クランクはパワーブロックで発生したエネルギーを回転運動に変換する部分であり、大きな荷重と荷重変動にさらされる。また、発生したエネルギーを効率良く回転運動に変換するためには摩擦抵抗を極力低減する必要がある。さらに2ストロークエンジンのクランクケースは一次圧縮室としての機能を持つため、高い気密性が必要となる。そのためクランクケースの分解・組み立てに関しては
      1.接触面の状態
      2.ベアリングなどの収まり
      3.トルク管理
の三点を最適な状態にすることが重要になる。
つまりケースの合わせ面がガタガタなまま、クランクを曲がって入れて、テキトーなトルクで締めれば最低のエンジンが出来るわけだ。
実際にクランク回りは組む人の技術の差が歴然とパワーや耐久性の差となって表れる部分。

ありがたいことにガンマはくランク室が独立しているため、エンジンを搭載したままでもクランクケースを割ることができる。これだけ作業性の良い市販車も珍しい。(っても、降ろして作業したほうが良いに決まってる)

クランクをバラすなら、エンジンを下ろす前にローターを抜いておく。
さらにミッションをバラスなら、ドライブスプロケットを外しておく。
ここではインパクトレンチを使用しているが、「エアツールなんか持ってねぇよ!」という人はローターホールディングツールを使用して同様の作業を行うことができる。ドライブスプロケットは、ギヤを入れて、ハンマーの柄などで後輪の回り止めをしてから、スプロケットのナットを外せば良い。

エンジンを降ろして馴染みのバイク屋まで運んでエアツールを借りるという手もある。
ナットが取れても、特殊工具のローター抜きが無いと絶対にローターは外れない。
まず、太いほうのネジをローターのネジ穴にシッカリとねじ込み(逆ネジに注意)ローター抜きのボルトをねじ込む(時計回り)。
写真の様にボルトだけを締めても当然ローターが回るだけ。矢印のところにもメガネをかけるて押さえる。
指の上にのっている鉄片がウッドラフキー。これが矢印のスリットに入って、ローターの回り止めをしている。
エンジンが回っている時にこれが抜けたら点火時期が狂ってエンジンはパァ。無くさない様に外してローター内側の磁石にくっつけておく。
キーが抜けないからと言ってハンマーやタガネで叩き出してはイケナイ。

写真ではステータ(茶色い奴)まで外してしまっているが、エンジンを降ろす前にここまでやる必要は無い。ローターだけ抜いておけば良い。
シリンダーは既に外れて、エンジンも降りているものとして見てくれ(^^:
ローター回りを外し、ロータリーディスクバルブのアウターカバーを外すとこうなる。BにでかいOリングが入っているので、再利用するときは傷とヘタリをチェック。初めて開けるなら新品交換を薦める。どっちにしても組みつけの時はシリコングリスを塗ってやる。このOリングは結構収まりが悪いので要注意。
組みつけの時はAのディスクの切り欠きとA´のシャフトのポンチマークを合わせることを忘れずに。また、ディスクバルブの側面にRとLの刻印がある。右側を組むときはRが見える様に、左側(写真)はLが見えるように組むこと。裏返しに組むと・・・・・・・わかるね?

ローターホールディングツールで固定してトルクレンチで締めつける。ここの締めつけトルクは12〜14kg/mとかなり高い。締めつけが足りないと抜けるぞ!
続く


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