マ行の解説


目論見書



目論見書とは、有価証券の募集あるいは売出にあたって、その取 得の申込を勧誘する際等に投資家に交付する文書で、当該有価証券の発行者や発行する有価証券などの内容を説明したものをいう。大蔵大臣への届出を要する起債の場合には、発行者は必ず目論見書を作成することが義務づけられている(証券取引法第13条)。
目論見書を交付する目的は、投資家の投資判断の基準となる情報を提供することにある。
一般に、目論見書には、発行者名、事業内容、資本構成、財務諸表、手取金の使途などの発行者に関する情報、発行総額、発行価格、利率、払込日、満期日などの発行する有価証券に関する情報、および引受人名、引受額、手数料などの引受に関する情報が記載されている。
届出の効力が発生する前に目論見書を使用して有価証券の取得の申込を勧誘する場合には、内容が未確定の旨を表示して、仮目論見書を交付する。なお、投資判断の基礎資料となる目論見書の重要な事項について虚偽の表示がある、又は重要な事実の表示が欠けているときは、発行者及び当該目論見書を使用して有価証券を取得させた者は、当該有価証券の募集又は売出に応じて当該有価証券を取得した者に対し、損害賠償責任を負う(証券取引法第17条、第18条)。

ただし、目論見書の使用者が、相当な注意を用いたにもかかわらず、誤りを知ることができなかったことを証明したときはその限りではない。




持株会社



広い意味では一般に株式を所有することにより、他の会社の事業 活動を支配・管理する会社のことをいう。
独占禁止法9条によって、持株会社は設立してはならないし、既存の会社が日本国内で持株会社となることは禁止されている。

同条で持株会社とは、株式を所有することによって日本国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社のことと定義されている。(独占禁止法9条で禁止されている持株会社を特に純粋持株会社という)

「支配する」とは、株式を50%超保有する場合、25%超50%以下の保有だが役員の派遣の状況等から支配していないことが
明白ではない場合、10%超25%以下で支配していることが明白な場合のことをいう。

「主たる」とは、こういった「支配」をしている会社の株式の総資産に占める割合が50%を超える場合
または「支配」している会社の株式の総資産に占める割合が25%超50%以下でかつ他に主たる事業のない場合のことをいう。
従って、他の会社の事業活動を支配していても他に本業を有する場合は独占禁止法9条の規制の対象とならないこともある。
(現にほとんどの事業会社は事業を支配している子会社を保有している。)

また、公開企業の創業者はしばしば相続対策等の観点から資産管理会社を保有しているが、
評価額の引下げという目的以外に独占禁止法違反とならないよう何らかの事業、
例えば不動産賃貸業や航空機賃貸事業を行ったりしている。

純粋持株会社を禁止しているのは日本と韓国だけであり、昨年来の規制緩和の流れの一環としてそもそも禁止することの理論的根拠が希薄であるという意見もあり解禁論議が高まった。

1995 年12月に公正取引委員会は一定の場合には純粋持株会社を認めるという方向の中間報告を出し、「原則解禁」か「原則禁止+一部緩和」が議論されている。
ただ、独占禁止法9条が改正され、純粋持株会社が認められた場合でも、商法・税法・証券取引法など関連諸法令の見直しが必須であり、今後現実のものとなるまで相当の紆余曲折が予想される。