あとがき  〜『北海道ノート』完結にあたって〜

 旅行記が7本、雑文が1本。北海道に旅行する度にあれこれ書いていて、気づいたらこの文量である。書いているうちはまったく気にならないのだが、あとになってふりかえってみると、ずいぶんいろいろ書いたことに驚いてしまう。ホントに自分で書いたのか、疑わしい気までするのが不思議だ。

 好きで北海道に旅行して、好きなところを見た。その結果が、あまり一般ウケするところには行かない旅行記になってしまったのは、一読しておわかりいただけるだろう。そんな『北海道ノート』の“最終便”を今回にしようということは、旅行前から明確に意識していた。それは、北海道に飽きたからではない。以前にも書いたことだが、また何度でも北海道に行ってやろうとは思うし、いろいろ見てやろうとも思う。でも、旅行記は今回が最後。僕は今回の旅が、流氷やツルが見られない不完全燃焼の旅になったとしても、やはりこの旅行記で最後にしよう、と決めていたのだ。

 実は、旅行記の執筆に飽きる前にやめたかったのである。何度も旅行しているうちに、ふと“旅行記を書くのが苦痛になったらどうしよう”ということを考えたことがあった。幸いなことに、僕はこういった文章を書くのは嫌いではなく、むしろ楽しい作業である。旅行記の執筆を前提に旅をし、楽しさを反すうしながら旅行記を書く。その楽しさを実感しながら最後の旅行と旅行記執筆ができたら、と思っていたのだ。好きな旅行と、好きな旅行記執筆を億劫にしたくない。それが、今回の旅を“最終便”とした理由のすべてである。

 “最後の旅”は、紆余曲折はあったものの見たかったモノをすべて見ることができて、満足できた。「北斗星」にも乗った。「再訪」という目的は上々で、エゾシカまで姿を見せてくれた。これ以上ない成果が、今回の旅で挙げられたわけだ。もっと上を望んだら、バチが当たるというモノだ。旭川空港では予想外の思いが僕の中を駆け巡ったのだが、それを差し引いても、御満悦のうちに筆を置けるのは望外の喜びである。ただし、念のためにくり返すが、これでもう二度と北海道に行かないわけではない。それに、北海道以外に旅行すれば、また新たな『ノート』を開くことになるのだが。

 さて、今回の旅だけでなく、僕の北海道旅行記に常に登場した札幌・網走のTs君が、この春に仕事を退職され、網走から地元東京に戻ってきた。この旅行記の完結に合わせたわけではないのだが、僕の北海道旅行記と、彼の北海道での仕事が同時に終わったというのは、偶然の一致だろうか。ともかく、旅行の前中後を通し、ソフト・ハード両面からバックアップして下さったはぢめ師とまさき先生に心から感謝するとともに、今後も変わらぬ叱咤激励を失礼ながらお願いして、ファイルを閉じたいと思う。

2002/05/25

全『北海道ノート』・完

 

 

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