サ行の解説


最終清算指数(S.Q.)(さいしゅうせいさんしすう)
 

取引最終日までに転売又は買戻しが行われなかった建玉については、最終決済期日において、最終決済が行われます。最終決済とはいっても、取引の対象がTOPIXという統計数値ですから現物の受渡しが行われるわけではなく、最終清算指数に基づいて差金決済されることになります。この最終清算指数として、取引最終日の翌日におけるTOPIX各構成銘柄の始値に基づいて算出された「特別清算指数(S.Q.)」が用いられています。当初、最終清算指数は、取引最終日の大引けの現物指数を採用していましたが、当該取引最終日の立会終了間際に株価指数先物取引と株式現物市場間の裁定取引に係るポジション解消のための注文が現物市場に集中して発注され、取引最終日における株価の乱高下の要因となっていたことから、平成元年9月限月取引の最終清算指数の算定から特別清算指数(S.Q.)を採用しています。


裁定取引



価格変動において同一性格を持つ、2つの商品の間で、割安な方を買い、割高な方を売ることにより、リスクなしに収益を確定させる取引のことをいう。割高・割安が解消された場合に、反対売買を行なえば実際に収益化する。この場合問題なのは、2つの商品間の価格の関係であり、上昇・下落は関係ない。さや取りともいう。現在、裁定取引が活発に行われているのは、証券の現物市場と派生商品との間、あるいは、派生市場間である。日経225と日経225先物指数との裁定取引を例にとってみよう。日経225先物指数は、 1.現物の日経225の価格 2.先物取引満期日までの短期利子率 3.配当利回り 4.先物取引満期日までの日数 により、理論価格が算出される。 日経225先物をリスクを取って買いたいという投資家が増えれば、日経225先物の価格が現物の日経225から算出される理論価格よりも高くなる。この場合に、先物を売ると同時に、先物の金額に対応する225銘柄の現物株バスケットを買うことにより、先物と現物の間のさや取りが確定する。3ケ月に一度のSQ(特別清算日)により、あるいは、先物が売られ先物価格が割安になった場合に反対売買を行なうことにより、実際に収益化する。先物と現物との間の裁定取引のほかに、同一の先物で異なる限月の間での裁定取引である限月間スプレッドや、異なる先物市場間(たとえば、大証とSIMEX)での裁定取引である市場間スプレッドといった取引手法がある。また、派生商品の種類として、株価指数先物だけではなく、株価指数オプション、個別株オプション、債券先物指数、債券先物オプション、金利先物等がある。

務諸表(ざいむしょひょう)
 
有価証券届出書や有価証券報告書に記載される財務計算に関する書類のうち、貸借対照表、損益計算書、利益処分計算書または損失処理計算書および附属明細表を「財務諸表」といい、財務諸表は「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(財務諸表等規則)に則って作成されることが必要とされています。また、半期報告書に記載されるものを中間財務諸表、企業集団に関する財務情報を提供するものを連結財務諸表といいます。



先物取引



ある特定の対象商品をあらかじめ決められた受渡日に、現時点で 取り決めた約定価格で取引することを約束する契約であり、将来の一定の期日まで、受渡と代金の支払いが猶予されるもの。さらに、受渡し期日までに反対売買(売り方は買い戻し、買い方は転売)すれば、当初の契約価格と反対売買価格との差金の授受によっても決済できる取引をいう。狭義には、このうち商品の種類、売買単位、受渡期日(限月)等の諸条件が定型化され、契約の履行を保証する証拠金の差入れを行なえば取引参加がた可能であり、組織化された取引所(商品取引所、証券取引所等)で集中して取引されているものをいう。取引所取引でない相対取引での先物契約は先渡契約といわれる。日本においては、江戸時代中期の大坂堂島での帳合米取引と呼ばれる世界最古の整備された先渡契約を別にして、近年では、1985年の東証での長期国債先物取引は先物取引の最初。その後、87年に株先50(大証)、88年に超長期国債先物(東証)、日経平均株価先物(大証)、89年にユーロ円金利先物(東京金融先物取引所)などの取引が次々に開始された。



さむらい債円建外債



一般にサムライ債と呼ばれる債券であり、非居住者により日本国内市場で募集(公募)・発行され、発行時に日本円で払い込まれるものをいう。リバース・デュアル債(利払いが外貨,償還が円)や順デュアル債(利払いが円,償還が外貨)の形式をとったサムライ債も発行されており、利金や償還金については必ずしも両方とも円である必要はない。1995年の総発行額は1兆6565億円、総発行本数は73本にのぼる。1996年1月1日より適債基準が撤廃され、原則として発行体のクレジットに関らず発行出来ることとなった。今後は投資適格以下の格付の銘柄の発行も予想されている。歴史的には、国際収支の黒字幅拡大や外貨準備の急増を背景に、1970年にアジア開発銀行が野村證券主幹事で発行した60億円のものが第一号であり、これが東京資本市場の国際化の端緒になったと言える。当初は国際機関又は国,州,公的機関のストレートボンドのみだったが、次第に発行体、商品共に多様化されていった。最初の民間企業銘柄は1979年のシアーズ債(主幹事は野村證券)である。1989年には最初のリバース・デュアル債がデンマーク王国により発行され、1991年には変動利 付債(米州開銀)と転換社債(グラクソ)も登場した(全て主幹事は野村證券)。我が国の債券市場に共通する流通市場の問題(社債登録制度・流動性の低さ等)はあるものの、金利動向に合わせて、発行体・投資家双方のニーズに合った商品を提供しうる市場として成長していると言うことができよう。サムライ債は国内債であるために、日本法を準拠法とする。また、証券取引法に則った開示書類を作成し、原則として債券の管理会社を設置する。


時価総額(じかそうがく)

 
上場株式の時価総額(以下、単に「時価総額」といいます)は、上場株式をある時点の株価で評価した場合、どのくらいの金額になっているかを表したものです。個々の上場銘柄についてみれば、株式市場が株価を通じて評価したその企業の株主持分の時価価値の総額であり、全部の上場銘柄を集約したものは、株式市場の規模を表すものといえます。
 各銘柄の時価総額は、各銘柄の株価にその上場株式数を乗じたもので、市場全体の時価総額は、各銘柄の時価総額を合計して求められます。


時価発行(増資)



新株式の発行にあたって、発行価格を額面金額とせず、市場価格 (時価)に近い価格で発行することを時価発行(増資)という。これを公募で行う場合は、発行価格は、価格決定から払込までの間に起こりうる株価変動などを考慮し、一定の日の時価を基準としてある程度のディスカウントを行って決定している。このディスカウント率は、投資家の需要動向等を勘案して決定されるのが通例である。時価発行増資を行うに際しては、発行毎に発行条件をすべて均等にし(商法第280条の3)、発行価格が既存株主にとって著しく不公正にならないようにする必要がある(商法第280条の11)。株主以外の者に対し、特に有利なる発行価格をもって有価証券を発行する場合は、株主総会でその理由を開示して特別決議を経ることが必要である(商法第280条の2および第280条の10)。 時価発行増資を行うことにより、投資家層を拡大して証券を分散し、市場での流動性を高めることが可能となる。公開会社の時価発行増資は1969年に始まり、1980年代後半には大量に行われたが、株式市場の低迷により、1990年4月以降、事実上停止状態に陥った。しかしその後、株主への利益還元、証券会社の引受審査、ディスクロージャーなどの面で種々の環境整備がなされ、1994年から再開されるに至っている。



自己株式の取得



自己株式の取得とは、株式会社が発行している株式をその会社自 身が取得することをいう。従って、新聞報道等に見られる「自社株取得」という表現は不正確である。(会社の役員・従業員が自分の勤務する会社の株を取得するような場合に「自社株取得」と言うべき。)株式会社は株式を発行して資本を調達するが、自己の株式を取得するということは調達した資本を外部に流出させるということになる。そのため、商法は「資本充実の原則」という観点から株式会社が自己の株式を取得することについては限定された例外的な場合を除き、原則禁止としている。(主な例外:合併によって自己の株式を保有することとなる場合、買取り請求が行われた場合、減資・設立時からの定款の定めによる配当可能利益の範囲内での株式の消却をする場合等)平成6年の商法改正によって、従来の例外の場合に加えて公開会社の場合、次の2つのケースが追加されることとなった。 1.定時株主総会の決議によって使用人に譲渡する為に取得する場合(取得後6ヶ月以内に譲渡する必要がある。) 2.定時株主総会の決議によって買入消却を行う場合いずれのケースにおいても、自己株式の取得に要する金額は、配当可能利益の範囲内である必要がある。また、1.のケースでは、発行済株式総数の3%が取得できる株式数の限度となっている。このように、自己株式の取得は緩和されたとは言っても、金庫株(会社が自己株を消却せずに保有しておくこと)の保有が禁止されていることや、会社が取得後6ヶ月以内に使用人に譲渡しなければならないこと等から米国型のストック・オプション・プランはまだ導入することはできない。自己株式の買入消却の効果・影響としては主に下記のようなことが言われている。@資本効率の向上が期待できる。A経営者の自社の将来の業績に関する自信を表明することとなる。B需給関係に好影響を与える可能性がある。


システム銘柄(─めいがら)
 

東京証券取引所における株券や債券の売買取引は、売買立会場において行われる売買取引と、売買システムで行われる売買取引があります。
 「システム銘柄」とは、売買取引が売買システムで行われる銘柄のことをいいます。東京証券取引所では、株券については、市場第一部銘柄のうち売買高の多い150銘柄をのぞいて、また、債券については、原則として上場額面総額上位50銘柄をのぞく転換社債の全銘柄と新株引受権付社債、新株引受権証券がシステム銘柄となっています。この売買システムでは、会員証券会社は、その本店に設置された端末装置で売買注文の発注、売買結果の受信、注文状況・売買状況の問い合わせなどの業務を行います。才取会員は、東京証券取引所の株券及び債券システム売買室に設置してある才取会員用の端末装置に表示される注文状況を見て、売買注文の付け合わせ指示などの業務を行っています。また東京証券取引所の職員による売買監理も、それぞれのシステム売買室に設置してある売買監理用端末装置で行われています。



ジャンク・ボンド(Junk Bond)



債権回収の可能性が低いとされる債券。一般的には、格付がスタンダードプアーズ社、ムーディー社の格付でダブルBないしそれ以下のものとされる低格付債券をいう。ジャンクとは、がらくたの意味である。





シーズン・ストック



シーズン・ストックは、季節の要因によって、企業業績が大きな影響を受ける株式のことで、株価もそれに応じて変動する。実際には商品の最盛期の前に株価が上昇し、最盛期には株価が下落するケースが多く見受けられる。なお、季節商品と言われるものは多種類あるが、やはり夏場商品が中心で、清涼飲料水、ビール、アイスクリーム、エアコンなどが主なものである。

信用残高

信用残高として新聞に発表されるものとして、「日証金残高」と「東証残高」等があります。前者は日証金が発表する日々の信用取引の申込状況を発表するのに対して、後者は東京証券取引所が発表する残高で、これには証券会社が行っている自己融資分も含まれている。しかし集計作業が大変なため一般銘柄は週一回、規制銘柄等は毎日発表となっている。


信用取引


信用取引を利用して株式の売買を行う場合。まず一般的には買いを行う人が圧倒的に多い。この場合お金を借りて株を買うわけだから、金利を取られます。期間は買った日から約半年(休日の場合ずれる)。無担保でお金を貸してはくれませんので、保証金を入れなければなりません。
売りを行う場合は株券を借りて売却、買い戻して返すという仕組みです。売りの場合は逆に金利を受け取ることが出来ますが、買いの支払い金利よりも低い金利になります。
仕手株や品薄株を空売りした場合に、 逆日歩が付くこともある。株券の貸借や金銭の貸付は、日証金を通じて決済されるが、一般投資家は証券会社に申込めば自動的に手続きがされる。




信用リスク



債券は「借用証書」のため、お金を貸した先がきちんと約束を守って、元本や利息を支払うかどうかが問題である。この「信用」に関するリスクを「信用リスク=債務不履行リスク」という。また、債券はいつでも売買されており、第三者にも流通していくため、第三者にもその発行体の信用度を判断できる指標が必要になってくる。この信用リスクを判断する尺度として、一般に民間の格付機関が評価する「格付け」が利用されている。この「格付け」は、信用度の高いものからAaa(トリプルA)、B(シングルB)などの記号で表わされている。 (「格付け」は絶対的なものではなく、途中で変更される場合もある。)




整理ポスト



取引所は上場廃止が決定された会社の有価証券について、その事実を一般投資者に周知徹底させるために、専用の取引ポストを設置して売買取引を行わせる。この取引ポストのことを整理ポストという。具体的には、たとえば東証の場合、有価証券上場規程第6章16条をうけて、株券上場廃止基準、株券上場廃止基準の取扱いおよび取引ポストに関する規則を定めている。この株券上場廃止基準に該当した会社の有価証券について、上場廃止の手続が行なわれるが、これは証券取引法の目的である一般投資者の保護の観点から、上場廃止が決定された旨の事実を一般投資者に周知徹底させ、無用の混乱を未然に防止するため措置である。また、整理ポストへの割当期間は、普通株式の場合、原則として3ヵ月となっているが、この期間の経過後も(社)日本証券業協会においては、以下のいずれかの条件を満たしたものについては、店頭管理銘柄として引き続き一般投資者に、株式流通の場を提供している。
1. 上場株式数、株式分布状況または無配継続・債務超過の諸基準により 上場を廃止されたもの。
2.上場会社が会社更生法その他により、会社の更生または整理が図られており、かつ、直近1ヵ月間の売買高が原則として10万株(額面金額が50円を超えるものについては1万株)以上であるもの。
3.上場会社が合併により、その株式が上場を廃止されたもので、日本証券業協会が必要と認めたもの。




セキュリタイゼーション(金融の証券化)



広義には資金調達や運用にあたり、証券形態での取引が多くなること。例えば、企業の資金調達が従来の借入れ主体から、社債発行などを中心とするようになる現象。狭義には、貸出債権を債券化するなどのように、債権・債務を有価証券の形にして市場で流通させること。アメリカでは「証券化できない債権はない」といわれるほどに定着している。例えば、大規模土地開発でなどでは膨大な資金がかかる上、投下した資金を回収するのに長い年月を必要とするが、有価証券の形で不特定多数の投資家から資金を集めれば、債権の流動化を図ることができるだけでなく、リスクの分散も可能。投資家からみれば、高利回りの金融商品に投資することができるわけで、双方にとってメリットが大きい。日本でもいずれこうした金融手法が重要性を増してくる可能性は高
い。


セクターローテーション



景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに、有望な業種別銘柄群に投資対象を切り替えていく投資戦略が、セクターローテーションである。景気の波を、谷底に達した時を出発点にして、拡大期→成熟期→後退期→停滞期とすると、それぞれの局面で高い投資成果を達成する産業群には、一定のパターンが見られる。実際の投資では、このパターンを認識した上で、産業内での企業間格差にも注目する必要がある。



損益分岐点分析



企業経営の採算性と不況抵抗力を計る 損益分岐点は、売上高と、その売上高を達成するために必要とした総費用とが合致し、利益も損失も生じない状況になった場合を指し、この場合の売上高を損益分岐点売上と言う。景気不況が長期化かつ深刻化したため、経営のリストラによって、損益分岐点売上の引き下げを図る企業が続出している。企業が努力して、実際の売上高が損益分岐点売上を超えれば、企業利益が発生する。損益分岐点売上が、実際の売上高に対して何%に相当するかを計算した比率を損益分岐点比率と言い、損益分岐点比率が低いほど不況抵抗力が強く安全である。企業の採算性を見る有効な指標である。