紙飛行機の飛ばし方
Wright flyer 1 (1903)


両腕を伸ばし指先に当たる空気の流れをイメージして下さい。 ライト兄弟も鳥の飛び方から操縦方法を学びました。
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飛行前のチェック
Check

完成した紙飛行機が、いつも設計図通りである保証はありません。 機体には、曲がり、ねじれといったクセがひそんでいます。 こうした構造的な欠陥があっては、空気力学的に良い性能は期待できません。

機体を正面と後から見て、以下の箇所を順番に確認して下さい。 曲がり、ねじれは、ゆっくりと逆方向に手で力を加え、 まっすぐ左右均等に整えます。

1. 機体の重心の位置
2. 胴体のゆがみ
3. 主翼の取り付け角度(上反角)、ねじれ(迎角)
4. 水平尾翼の取り付け角度、ねじれ
5. 垂直尾翼のゆがみ

テスト飛行
Throw Movement1

いよいよ初飛行です。完成した機体の空気力学的な特性が明らかになります。 まっすぐ前方へ、やや下向きに、腕全体を使い押し出すように、 そっと飛ばして下さい。

テスト飛行ですから、異常に悪い飛び方をして墜落するかもしれません。 堅い地面や壁に激突して機体が壊れないように、 テスト飛行の場所を慎重に選んで下さい。 室内で飛ばすなら、カーテンに向かって飛ばしましょう。

急激な上昇、下降、左右の旋回といった飛行が観察されれば、 まっすぐ飛ばす調整を機体に施します。 テスト飛行と機体の調整を繰り返し、 少しずつ飛行性能を引き出して下さい。

紙飛行機の操縦
Control1 Rise1

飛行機の主翼、尾翼には、風見のしくみによって 自動的にバランスをとる空気力学的な安定効果があります。 操縦とは、主翼、尾翼の安定効果を意図的に変化させ、 重心の前後左右で釣り合っていたバランスをくずすことです。

左右に方向を変えるには、主翼と垂直尾翼を操作します。 ローリングとヨーイングによって飛行機を旋回させるのです。

上下に方向を変えるには、水平尾翼を操作します。 ピッチングによって機首の上げ下げをコントロールします。

紙飛行機の操縦は、すべて主翼や水平尾翼の空気力学的な操作で行います。 天秤のように、おもりを前後左右に配分する方法は、 重量が増して飛行性能の低下につながるため、 軽さが大切な紙飛行機には不向きです。

まっすぐ飛ばすために
Control2 Movement2

はじめに、主翼や垂直尾翼が歪んでいないかを再確認して下さい。 左右均等に調整しても旋回を抑えられない場合は、 その旋回を打ち消すために、逆方向の旋回の操作を行ないます。

左旋回して右旋回を打ち消す操作には、以下の方法があります。

  • 左主翼の迎角を小さくする(左翼の揚力減少)
  • 右主翼の迎角を大きくする(右翼の揚力増加)
  • 垂直尾翼を左に曲げる(左へのヨーイング)

どれも左旋回を促す効果があります。 同時に全ての操作を施すと、クルクル鋭く左旋回しますが、 なるべく一つずつ操作を重ね、ゆっくり旋回させましょう。

右旋回させるには、これと逆の操作を行ないます。

水平に飛ばすために
Control3 Movement3

まず、主翼中央に重心の位置が合っていること、 水平尾翼がゆがんでいないことを再確認して下さい。 それでも急上昇、急降下が生じる時には、 それぞれ機首下げ、機首上げの操作を行ないます。

機首下げの操作で機体の急上昇を抑えるには、 水平尾翼の迎角を大きくし、尾翼の揚力を増やして下さい。 それでも急上昇を抑えられない場合のみ、機首におもりを追加して下さい。

機首上げの操作は、これと逆の操作を行ないます。 水平尾翼の迎角を小さくし、尾翼の揚力を小さくします。

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Hideyuki Kikuchi (gotha@ops.dti.ne.jp)