※※※ はじめに ※※※

わが家の長男、剛は先天性腎性尿崩症でしたが、左手首骨折の手術が原因で平成9年6月3日にこの世を去りました。15歳、高校1年生の初夏の出来事でした。

  • 骨折手術の際の全身麻酔から意識が戻らず、水分補給不足から脱水状態に陥り、体内電解質のバランスがくずれ、そのことによって脳に送り込まれる酸素が不足したために脳幹が死滅し、いわゆる『脳死』状態となり、骨折事故の5日後に死亡しました。

  • 病院に対しては、本人が腎性尿崩症のため、水分不足になることが一番危険だということを事前に伝えていましたので、麻酔後処置として大量の点滴注入で補給を試みましたが、それでも排出される尿量に追いつかず、結果として脱水症状を避けることができませんでした。

  • 腎性尿崩症という病気の特徴は、多飲・多尿であり、普段の生活の中では水分の摂取さえ充分になされていれば命に別状は無いと考えられています。しかし、この病気には今回の「剛」の例のように、意識を喪失することにより自力で水分を摂ることができない状態になった時には即、死に直結するという非常に大きな危険が隠されていることも事実なのです。

  • 骨折事故から死に至った詳しい経過、『剛の最期の5日間の記録』をお読み下さい。

次男の洋輔(現在15歳)も亡くなった兄と同様、先天性腎性尿崩症です。

  • 洋輔は現在、大阪府立桜宮高校の1年生で、野球部に入部し毎日の厳しい練習に耐えて元気に頑張っています。

  • 兄の剛の事があるだけに、練習中に脱水を起こすことや大きなケガをすることが一番心配なのですが、今のところ学校の先生や野球部の監督さんのご理解とご協力を得て何とか本人の好きな道を歩ませてやることができていますが、今後の事を考えると不安は尽きません。

腎性尿崩症の患者は全国でも極めて数が少ないだけに、この病気に関する情報や患者の方の生活ぶり、対処方法などをお互いに知り合う機会も少ないというのが実情です。

腎性尿崩症でお悩みの方、あるいはご家族に患者を抱えておられる方、またこの病気について何らかの情報をお持ちの方、どなたでも結構ですので一度ご連絡下さい。できれば、腎性尿崩症という病気に関しての情報ネットワークのようなものができればすばらしいと思っています。

▼次男の洋輔(現在15歳)▼

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