2006浙江天台山ノート
はじめに
(問)次の空欄に合う適切な語を入れよ。
平安時代に「A」は天台宗を開いた。総本山は「B」である。
中学校の社会科で習うようなちょっとした問題である。もちろんAには「最澄(伝教大師)」が、Bには「比叡山(延暦寺)」が入り、それぞれ「空海(弘法大師)/高野山(金剛峯寺)」と書いた人はおっちょこちょいか問題児、法然・親鸞・日蓮だとか増上寺・本願寺・久遠寺などと書いた人は追試決定といったところだろうか。
ところが、厳密に言うなら天台宗を開いたのは最澄ではない。……いや、別に一般の人は知らなくたってまったく問題がなく、せっかくだからちょっと覚えておいてほしい、という程度である。最澄は遣唐使で中国に渡って「中国天台宗」に学び、そのエッセンスを日本に持ち帰って「日本天台宗」として開いたのである。中国天台の教えをそのまんま移植したわけではないところがポイントではあるけれど、この旅行記は研究書じゃないので全部端折り、ともかく「天台宗は最澄よりも200年ほど前の人物によって開かれた宗派」ということが大切なのである。
その人物、すなわち天台宗を開いた方は、隋(聖徳太子による“遣隋使”で有名)の時代の智(ちぎ。538〜597)である。総本山は「天台山」。つまり、天台山で開かれたから天台宗という名称になったのである。
これだけ書けば、もう余計なことは不要だろう。「行ってみたい」と思った。ちょうど大学院を満期退学するのだから、卒業旅行だ。仲間に声をかけ、少人数でこぢんまりと出発することにした。
旅の準備
天台山は「浙江省」にある。上海よりちょっと南で、紹興酒で有名な「紹興」や、最澄が乗った遣唐使が到着した「寧波」、最近女子十二楽坊がCMをしている「杭州」と同じ省にある。どれも高速道路が連絡しているので、移動は楽なものなのだそうな。シルクロードとは大違いである。
緯度は日本の九州とほぼ一緒だし、天候はすぐ近くの「上海」と一緒だと考えることにした。ならば、服の装備は「冬の九州を旅行するのと一緒」、つまり「去年の九州旅行と一緒」である。スポーツバッグか、スーツケースかという、外見だけの違いだけだ。あとはパスポートだけ忘れなければいいようなものだから、パッキングはわずかに15分である。慣れもあるのだろうけど、なんか気合いが足りないなぁ、という気がする。
日程について
中国そのものはとても広い国だけれど、今回の旅は日本から比較的近いところばかりである。シルクロードからまだ間もないこともあり、なんとなく気分的に「ちょっとそこまで」という気がしてしまう。それでも、僕にとって中国はまだ3回目だ。どこも行ったことがない場所ばかり、船で一泊なんてのも予定に入っているのが楽しみである。
第1日目(2月15日)
成田→杭州。着後、杭州市内(白塔、六和塔、霊隠寺、西湖)観光。(杭州泊)
第2日目(2月16日)
杭州→紹興(紹興酒工場、蘭亭)観光→天台山。(天台山泊)
第3日目(2月17日)
天台山(国清寺、華頂講寺、石梁瀑布、智者塔院)観光→寧波(寧波泊)
第4日目(2月18日)
寧波郊外(天童寺)観光→杭州、深夜蘇州へ。(船中泊)
第5日目(2月19日)
蘇州(虎丘、拙政園、寒山寺)観光→上海(上海博物館、外灘)観光。(上海泊)
第6日目(2月20日)
上海→成田。(帰国)