3.霞ヶ関を目指す方へ

(5)その他つれづれなるままに

1)プライオリティを考えると良いと思います

 良くあるケースですが、仕事の処理がうまい人は仕事のプライオリティ(優先順位)をつけることがうまいというか、そういう判断ができるように思えます。

 役所では同時にいくつも仕事が来ることが多く、仕事の来た順に処理をしていてはとうてい対応できません。

 優秀な人はわざわざ紙に書く必要はないのでしょうが、私などは今週処理する案件と締め切りを古紙の裏側などに列挙して、仕事の順番を考えたものです。
 その他よく見かけるのはパソコンに付箋を貼り付けている人です。

 もちろん、締め切りもさることながら案件の重要性も考慮する必要がありますので、どれを先にやればよい、など一概には言えませんが、言われたまま仕事に流されるのではなく、こういったプライオリティを考える練習を常に心がけておくと、良いのではないかと思います。


2)確認を常に心がける事は重要なことです

 資料作成というのはどんなに完璧にやったつもりでも、結構間違いなどがあるものです。

 案件にもよりますが、公印を押す文書のミスや起案文書のミスは修正(差し替え)が面倒であったり、そのまま通ってもみっともない場合もあります。
 また、説明資料も1つくらいのミスならともかくいくつも間違っていると内容よりそちらばかり気にされてしまいます。
 場合によっては適当にやったと勘違いされ不興をこうむることもあります。
 激務の部署なら疲れているから・・大目に見られるかもしれませんが、そうでなければ周りの目は口には出さなくても厳しいものです。

 課室内の軽い文書ならともかく、外に出す文書や説明資料などはコンピュータの画面上で目で確認するのではなく、打ち出して、紙でマーカー等で一つ一つチェックし、きちんと確認した方が良いと思います。

 同様に、日程等ロジについても、確認するのに越したことはありません。
 どんなに立派な講演原稿を用意しても、大臣が講演会場に着かなければ何の意味もないからです、

 これらの「確認を丁寧にやる」という作業は、一見生産的ではないように見えますが、実は非常に重要な作業だと思います。
 えてして失敗するときは確認を怠ったときだと思います。


3)健康を大切にするのは大事なことです

 忙しく頑張っているうちは気付かないのですが、見えない疲れというものはたまっているもので、気を抜いた瞬間に襲ってきます。
 ですから、忙しい人などはお盆休みや正月などに家で風邪を引くなども良くあるようです。

 私自身、体がそれほど強くないこともあり、また健康管理面では優等生ではなかったので、知らず知らずのうちに体が弱っているのか、お盆や正月などは毎年のように風邪を引いてしまい、苦い思いをしています。

 忙しいと、肉体の疲れ回復より精神の疲れ回復を優先してしまうのは仕方のないことです。
 ただ、たこ部屋等の疲れは、一段落したり、長期休暇に入ったときなど、「気が抜けるとき」に一気に来るものです。
 そういうときは無理をせず、体の言うことを聞いた方が良いと思います。
 おおむね30歳を超えると、蓄積疲労はなかなかとれないと実感します。
 激務はいつ回ってくるか分かりません。

 個人的にはもっと体を鍛えておけば良かったと思いました。
 今となっては後の祭りなのですが・・。


4)一生懸命やれば見ている人はいると思います

 仕事というのはなかなか完璧にはできないものです。
 しかし、手を抜いていて失敗したのか、一生懸命やって失敗したのかで相手の印象の差は大きいです。

 うまく書けませんが、周りは見ていないようでしっかりと見ているものです。

 一生懸命やって失敗してパニックになっても周りが助けてくれたりします。しかし、そうでない場合は結構冷たいものなのです。

 適当にやっている人には周りも親身にならずに適当に接するものです。


5)マニュアルを読むと仕事の能率が上がると思います

 パソコンやファックスなど電子機器などもそうですが、「○○の手引き」や省内の手続き関係の事務要覧など、マニュアルは多いものです。

 当初は引継資料を見るだけで精一杯でしょうが、いずれ余裕が出てきたら、そういったマニュアルを読むというのは非常に重要なことです(もちろん、全く関係のない部分まで読む必要はないでしょうが)。

 私もこの年になっても「なるほど、こういう理屈か」「おお、こうすればよいのか」としょっちゅう目から鱗を落としています(情けないことに)。
 しかし、年を取る毎にだんだん面倒になってきている事実は否めません。

 ですから、吸収の良い若いうちになるべくこういうマニュアルを読んで、基本から理解しておくことを是非おすすめします。

 マニュアルを読むのは「面倒」ですが、急がば回れで、結果的に応用が利くために仕事がやりやすくなる場面も多々あるものです。


6)低きに流れないとあとで報われる・・と思います

 よく「水は低きに流れる」と言います。
  
 実際、自分が厳しく教育されていて、他の課の同期などがそれほどでもない場合、「何で俺ばっかり」という気分になるものです。

 しかし、実際は本当にレベルの低い同期は極めて限られ(あるいは存在せず)、多くは歯を食いしばってやっているか、多少甘やかされているかのいずれかです。

 新人時代に甘やかされると言うことは、スポーツの新人選手の例を見るまでもなく、本人にとっては楽でしょうが結果的にはよいことではありません。

 ですから、そういう思いは飲み会の場などで発散したり、訴えてみたりするものとして、なるべく頑張ってみてください。
 私も生意気な新人だったので、良く愚痴をこぼしたり文句言ったりしてして、先輩に注意されたものです。

 数年後きっと良い結果を生むと考えて、役所用語で言うと「鍛えられて」みてください(もちろん、厳しすぎる場合は自主的にゆるめる方が精神的にも肉体的にも良いでしょうが)。 


7)「下手なサッカー」になってはいけないと思います

 よく使う比喩で「下手なサッカー」があります。

 下手なサッカーはみんながボールに集まるものです。

 これを仕事に置き換えてみますと、みんなが目立つことばかりやろうとしていては仕事が成り立たないということです。

 仕事というのは各人がそれぞれの仕事をきちっとやってこそ成り立つものです。
 コピー取りが雑用とか、逆に例えば法律の案文書いている奴が花形とかそういうものではありません。
 まあ、確かにに目立つという観点では法律の案文を書いている人の方が目立つでしょう。しかしそんなものはいずれ順番は回ってきます。

 そして、サッカーでも「俺が俺が」の人にボールがこなくなるのと同じで、仕事をやり遂げるという第一目標を忘れてスタンドプレーに走る人間はどうしようもない、となってしまうものです。
 それぞれの持ち分をきちっと(できる限り)こなすことが一人一人に求められていることだからです。

 また、サッカーでも強いチームは、ボールを持った人が敵に囲まれたらすぐフォローの選手が近寄ります。

 同様に多忙な人をすぐフォローできるような人こそ重宝されるものだと思います。

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