ア行の解説


ROE(自己資本利益率/株主資本利益率)



企業の自己資本に対する税引後利益の割合で、ROE(Rate of Return On Equity)とも呼ばれる。
70年代後半、アメリカでは株主構成に機関投資家が増加し、これらの投資家が「投下した資本に対し、
企業がどれだけの利潤を上げられるのか」という点を重視したことも背景となって、最も重要視される財務指標となった。
企業は、株主資本(自己資本)と他人資本(負債)を投下して事業を行い、そこから得られた収益の中から、
他人資本には利子を支払い、税金を差し引いて最後に残った税引利益が株主に帰属する。
したがって、自己資本利益率は、株主の持分に対する投資収益率を表すことになる。
経営者が株主に対して果たすべき責務を表した指標と見ることができる。
また、それは株主に帰属する配当可能利益の源泉となるものであり、配当能力を測定する指標として使われる。
自己資本収益率は株式の投 資尺度としても重要である。



ROA(総資本利益率/総資産利益率)

ROA(総資本利益率/総資産利益率) 利益を総資本(総資産)で除した、総合的な収益性の財務指標である。
企業に投下された総資本(総資産)が、利益獲得のために どれほど効率的に利用されているかを表す。
分子の利益は、営業利益、経常利益、当期純利益などが使われ、
総資本(総資産) 営業利益率、総資本(総資産)経常利益率、総資本(総資産)純利益率、とそれぞれ定義される。
総資本(総資産)利益率 =売上高利益率(利益/売上高) ×総資本(総資産)回転率(売上高/総資本)と表現できる。
したがって、総資本(総資産)利益率を高めることは、利益率 の改善(費用・コストの削減)
又は回転率の上昇(売上高の増加)によって実現される。
実際の会計では、総資本を総資 産として把握することが多い。アメリカでは、企業の収益性を判定するのに
総資産利益率(収益率)=ROA、ないしは、株 主資本利益率=ROEがよく用いられる。



アーニングサプライズ


企業が、新技術情報や新商品情報、 業務提携や決算予想などの経営情報を発表すると、
株価は通常なんらかの反応をする。その情報が、特にこれまで市場では認識されていない情報であれば、
株価は大きく反応する。このように、予想されていなかった情報に対する株価の反応を、「アーニングサプライズ」という。




アクティブ運用


アクティブ運用(積極運用)は、 市場インデックス(日経平均株価やTOPIXなど)の上昇率より高い運用成果を目指すものであり、
いわば、「市場に勝つ」ことを目標にしている。 そのため、優れた情報収集力と情報分析力を必要とするが、
常に「市場に勝ち」続けることは極めて困難である。(反意語:パッシブ運用)



アセット・アロケーション



アセット・アロケーションとは、リスクを回避しつつ安定したリターンを獲得することを目的に、
各種の資産をどのような割合で投資すべきかを決定 する「資産配分」を意味する。
日本古来の「財産三分法」もその一種である。 アセット・アロケーションに当たっては、投資環境等資本市場の状況、
各 資産の期待リターン、リスク、資産間の相関の予測、分析などの投資対象に関する情報と、
投資家の資産、負債、及びリスクなどの投資家に関する情報 の双方が重要である。
今後、日本では、リスクとリターンを重視した投資ス タイルを確立し、運用対象の多様化を図っていく必要性が増すと考えられる。



アンダーライター




日本国内でこの語を用いる場合は引受シンジケート団又はその構成員を指し、
有価証券の発行者若しくは所有者から当該有価証券の
全部若しくは一部を売出しの目的をもって取得する者又は有価 証券の募集若しくは売出しに際して
当該有価証券の全部若しくは 一部につき他にこれを取得する者がない場合にその残部を発行者若しくは所有者から
取得する契約をする者を意味する(証券取引 法第2条第6項、第21条第4項)。
発行される又は売出される有価証券を広く投資家に取得させると 共に売れ残れば、アンダーライター自らが
当該有価証券を保有す ることになるため、発行者又は売出人の資金調達を確実ならしめることもアンダーライターの
大きな役割である。
なお、証券取引 法第28条第2項第3号の免許を受けた証券会社でなければ、アンダーライター業務は営めない。
海外でこの語を用いる場合は、広義では引受けを行う者の総称で あるが、
狭義では幹事団の下にあって引受けを行う者(Sub-unde rwriter)を意味する。
幹事団に対して発行される証券の引受責任 を有し、その見返りに引受責任額に応じて手数料を受領する。
か つては引受リスク分散のためにSub-underwriterを設置していたこ とも多かったが、
近年は幹事団=アンダーライターとなっている ケースがほとんどである。



アノマリー



市場の変則性のこと。日常生活でも、「なかなか理屈通りには進まなくて」という物事が多い。
株式投資でも各種の理論があるが、 なかなか理論通りには株式市場は動いてくれない。
その一方で、各種の経験則(新年には干支に関する銘柄が話題になり、 株価が動意を示したり、
12月には、もちつき相場として株高が期待されている)は、 とても理論とは言えないが、
現実の投資を考えた場合には、高いリターンをもたらしたこともある。 その気になって見れば、それらしい様相も認められないわけではない。


イールドレシオ


長期金利を株式益利回りで割って求められる(イールドレシオとイールドスプレッド)


イールドスプレッド

長期金利から株式益利回りを引いて求められる(イールドレシオとイールドスプレッド)

板(いた)
 


取引所では、才取会員が正会員からの売買注文を記録する、銘柄別の注文控のことを「板」と呼んでいます。
現在ではコンピュータの導入により、売買注文は、立会場の取引ポストカウンター上のVD画面に表示されます。
才取会員は、注文を書きとめることはせず、正会員から口頭で発注された注文について、手元の注文入力装置を使い、
「板」に記録する方法をとっています。
 なお、入力された注文はコンピュータにより売り買い別、値段別に整理・記録され、「板」画面上に表示されます。




委託保証金(いたくほしょうきん)
 

信用取引による売買が成立した時、顧客が、売買約定日の翌々日の正午までに、証券会社に差し入れなければならない担保のことをいいます。委託保証金の額は、約定価額の30%以上で、その額が30万円に満たない場合は、30万円と定められています。なお、委託保証金は、有価証券をもって、代用することができます。



板寄せ方式(いたよせほうしき)
 

板寄せ方式とは、売買立会の始めの約定値段(始値)や売買立会終了時における約定値段等を決定する場合に行われる売買契約締結の方法のことをいいます。この方式は、約定値段決定前の呼値(注文)をすべて注文控え(板)に記載した上で価格的に優先順位の高いものから順次対当させながら(価格優先原則)、数量的に合致する値段を求め、その値段を単一の約定値段として売買契約を締結させる方法です



インサイダー取引



投資判断に影響を及ぼすような、会社の未公開の情報を、ある一定の立場ゆえに知るに知るに至った者が、
その情報に基づいて、その情報を知り得ない者と、その会社の発行する株式等の証券の取引を行なうこと。
証券取引法第166条で、会社関係者は、上場会社等の業務等に関する重要事実を知った場合は、
その重要事実が公表された後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等の売買
その他の有償の譲渡または譲受をしてはならないとしている。
これに違反した場合は、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
会社関係者には、当該上場会社等の役職員、帳簿閲覧件を有する株主、法令に基づく権限を有する者、
上場会社等との契約締結者などが含まれる。
なお、会社関係者から業務等に関する重要事実の伝達を受けた者、
すなはち第1次情報受領者も、その業務等に関する重要事実が公表された後でなければ、
その上場会社等の株式、転換社債など特定有価証券等の売買をしてはならないことになっている。
重要事実には、新株発行など会社が決定する事実、災害による損害など会社に発生する事実
、売上高の変化など決算に係る事実が含まれる。
公表とは、一般紙、通信社、放送局など2以上のマスコミに対して情報を
公開後12時間以上経過したことをいう。




インセンティブ・ストック・オプション

役員、従業員の報酬または賞与として与えられる、株式を一定の価格で買える権利。
米国では、役員、幹部社員の報酬として広く利用されている。現金報酬と違い、権利を貰った後に
株式が値上りしたときに権利を行使する事で初めて報酬としての手取りが発生する。
株式のパフォーマンスと報酬をリンクさせる事ができるので、役員と株主の利害の調整が可能になる。
日本においては、商法の自己株式取得の原則禁止等の制約で、
報酬制度として導入している企業はほとんどなかったが、年功序列、終身雇用の見直しなど、
労働環境の変化を背景に、日本型のストックオプション導入を検討している企業が出はじめている。
具体的な動きとしては、通産省が新規事業法で認定した企業を対象に
ストックオプションを導入できるように法律環境の整備を行なった。
またワラントを使い、ソニーとミスミが役員向けにストックオプションと同様の報酬体系を導入した。


受渡適格銘柄(うけわたしてきかくめいがら)


最終決済が現物の受渡しによって行われる先物取引において、受渡において引き渡すことのできる銘柄をいいます。
 国債先物取引における受渡適格銘柄は、中期国債先物取引では受渡期日において残存期間が3年以上5年以下である利付国債、長期国債先物取引では受渡期日において残存期間が7年以上11年未満である上場国債、超長期国債先物取引では受渡期日において残存期間が15年以上21年未満である上場国債です。



売残高(うりざんだか)
 

信用取引で株式の売付けを行った顧客は、証券会社から借りた売付け株券を所定の期限(3ヶ月又は6ヶ月)までに返済しなければなりませんが、まだ返済されていない売付け株券の量を信用取引の売残高といいます。


追証(おいしょう)
 

顧客の思惑に反し、信用買いを行った銘柄の株価が下落し、また、信用売りの株価が上昇して計算上の損失が生じた場合、顧客は証券会社から追加の保証金を徴求される場合があります。これを通常、追証と呼びます。追証の差入れは、当初に差し入れた委託保証金から相場の変動による損失額等を差し引いた額が約定値段の20%(委託保証金維持率)を割った場合に、その生じた日の翌々日の正午までに20%を回復するように差し入れなければなりません。

大型株(おおがたかぶ)
 

TOPIX(東証株価指数)を補完する「規模別株価指数」の算出において、東京証券取引所の市場第一部上場銘柄のうち、上場株式数2億株以上を「大型株」、6千万株以上2億株未満を「中型株」、 6千万株未満を「小型株」と呼び、これらの分類に基づいて株価指数を算出しています。なお、規模別の分類は、上場会社ごとに定款で定められた1単位の株式数が異なるため、単位株数換算後(上場株式数×1,000株/1単位の株式数)の株式数で行っています。単位株制度非適用会社については、1株を「1単位の株式数」とみなして計算しています。

オプション取引(−とりひき)
 

オプション取引とは、基礎商品を、将来の一定期日までに、特定の価格(権利行使価格)で、売付け・買付けする権利(オプション)の取引をいいます。権利の対価(プレミアム)は、市場の需給によって変動しますので、この変動を利用し、転売または買戻しを行うことにより、その差額を得ることもできます。