見るほどの知恵を身につける。


【600年前】
ケイロニアのランデウス獅子心皇帝と頽廃王アルムのアルカンドロス大広場での歴史的な一騎打ち。パロ第三王朝(?)滅亡。以後、黒竜戦役まで他国がクリスタルに攻め込んだことはなかった。


このころ、サイロン、タリッド界隈に魔道師が集まりはじめ、まじない小路成立。
このころ、さまざまな魔道師がアルセイスに集まってくる。
このころ、紅玉宮に、カナン様式にしたがい、そのてっぺんはテラスをめぐらした望楼としたザンダロスの塔建設。ザンダロスの塔の頂上の望楼は物見の塔としてアルセイス市外の様子を見るために使われていたが、この中は謀反人を幽閉する牢獄として、特に地下の部分は非常に重大な国家反逆罪を犯した罪人を生涯閉じ込めておくための地下牢として使われた。
このころ、ゴーラが中原で最強の国であり、ユラニアは尚武の国であった。
このころ、魔道師狩り。


【550年前】
青銅の年【547年前】
緑の月、グラチウス、ドールに秘密のまま自分の結界にもっとも深く、アルセイスのザンダロスの塔の地下にイェライシャを幽閉、封印。イェライシャにザンダロスの塔で行われるおそるべき刑罰や拷問、陰謀やおぞましい虐殺をすべて見せ付けることにより、イェライシャが苦痛と苦悶にたえかねて発狂し、グラチウスの思い通りになるか、どうあってもこの境遇から出してもらうために、魔道師にとっては決して破ることの出来ぬ唯一の誓い、魔道師の誓いを立ててグラチウスのために忠誠を誓うと約束させようとしたが、成就できなかった。


【500年前】
中原の大混乱時代、大混沌時代、戦乱時代。このころまで三百年ほども続いた。


【500〜300年前】
《ケイロニア・パロ和平条約》
アルドロス大王の妻アルテミスをめぐって、パロとケイロニアとの間に大戦争勃発。
ケイロニアの哲人皇帝ルカヌスと、パロのアルドロス一世の代に和平が結ばれた。それ以来、両国はずっと友好的で、何百年もの間、平和が保たれてきた。


このころ、第三王朝の全盛期のパロによって、赤い街道整備される。
このころ、ウィレンの山の民が、中原からウィレンを越えて草原へ来て、ウィレンの麓に住みつく。
このころ、十六歳のタルーアンのスヴェン、ヨツンヘイムへファーフニルの宝を求めてくる。
このころ、カラヴィア独立戦争。


【300年前】
グラチウス、生身で人前に現れる。以降、狼の年【3年後】まで人前に現れることはなかった。
このころ、キタイ暗殺教団ギルド(キタイ魔道教)が成立したと云われる。どことも手を組まず独自の組織を保つ。対外的にはキタイ暗殺教団ギルド(キタイ魔道教)として知られるが、実際には望星教団と呼ばれ、カナンが滅びたとき、三千年前から存在しているという。
沿海州の古都アルカンド、これ以後三百年間に、海賊に二回、騎馬民族に三回、大略奪をうける。
このころまで、サルジナが草原と中原を結ぶ唯一のルートの宿場として賑わいをみせる。


【300〜200年前】
パロの支配がカラヴィアの大密林におよび、ルート―カラヴィアのダネイン航路完成。
ルードの森の道、失われる。


【200年前】
のちのフェラーラ第二十代魔女王リリト・デア生誕。


【200〜100年前】
ケイロニア第五十二代皇帝マチウスの死後、アンテーヌ侯の次子ミルスが第五十三代皇帝に選出される。その後、ミルスの手によりタルーアンとの間に通商条約が結ばれ、北方よりの脅威を半永久的に半減せしめた。
カル=モル、アグリッパを求めてノスフェラスへ向けキタイを出奔。おのれの力でカナンの再来を期したい、と標榜していた、という。まずカナン山塊に入って古代帝国カナンのあとをたずったが、なにも見い出せずにノスフェラスの荒野へ足を踏み入れる。長くさすらったのちに、グル・ヌー周辺の白骨ヶ原へ迷い込み、殺生石にふれて片手を失い、骸骨のような外見となる。


【100年前】
キタイの白魔道師メイ・ファン、ドールに魂を売った黒魔道師イー・リン・イーに捉えられ、イー・リン・イーの洞窟に閉じ込められる。
中原統合戦争(ヤヌス戦役)に全中原が巻き込まれる。
これ以降、「魔道師の塔」のカロン大導師は自らの足では魔道師の塔の外へ出ることがなくなる。


【100年前〜黒竜戦役】
シダの年【77年前】
のちのバルヴィナのゴラン大僧正、生誕。


蜥蜴の年【74年前】
のちの百三十世ゴーラ皇帝サウル・メンデクス・ブロス・モンゴーラ三世、百二十九世ゴーラ皇帝の三番目の皇子として生誕(故人)。


竜の年【73年前】
このころ、のちのモンゴール伯爵マルス生誕(モンゴールの現マルス伯の父。故人)


狼の年【69年前】
のちのアグラーヤ首相ダゴン・ヴォルフ生誕。


このころ、のちのケイロニア黒竜将軍ダルシウス・アレース生誕


羊の年【68年前】
のちのパロの貴婦人ヒルダ生誕。


虎の年【67年前】
サウル、七歳で百三十世ゴーラ皇帝として即位。以後77歳で死亡するまでバルヴィナ市城に幽閉。彼の十人ちかくもいた兄弟たちは船遊びの転覆で二人、塔からおちて一人、急な下痢で一人など、奇妙な事故により十〜三十歳前にすべて死亡。生涯に数度しかバルヴィナを出ることもなかった。妻をむかえ、四人の子供たちをもうけたものの、ふたりは生まれたときに死んで生まれたといって赤ん坊の死体を手渡され、ひとりはよちよち歩きのときに飼い犬にのどをくいちぎられて死亡し、ひとりはかろうじて六歳まで生き延びたもののいきなり倒れてきた銅像の下敷になってつぶれて死亡した。これらの子供はすべてユラニアによって暗殺されたといわれ、その血を子孫に伝えることもなかった。


このころ、賢者カーがまだ幼い子供の時、一人のラゴンが砂漠に出てゆき、アクラのみしるしを持ち帰ってきた。そこで、大移動が始まり、ラゴンは山あいの地に来て、ラゴンの村を立てた。こういったことはしばしば起こったものの、現在に至るまでアクラが告げるその地は、いずれも最後の約束の地ではなかった。


猿の年【59年前】
このころ、のちのケイロニア宮廷医師長カストール生誕。


鷹の年【58年前】
アウルス、アンテーヌ侯に。


このころ、のちのモンゴール大公ヴラド・モンゴール生誕(故人)。


このころ、アグラーヤの先王(ボルゴ・ヴァレンの父)にパロの姫が嫁ぐ。
このころ、マルス伯、副官ガランスと同じ年、同じ十五歳でともに初陣、パロ、サイロン、チルエルアラームと転戦してツーリード城主となる。
このころ、幼い日のケイロニア宮廷医師カストール、パロからケイロニアへ移住。


石の年【53年前】
第四十九代ユラニア大公オル・サンの子として、のちの第五十代ユラニア大公オル・カン生誕(故人)。


土の年【51年前】
第六十三代ケイロニア皇帝アトレウスの子として、のちの第六十四代ケイロニア皇帝アキレウス・ケイロニウス生誕。


このころ、のちの「聖騎士亭」親方カラム生誕。


このころ、カロン大導師、魔道師の塔のたばねとなる。


金の年【50年前】
第三十六代パロ聖王アルドロス二世の長男として、アルシス王子生誕(故人)。


このころ、ルナン、アルシス王子の小姓としてはじめて剣をささげる。


鉄の年【49年前】
第三十六代パロ聖王アルドロス二世の次男として、アル・リース王子(のちのアルドロス三世)生誕(故人)。
のちのライゴールの市長・評議長アンダヌス生誕。


火の年【48年前】
のちのモンゴール白騎士隊長タイラン、トーラスで誕生。


このころ、第三十六代パロ聖王アルドロス二世の三男として、アルディス王子(のちのベック公)生誕(故人)。
このころ、のちのパロ侯爵リヤ大臣生誕(故人)
このころ、のちのモンゴール男爵カースロン、モンゴールの田舎で誕生。


このころ、のちのヴラド大公、十五歳でサウル皇帝の準騎士となる。その後若くして隊長となり、国境に集結した自由開拓民たちを従えるために出兵。
このころから、アトキア侯ギラン、何度か公使としてパロに滞在。ルナンらと懇意になる。


流星の年【47年前】
のちのケイロニア皇后マライア・タル・クラディン、クムの公女として生誕(故人)。 ★のちのユラニア伯爵オールバイン生誕。


地の年【46年前】
前サラミス公フォルスの娘としてフェリシア生誕。


このころ、のちのヴァラキア伯爵・港湾大臣カンドス生誕。


蛋白石の年【44年前】
のちのモンゴール左府将軍カメロン生誕。


このころ、のちのアグラーヤ王ボルゴ・ヴァレン生誕。


苔の年【42年前】
このころ、のちのユラニア右大将軍オー・ラン生誕(故人)。


ムカデの年【40年前】
のちのケイロニア皇帝アキレウスの愛妾ユリア・ユーフェミア、ユラニア貴族の娘として生誕(故人)。


ヤモリの年【39年前】
のちのカラヴィア公爵アドロン生誕。
のちのオルロック伯夫人エリジア生誕。


蜥蜴の年【38年前】
のちのダリア大公妃ナディア生誕(故人)。
このころ、のちのヴァラキア公ロータス・トレヴァン生誕。


蠍の年【37年前】
サウル皇帝の騎士長ヴラド・モンゴール、大帝国カナンの君臨時代ですら不毛の森林地帯として捨て置かれた地方であり、ケス川の南西の辺境地帯の自由開拓民の未開の土地を手柄の褒美として領地に所望し、開拓権を申し出て、サウル皇帝の無力と病をよいことに、半ば勝手に縄をはって、モンゴール伯爵となって領地とする。金蠍宮で洗濯女をしていた靴やの娘アンナをみそめて妻としたのち、次第に領地を拡大。


このころ、アンナの末弟で、アレナ通りの靴屋のせがれであったユナス、姉アンナがモンゴール大公妃となるのに伴い、伯爵に。
このころから苔の年【6年前】まで、クリスタル公位は三十年以上空席となる。歴代のパロ王はあまりクリスタル公を設定せず、せいぜいクリスタル伯爵を文のかなめとして配するにとどめるものがおおかった。
このころ、ユラニアとモンゴールとの間で鉄鉱石の利権についての談合決裂。
このころ、アリストートス、寒村モルダニアの貧しいハンナの息子として生誕。ろくろく食べるものもなく、うぶ着さえもなくワラの上でぼろにくるまれていた。亡き母をのぞいては、誰からもうしろ指をさされ、石をなげられる苛められっ子で、みにくい、つぶれたヒキガエル、ふためと見られないなどと村人たちに馬鹿にされ、食べ物をめぐんでくれるどころか門口に立たれることさえ嫌がられたという。成長してからは、長いこと様々なことを学び修行をつみ、ホータンや、東方のずっと奥まったカラキタイまでも行ったという。


蛇の年【34年前】
セム族とモンゴールの間に無言の和平協定が成立。


この頃、アルディス王子、ベック公爵に。その後、早逝。


このころ、のちのアルゴス王妃エマ、第三十六代パロ聖王アルドロス二世の娘として生誕。


虎の年【31年前】
《パロ内乱》
フェリシア姫を巡る争いから跡目争いに発展し、アルシス王子−アル・リース王子の内戦が表面化。アルシス王子の後見人カラヴィア公クライン、アルドロス二世妃イピゲネイア相次いで病死。
アルドロス二世、重病に。
アルシス王子、高官たちの居並ぶ前でアル・リース王子を激しく面罵し、著しく人望を失う。
リヤ卿、聖騎士団をかたらい、アル・リース王子立太子の請願。
アルシス王子、アル・リース王子の王位相続決定を不満として、近衛騎士団の一部に命じ、兵を進める。同時にカラヴィアへ出兵要請の密書を送る。
アルシス王子−アル・リース王子の内戦勃発。アルシス側に聖騎士侯で唯一ルナン侯がつき、アル・リース側にリヤ大臣、ボーハム、ルーイン、アキレス、ユリアス、ランディウス聖騎士侯がつく。カラヴィア公アドロンがアル・リース支持を打ち出す。このとき、アルシスに矢傷を負わされたアキレス聖騎士侯は退隠し、それ以後、健康がすぐれぬまま、若くして死亡。
フェリシアがケイロニア伯爵の外交官タルキニウスとの婚約を発表し、アルシス王子に兵をおさめるよう説得し、アル・リース側有利のうちに停戦。アルシス、アル・リースに王座を譲り、ヤヌス神殿の祭司長となると告げる。
同日、アルドロス二世、重態を脱し、意識を回復。
翌月、アル・リース立太子式。もしアル・リースが男子を得ないときには、アルシスの子を王太子にするとの《兄弟の誓い》を行う。
聖王家の遠い縁続きであり、代々宰相をつとめる家柄のリヤ大臣、宰相に就任。国王にかわり、政務をすべてとりしきるようになる。
アルシス、ヤヌス神殿の祭司長となる。以後、何度かヤヌスその人と言葉をかわしたといわれる。
フェリシア、タルキニウスと最初の結婚。以後、10回も離婚と結婚とを繰り返す。


のちのヴァラキアの娼館・女神亭の娼婦モアラ生誕。
のちのヴァラキアのコロ師ヨピス生誕。


このころ、のちのダリア港の《かもめ亭》の踊り子ナナ生誕。


山羊の年【29年前】
先代ベック公アルディスの子として、のちのベック公ファーン生誕。武芸に才能を発揮し、年少の頃から、例年の御前試合大祭で好成績を残す。妹を二人と弟アラン(早逝)を得る。上の妹は蝶の年【1年後】までに結婚。
ユラニア大公オル・カンの長女として、エイミア生誕(故人)。
のちのアルゴス隊長イェン・ファン生誕。


このころ、のちのパロ聖騎士侯アキレス生誕(故人)。


鹿の年【28年前】
黒の月、アキレウス、第六十四代ケイロニア皇帝として二十三歳で即位。(それ以前に5年間摂政時代があった?)。直後、大使としてケイロニアにやってきたユラニア貴族の娘ユリア・ユーフェミアと出会う。
サウル帝の甥のカデウス大公、皇帝代理としてアキレウス帝即位式典に出席。


このころ、ケイロニアとクム、ユラニアとのあいだに相互不可侵条約締結。
このころ、リュイス、亡父のあとを継承し、ランズベール侯爵をアルドロス二世より拝命。
このころ、アルシス、祭司の掟で血族から、腹違いの若い叔母ラーナと結婚。
このころ、ボルゴ・ヴァレン、十四歳で初陣。
このころサンカ族によるアルカンド襲撃。アルカンドの住民の八割が殺された。 ※このころ、オル・カン、第五十代ユラニア大公として即位。サウル皇帝に自らへの譲位の遺言をするよう迫るもはたせず。


猫の年【27年前】
トーラスの一般民ミン生誕。
下ヴァラキアの生糸問屋の娘ヴァイア生誕。


このころ、クム大公タリオ・サン・ドーサンの長男としてタルー生誕。
このころ、ヴァイキングの娘ニギディア生誕(故人)。


鼠の年【26年前】
カメロン成人し、ロータス・トレヴァーンに剣を捧げてオルニウス号に乗り組む。以降、狼の年【3年後】までヴァラキアに忠誠をつくす。


ユラニア大公オル・カンの次女として、のちのユラニア大公ネリイ生誕。
のちのダリア大公の娘シリアの護衛ルナ生誕。


このころ、のちのモンゴール左府将軍カメロン側近マルコ生誕。


蜻蛉の年【25年前】
アル・リース、パロ聖王国第三十七代、第三王朝第十一代聖王アルドロス三世として即位。即位後、アルゴスの姫をめとる(のちの王妃ターニアとは別人か?)。


パロ聖騎士侯ルナンの娘としてリギア生誕。
のちのタリア伯爵ギイ・ドルフュス生誕。
のちのヴァラキア・オルニウス号水夫長ジェークス生誕(故人)。


このころ、のちのアグラーヤ・サリア号士官フレイ生誕。


駱駝の年【24年前】
のちのパロ宰相ヴァレリウス生誕。
緑の月ルアー旬2日、アルシスとラーナの長男として、のちのクリスタル公アルド・ナリス誕生。アルシス王子、ラーナ大公妃とも幼いナリスを手元におくことを嫌ったため、一度も実母の乳を吸うことも、父母の腕に抱かれることもなく、産褥からそのままルナン侯夫妻にひきとられ、ルナンの妻デビ・エレナを乳母として、リギアとともに聖王家のマルガ離宮で育てられた。病弱で、昔からよく熱を出して寝込んでいた。アルシス王子は、マルガに来た時でさえマルガ離宮へは立ち寄らず、自分の別荘であるアルシス離宮にだけ滞在していた。
のちのアルゴス黒太子スカール、アルゴス王スタインと、グル族の女リー・オウとのあいだに誕生。
ユラニア大公オル・カンの三女として、ルビニア生誕(故人)。
アルカンドの貴族ヤル・サーナグの娘として、ナウカシア生誕(故人)。


この頃、アキレウス、マライアと結婚。三男二女をもうけたが、シルヴィアを除いて、すべて二歳とは生きていなかった。
この頃、ケイロニア皇弟ダリウス、ユラニアに留学。のちにユラニアの姫アントニアと結婚。
このころから、ラーナ大公妃、宮殿の中に小さな神殿を建て、ゼアの尼僧として信仰三昧の暮らしを始める。
このころ、リヤ大臣、外交官としてキタイを含む世界各国に派遣される。


猿の年【23年前】
ユリア・ユーフェミア、妊娠中の身でマライア皇后により誘拐される。オクタヴィアを出産した晩の一ヶ月後、闇ヶ丘離宮の地下牢でダリウスにより発見、救出。


黄の月、アルシスと、アムブラの学問所の教師エリアスの娘で、ヨウィスの血をひくというトルースの生まれの侍女(一説にはアムブラの酒場女の娘)で貴族(一説には商人)の養女であった母デビ・エリサとの間にアル・ディーン誕生。ラーナ大公妃に疎まれたため、正式の披露すら受けられぬ日陰の王子として幼少時を過ごす。
ケイロニア皇帝アキレウスとユリア・ユーフェミアの娘としてオクタヴィア生誕。
パロ大臣リヤ侯爵の長男として、のちのパロ官房長官リーナス生誕。
クム大公タリオ・サン・ドーサンの次男としてタル・サン生誕(故人)。


鷹の年【22年前】
ヴラド・モンゴール、自らの領地をもって三つ目の大公領とすると宣言し、強引にサウル皇帝の認可を得てモンゴール大公国成立。トーラスの周囲に開拓民があつまり、森を切り開いて新しい町をつくりはじめる。こののち、首都トーラスは、第二次黒竜戦役まで他国の侵略を受けることはなかった。
のちのタリア宰相アラン・ドルフュス生誕。
ヴァラキアの大工の娘ルキア・ハンゼ生誕(故人)。


このころ、のちのオー・タン・フェイ私塾塾頭ラン生誕。


獅子の年【21年前】
のちのモンゴール右府将軍イシュトヴァーン、下ヴァラキア、ヴェント、ラヴィニアのチチアの遊廓の遊女、酒場女のイーヴァ(またはイヴァ)と、名の判らぬヴァラキアの船乗りとのあいだの息子として、嵐の夜に誕生。生まれたときに右手の掌に白く丸い玉石(一説には二つ)を握っていたので、土地の老予言者である産婆で魔女のフェイばばあは、今に《光の公女》と出会い、彼女がイシュトヴァーンを王座につけ、王国を支配することになるだろう、彼女が王国と闇とを与えるだろうと予言し、沿海州の伝説の偉大な王イシュトヴァーンの名をかれにあたえた。
のちのカメロンの小姓ルー生誕(故人)。


このころ、のちのモンゴール伯爵アリオン生誕。


豹の年【20年前】
モンゴール伯爵マルクス・アストリアスの息子として、のちのモンゴール子爵アストリアス生誕。
モンゴール伯爵マルスの息子として、のちのマルス伯マリウス生誕。


このころ、ライゴールのラン生誕(故人)。
このころ、のちのアムブラ私塾連盟の議長マギウス・ドラウクス生誕(故人)。


馬の年【19年前】
ナディア、十八歳でダリア島のポム大公と結婚。
ダリア島のルネ、七歳で奉公に上がる。


クム大公タリオ・サン・ドーサンの三男として、のちのクム大公タリク・サン・ドーサン生誕。
タリア伯爵の娘、アレン・ドルフュス生誕。


このころ、アンダヌス、ライゴールにモンゴールとの独占通商権をもたらす。


水の年【18年前】
オクタヴィア五歳の時、ユリア・ユーフェミア、ダリウスの森の別荘にてダリウスの手によりオクタヴィアの目の前で惨殺。オクタヴィア、森番の老夫婦に助けられ、十年間育てられる。ショックのため、オクタヴィアはしばらく声がだせなくなる。
イシュトヴァーン三歳の時、母と二歳上(一説には三歳上)の姉が流行やまいで死亡。イシュトヴァーン、ばくちうちのコルドのじいさんに引き取られ、掏摸と博奕うちと女衒にときどきの金や飯をせびりながらチチア遊廓で娼婦たちに抱かれて育った。次第にコルド直伝の技を身に付け、コルドの一番弟子と呼ばれるようになる。このころ初めて泥棒を働く。
アル・ディーン、母デビ・エリサとともにアルシス王子に引き取られる。


橙の月、モンゴール大公ヴラド・モンゴールの娘として、のちのモンゴール大公アムネリス・モンゴール生誕。
のちのケイロニア金犬将軍ゼノン生誕。
ダリア大公ポムとナディア妃の娘としてシリア生誕。


このころから、ラーナ大公妃、ジェニュアでヤヌスの尼僧同然の暮らしを始める。


石の年【17年前】
イシュトヴァーン、四歳にしてコロを振りはじめる。


灰の月、ケイロニア皇帝アキレウスと皇后マライアの娘として、シルヴィア生誕。
マール侯爵家に、のちのベック公ファーン妃フィリス生誕。
のちのアムネリスの侍女フロリー生誕。
グル族族長グル・シンの娘として、のちのスカールの愛妾リー・ファ生誕。
トレヴァン一族の血縁であった貴族の娘イリシアと庭師であった大工のハンゼとを父として、ヨナ・ハンゼ生誕。


このころ、パロ男爵コントの次男モーリス・コント生誕(故人)。


この頃、トール、傭兵となる。


木の年【16年前】
ダリア島のルネ、十歳で大公の家へ奉公に上がる。


ヴラド・モンゴールの姪、アエリア生誕(故人)。
パロ男爵コントの娘パーシア・コント生誕。
のちのホータン青鱶団団長リー・リン・レン生誕。


このころから以降、黒竜戦役までパロに大きな戦さはなし。
このころからグラチウスが中原に対してさまざまな働きかけをはじめる。


土の年【15年前】
イシュトヴァーン六歳の時(一説には石の年【17年前】、四歳の時)から、戦死者のふところをさぐる戦場稼ぎを始める。
アルシス王子、落馬で死去。アル・ディーンの母デビ・エリサ自害。アル・ディーン、ナリスのいるルナンのもとへ。ナリス、リギア、ディーンは三人一緒にマルガの離宮とカリナエの庭を往復して育った。これを一期にラーナ妃は一切の公務を退く。アルシス王子は晩年はほとんどマルガのアルシス離宮で過ごしていた。


モンゴール左府将軍ローザンの息子として、のちのモンゴール子爵ランス生誕。


このころから、アムネリス、男の鎧兜を着せられ、観兵式に座らされ、ウマと剣とを教えこまれた。


金の年【14年前】
ヴァレリウス、アムブラでリーナスと出会う。その後、はぐれ魔道師のロー・ダンに拾われ、ヴァレリウスと名付けられ、森の奥で育てられる。
スカール、このころから父の正妻のおくる暗殺者にねらわれるようになる。 ・キタイに大地震。ホータン南の鬼面の塔崩壊。
竜頭人身の魔道師ヤンダル・ゾッグ、大地震と同時にキタイに出現。古く伝統を誇るキタイ王国の首都ホータンの王城として栄華をきわめた竜宮城(蓮華王城)にてキタイ最後の大君、カラキタイのカン・チェン家の王カン・チェン・ルアンを、おぞましい予言を実現させることによって狂わせ、その結果、カン・チェン・ルアンはテラスから塔の下へ身を投げて死亡した。その後、その家臣一同にむかって、予言の書にしたがっておのれがキタイ最後の王となることを宣言して竜の玉座につく。前王派など、敵対者を徹底的にかりたて、処刑し、その血でホータンの竜宮の池は真っ赤に染まり、そこから流れる運河も真っ赤に染まったといわれる。その後、キタイは地上に類を見ない暗黒王国への道を歩きはじめ、王城は旧竜宮城、恐怖城と呼ばれるようになる。
ヤンダル・ゾッグ、ホータンより東方、ノスフェラスに近く、カリンクトゥムの扉にも近いと云われる場所に新都シーアンの建設命令。
キタイの神様、土地神が多くの社にまつられていたホータン東の森に魔道師、占い師、魔物たちが住みつきはじめる。
フェラーラ、キタイの支配下に完全に下るところとなり、フェラーラの女王が年にいくたびかシーアンに礼をつくすべく出向きさえする配下の間柄となった。


橙の月、アルドロス三世と沿海州出身の家庭的なターニア王妃との間に、のちの第三十八代パロ聖王レムスとクリスタル大公妃リンダ誕生。パロの予言者に「二粒の真珠、一方は薬となり、一方は財宝となる」「一人はパロの偉大な王となり、一人は偉大な予言者となる」「リンダはいずれ、パロの長い魔道の歴史の中でさえ、かつてなかった偉大な予言者となるであろう」との予言をうける。いつでも一緒で一ザンとは離れずに育ち、よく入れ替わってナリスやベックやリヤ卿を騙して遊んでいた。幼少時から、古代機械の操作を教育される。
黒の月、カラヴィア公アドロンの長男として、のちのカラヴィア子爵アドリアン生誕。
モンゴール将軍アルヴィウスの息子として、のちのモンゴール子爵ルキウス生誕。
ヴラド・モンゴールの姪、マリス生誕(故人)。


このころ、パロのランズベール侯爵リュイスの娘シリア生誕。


このころ、マルコ、十二歳でオルニウス号に乗り組む。


鉄の年【13年前】
モンゴール大公ヴラド・モンゴールの長男として、ミアイル生誕(故人)。
ケイロニア・アンテーヌ侯アウルス・フェロンの長男として、アウルス・アラン生誕。
草原の自由開拓民タズト生誕。
ユラニア・ミーアン村の農民ファン・ロンの長男ラム生誕。
のちの青鱶団幹部シャオロン生誕。


火の年【12年前】
タルーアンのニギディア、ノルンの海から結界を破り、恋人スレイを殺して逃げ出したクラーケン探索の航海へ出発。ノルンの海からコーセアの海、ガヤ、ミレトスの運河を経由してレントの海へ。
イシュトヴァーン九歳の時、男と初体験。


アグラーヤ王ボルゴ・ヴァレンとデュアナ王妃の長女として、のちのパロ聖王レムス妃アルミナ生誕。
ケイロニア・アトキア侯ギランの長男として、マローン生誕。
草原のマオ・グル族の娘リン・メイ生誕(故人)。


この頃、愛妾であった姫の一行が通ったときにレンガが崩れてきて姫を脅かしたとして、ヤンダル・ゾッグによりホータン西の塔撤去。


流星の年【11年前】
スカール十三歳で初陣。以後、グル族以下の騎馬の民とともに半生を戦いに生きる。
ダリア島のナナの恋人ミロン、西の海で遭難死。
ファーン、十八歳の誕生日に父をついでベック公爵を拝命。


パロ子爵アラインの息子として、アルドス生誕。
のちの青鱶団員ファールン生誕(故人)。
のちの青鱶団員ユアン生誕。
のちの青鱶団員ファン生誕。


このころから、ネリイの男あさりが激しくなり、次から次へとたくましい騎士たちを寝室に引き込むようになった。


地の年【10年前】
イシュトヴァーン十一歳の時(一説には十二歳の時)、初めて博奕の場を立て、ホイ博奕で勝ちまくっていた時にカメロンと初めて博奕場で会った。いかさまサイの名手として名をはせる。このころから傭兵稼業を始め、数々の城と戦場をわたり歩いた。
ルナンの妻で、ナリスの乳母デビ・エレナ死去。(一説にはナリスの幼少時に死去したと云われる)


金剛石の年【9年前】
リギア、十六歳で近衛騎士団に入団。
橙の月、アル・ディーン、マルガで祖父エリアス(魚じじい)と出会う。
アル・ディーン、ナリスのはからいにより、キタラ、ジタール、歌、笛、太鼓を習い始めるが、数ヶ月後、学業のさまたげになるとして禁止される。


モンゴール・アムネリス親衛隊長フェルドリックの娘アディーナ生誕。


このころ、フロリー、アムネリスに仕え始める。


蛋白石の年【8年前】
ナリス、王立学問所に入学。学問所と魔道士の塔で二年間学問と魔道を学ぶ。入学の年、国王に懇願し、古代機械の原理と謎を解きあかすための研究のチームをつくって研究の許可を受け、王が研究にあたらせていた魔道士たちをナリス付きとして預かり、研究を始め、それ以降、積極的に世界の学者、魔道師を集め研究を進める。


ヴァレリウス、《暗黒の書》を求めて黒魔道師イー・イン・リーに捕えられるも、メイ・ファンに助けられる。直後、リヤ侯爵のもとへ。
紫の月、アルド・ナリス、リヤ大臣に連れられたヴァレリウスと対面。その後、ヤン・スー・ファン(グラチウス)に誘惑されるが、これを絶ち切り、その魔の手からパロを救う。これにより、魔道師ギルド内でのアルド・ナリスの評価が上昇する。
夏、ディーンの祖父エリアス、湖に落ちて死亡。
夏、スカール、アルカンドでナウカシアと出会い、救出。十日後、アルカンドにサンカ族の奇襲のあることを知らせるが、そこでナウカシアと別れる。
イシュトヴァーン、十三歳で、自分の母親のような年の女と初体験。チチアで女相手の売春をはじめる。
ナリスの乳母でルナンの妻デビ・エレナ死去。
冬、ナリス、ディーンのキタラを暖炉に投げ込んで燃やす。


ケイロニア・ワルスタット侯ディモスの長女としてヘレネ生誕。


この頃、オクタヴィア、ダリウスのもとへ。


青銅の年【7年前】
カイム侯、三年連続で馬上槍のチャンピオンとなるも、青銅の年の御前試合トーナメントでアキレス侯のレイピアに破れる。
黄の月、アル・ディーン十六歳の誕生日にナリスがマルガへ祝福に訪問し、三ヶ月ぶりに再会する。翌日、ヨウィスの民イーゴウと出会う。一、二旬ほどの間キタラを習う。ナリス暗殺を狙うイーゴウに拉致されるが、ナリスに助けられる。
夏、体をこわしたナリス、ディーンとともにマルガでしばらく静養。 ・リンダとレムス、長いトーガをつけることを許される。
アルドロス三世とボルゴ・ヴァレンとの間にパロ・アグラーヤ友好条約締結。父に連れられ、アルミナ、クリスタル訪問。
イシュトヴァーン十四歳の頃、育ての親の老ばくち打ちのコルドが、顔役《五つ目》のドビスの全財産をカンでまきあげた翌日、右手を叩き潰され、目をえぐられてヴァラキア港に縛られて放り込まれ、殺された。


アルセイスの大工の息子リーロ・ソルガン生誕(故人)。


この頃から、アルゴスとトルースとの絆が固くなり、カウロスとアルゴス・トルース連合の力が拮抗。


苔の年【6年前】
ディーン、王立学問所に入学。リーナスと机を並べて学ぶ。
緑の月ルアー旬2日、アルド・ナリス、十八歳の誕生日に第五十七代クリスタル公襲名。スカールと初対面。その夜、カイム侯及びベック公と御前試合。レイピアでカイムを破り、ベック公と勝負つかず。改めて馬上剣にてベック公と対戦し、これを破る。
緑の月ルアー旬4日夜、カイム、ボーハム、アキレス及びオーガン聖騎士侯により、ナリス拉致される。
緑の月ルアー旬5日、レイピアにてカイムとアキレスを破るも、オーガンの不意討ちにより重傷を負う。カイム等によりオーガン刺殺。
緑の月ルアー旬8日、アル・ディーン出奔。
セム族、ケス河を越えて大部隊をモンゴール辺境に送りこむ。これ以後、竜の年【基準年】まで大規模な侵攻なし。


シダの年【5年前】
アストリアス、十五歳で初陣。以後、数々の手柄をたてる。
橙の月、イシュトヴァーン、ヨナと出会う。お互いに博奕と読み書きを教えあう。数日後、イシュトヴァーン、ヨナの姉ルキアをカンドス伯から救うため、ヨウィスの女に変装しサイスの賭場へ。黒のブルカスに勝利するも、翌晩カンドス伯の一味に捕えられる。ルキアが死んだことを知り、カンドス伯から四千ラン奪い取る。その夜、ヨナ、海坊主のサムに捕えられ、カンドス伯のもとへ。イシュトヴァーン、ヨナを救出。数日後、イシュトヴァーン、ヨナを連れ、停泊中のパロ宰相リヤ侯爵の船へ。ヨナ、パロへ出発、クリスタルへ。
マルコの母が病気になり、マルコ、オルニウス号を一時下船。
黒の月、イシュトヴァーン、ピットの賭場でオリー・トレヴァーン一味のいかさまを見破る。その夜、オリー一味に捕まるも、逃げ出して明け方、オルニウス号へ逃げ込む。朝方出航。二旬ほど後、《黒いイシュタル》号に体当りされ、イシュトヴァーン、海に転落する。クラーケンにより、カメロン以外のオルニウス号乗組員全滅。イシュトヴァーン、タルーアンの《フレイヤ》号のニギディアに助けられる。翌日夜、船の墓場へ。幽霊船とクラーケンにより《フレイヤ》号乗組員捕えられる。イシュトヴァーン、海に飛び込み、船の墓場の島でカメロンと再会。翌日夜、イシュトヴァーンとカメロンの撃った銛により、ニギディア、クラーケンを倒す。3、四日後、イシュトヴァーンとカメロン出発。五日後、テラニア群島のイフィゲニアにてイシュトヴァーン、カメロンを別れ、雇われ水夫となる。


ユラニア・ミーアン村の農民ファン・ロンの四男ダル生誕。
モンゴール・アムネリス親衛隊長フェルドリックの娘アリサ生誕。


この頃、ハゾス、二ヶ月ほど駐ユラニアの外交使節として紅玉宮に。
この頃、マライア皇妃とダリウス大公の密通事件。
この頃、ヴァルーサ、クムで誕生。その後、テッソスの奴隷市場で売られる。
この頃、エマ王女、アルゴスのスタック王に嫁ぐ。


ムカデの年【4年前】
ベック公ファーンとフィリス婚約。
イシュトヴァーンがレントの海でヴァラキアの海賊船に乗りくんでいた時、見たことのない妙な流線形をし、船首に翼の生えたハーピイの像があり、右舷に《ランドック》とかかれた白い船と出会った。
小マルス伯、十六歳で兵役につくべくトーラスへおもむき、義務による兵役の、金蠍宮の親衛隊勤めをおこなう。
シャオロンの父、ヤンダル・ゾッグの反逆者狩りで死亡。半年後、妹ユー・メイを生んで母死亡。


のちの青鱶団幹部シャオロンの妹ユー・メイ(ヴァニラ)生誕。


ヤモリの年【3年前】
アムネリス、十五歳で初陣を飾り、以来、蝶の年まで負け戦の経験なし。
アストリアス、アルヴォン砦へ配属。
リー・ファ、十四歳でスカールに見初められ、愛人(アイレン)となる。
シャオロンの妹ユー・メイ、強盗にさらわれて行方不明に。


アルセイスのリーロ・ソルガンの妹エリー生誕。


蜥蜴の年【2年前】
イシュトヴァーン、テラニアで、ライゴールのランと出会う。売り飛ばされたどれい船をのっとり、若い仲間をかきあつめて、コーセア、レントの海で海賊稼業開始。
リンダとレムスの十二歳の誕生祝いの後で、ナリスとベックが星辰の間で短剣で立ち会い、ナリスがベックの銀の肌着に切り裂きを作って勝った。このころ、ナリスは三期連続王室トーナメントで優勝し、神技とたたえられる。
モンゴールでミアイル公子、立太子式。
ケイロニア皇太后(アキレウスの母)、死去。


このころ、アウレリアとミネア、ターニア王妃づきのデビとなる。
イシュトヴァーン、コーセアの大海やレントの海で海賊、暗殺者、盗賊を稼業とし、海賊の首領や盗賊団の首領も経験。キタイの盗品の密輸なども行なう。船が難破して人肉を食って生きのびたこともあるという。《不具者の都》キャナリスに傭兵としていく。


蠍の年【1年前】
夏、イシュトヴァーン、ミダス島で資金がつき、しけのため、《ニギディア》号でダリア島に流れ着く。《かもめ亭》のナナと出会う。翌夕、シリア公女とルネ大尉に出会う。2日後、ドライドン祭り開始。その夜、シリア、イシュトヴァーンと結ばれる。3日程後、ナナに玉石を渡し、大海賊クルドが財宝を隠したナントの島の場所を知るという、パール島の《黒カラヴィア》号を探しに出発。しかし、狙っていた財宝を手にいれそこね、船をなくす。ライゴールのラン、イシュトヴァーンを助けるために死亡。カラヴィアの海賊船《黒カラヴィア》号に乗船。
ヴァラキアのオルニウス一世号沈没。


この頃、イシュトヴァーン、ロスから陸にあがり、ユラニアでおたずね者になってクムへ行き、クムの都ルーアンで決闘さわぎを起こしてモンゴールへと流れ、トーラスのレディ・デリアと恋愛騒ぎをおこしてデリアを破滅させ、貴族の息子を殺して、辺境警備隊に志願した。スタフォロスに送られる時には、トーラスのグドウ将軍の傭兵で、半年以上スタフォロス砦の守兵として訓練を受ける。


アルセイスのリーロ・ソルガンの弟マナ生誕。


【黒竜戦役前夜〜現在】
竜の年【基準年】
赤の月、モンゴール宮廷会議にて、ケス河渡河訓練実施を決定。
サラミス傭兵隊長カザルス、ダリウス大公の傭兵隊の長に任ぜられる。 ・リーロの父、大工のソルガンが紅玉宮の修理中に屋根からおちて、首を折って死亡。
神聖なアウラの秘密を知るケイロンの高僧ダルマキス、スタフォロス城で殺され、石壁に塗込められる。
黒竜戦役直前、ファーン、アルゴスへ半年ほどの予定でエマ王女を訪問。 ・黒竜戦役直前、モンゴール、カウロスと極秘に同盟。
黒竜戦役直前、クムがモンゴールを攻めるという噂をきき、ヴラド大公、パロ侵攻を決意。
黒竜戦役直前、カル・モル、ケス河にたどりつき、辺境開拓民に救われる。辺境警備隊に身柄を引き渡され、トーラスへ。
黒竜戦役直前、スニ、ある日、薬草を積みにでて、スタフォロス城の騎士にとらえられ、何人かのラクと一緒に幽閉。ダルマキスの死体を掘り出して咎められ、スニ以外のラク族は殺され、スニは別の牢へ。
青の月、黒竜戦役勃発の日、ケイロニア国境からの奇襲をかけて公女アムネリスを総大将とするモンゴールの白、黒、青、赤騎士隊が首都クリスタルに侵攻。クリスタル公アルド・ナリス、初戦で矢にあたり負傷し、古代機械の秘密にまつわる聖王家の家訓に従い、自分で傷を開いて重傷となる。リンダとレムスの目前で、アルドロス三世、ターニア王妃死亡。リンダとレムス、乳母のボーガンとリヤ大臣により、ヤヌスの塔地下にある水晶の台座へ連れていかれる。赤騎士によりボーガン殺害。リヤ大臣が古代機械を操作して、二人をアルゴスへ送ろうとするも座標が狂い、二人はモンゴールの辺境、ルードの泉の奥深い草地へ転送された。首相リヤ大臣、聖騎士侯アキレス、カイム戦死。聖騎士侯ダルカン、重傷を負って捕虜に。ダーヴァルス、行方不明。ルナン侯とリーナスが、重傷のクリスタル公を守ってクリスタルを脱出。アルドロス三世とターニア王妃の首級は剣に突き刺され、玉座の間にさらされた。二昼夜の激戦により、クリスタル陥落。
青の月、黒竜戦役直後、アムネリスのノスフェラス行きの前、パロ占領軍の司令代理にはボーラン伯就任。そのころ、あちこちでパロの残党が兵を集め、占領軍に歯向かうようすがしきりとなる。その後、タイランが司令官として、ブルク、カースロンが副官としてクリスタルへ就任。
青の月、黒竜戦役直後、パロ敗戦クリスタル陥落の報と同時に、カウロスのジラール大公、モンゴールと同盟を明らかにする。同時に兵をだしてルート、チュグル、リャガの要所を押さえ、またトルース及び草原各部族に、対アルゴス宣戦布告の通告をだす。


蝶の年【1年後】
ヤンダル・ゾッグ、新都シーアン遷都。北ホータンをごろつきどもが占拠しはじめる。魔物ども、野望をいだく魔道師たちがホータンに集まり、ホータンが魔都へと姿を変じはじめる。《蓮華王城》が悪の巣窟と化す。
ホータン北の塔、魔物らの棲家になるであろうとしてヤンダル・ゾッグにより撤去。多くの魔物どものが巣くっていた東の塔のみが、とりこわしにおもむいた兵士どもが発狂したり死んだり、逃亡したり逃げ帰ることがあまりにたびかさなったがゆえに、放置されることとなった。
第三十代教主ヤン・ゲラール率いるキタイの暗殺教団(キタイ魔道教)、東の森から竜宮城にうつる。
ユラニアのタリム宰相、未亡人を後妻に迎える。


アルセイスのリーロ・ソルガンの弟ミル生誕。


蛇の年【2年後】
父母を竜騎兵に殺されたリー・リン・レン、十八歳で親をなくした子供たちを集めて青鱶団を結成。


アルゴス王太子エルシウス、アルゴス王スタックとエマ女王の長男として生誕。


狼の年【3年後】
紫の月、ベック公ファーンとフィリス妃の長男として、ルチウス生誕。
黒の月ルアー旬6日、マリウスとオクタヴィアの長女としてマリニア生誕。


羊の年【4年後】
白の月、リギア、クリスタルを去り、カラヴィアの昔の恋人の元へ。


このころ、ある大洋の海底が隆起し、失われていたカナンの大都市の廃虚が分厚い海底の砂のなかからそのすがたをなかばあらわしてきた。


【現在〜未来】
羊〜山羊の年【4〜7年後】
グイン、カナンの古代大陸の遺跡、カリンクトゥムの地の涯、異星の地などに足をふみいれる。
グイン、大魔道師アグリッパのゆくえを探す。
グイン、賢者ロカンドラスをその山の住居に訪ね、ともに星を見る。


この頃、ヴァルーサ、アラクネーの踊り子となる。蛇を体にまきつけて踊るようになる。


鹿の年【8年後】
グイン、シルヴィアと結婚。ケイロニア王即位。


猫の年【9年後】
白の月、サイロンに黒死病蔓延しはじめる。
赤の月イリス旬、シルヴィア、サルデスの離宮へ。
茶の月、星陵宮のアキレウス帝発病。ゴーラ王イシュトヴァーン、ケイロニア攻めを決意との報告。
青の月ヤーン旬、ケイロニア王グイン、タリッドのまじない小路へ。アルスとヴァルーサに出会う。アラクネーの蜘蛛に襲われるが、黒き魔女タミヤに助けられる。その後、イェライシャの家へ。アキレウス帝の病状が持ち直したとの知らせ。ヴァルーサ、黒曜宮へ。
同月イリス旬8日、黒曜宮にて黒死病の蔓延が終わったことにたいする感謝の宴。エイラハとルールバの顔が空に現われる。サイロンのミゲル信者、ミロク神殿を襲撃。グイン、ヴァルーサとともにサイロン市街へ。
同月同旬9日、六百年に一度の《星の会》。グイン、アルスと再会。イグソッグとババヤガ現われる。グイン、空に現われた《黒魔殿》に捕えられる。タミヤ、エイラハ、ルールバ、イグソッグ及びババヤガ、《黒魔殿》に捕えられる。イェライシャ、ヴァルーサ及びアルス、《黒魔殿》へ。5人の魔道師の殺しあい。グイン、タミヤの催眠からヴァルーサ、アルスにより救出される。イェライシャ、タミヤを倒す。ヴァルーサ、アルスがヤンダル・ゾッグであることを見抜く。グイン、イェライシャの《光の剣》によりヤンダル・ゾッグを倒す。







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