作家とサッカー 〜日本代表vsジャマイカ代表〜
ぼくは作家といっても基本的にはサラリーマンで、会社勤めをしながら小説を書いています。この日は水曜だったので会社へ行かなければなりませんでした。
普段はよく残業をしますが、サッカーを観るために定時退社するつもりでした。
「朝霧、ちょっといいかな」
退社間際、部長に呼び止められました。ぼくの作った資料でわからない部分があるから説明しろというのです。「なにをー! 早く帰らせろ!」心の中で絶叫しましたが、顔は笑うしかありません。
帰宅したのは19時10分で、試合開始には間に合いませんでした。しかしハードディスクレコーダーに録画予約をしてありましたから「追っかけ再生」をし、録画しながらもキックオフからビデオ観戦しました。実際より5分遅れで観戦することになり、リアルタイムではありませんでしたが、試合を楽しむ上で問題ありませんでした。
試合では「黄金の中盤」と名づけられた、中田英寿選手・中村俊輔選手・稲本潤一選手・小野伸二選手が自由に動き回りました。見ていて面白かったものの、期待していたワンタッチの速いパス回しや芸術的フリーキックはあまりなかったので不満もありました。結果も1-1の引き分けで、後味はそんなによくはありませんでした。監督交替後の初戦だからこんなものだろう、と納得はしていましたが。
話は前後しますが、ビデオ観戦をしはじめて数分後に携帯電話へメールが送られてきました。試合に集中したかったので後で見てもよかったのですが、まだ0-0だし、会社から帰ったばかりで自分も落ち着いていなかったのでメールに目をやってしまいました。
メールはサッカー好きの友人からでした。
「小野が決めた! ジーコジャパン先制!」
ぼくのテレビではまだ0-0です。5分後に画面の中で起こることを知らされてしまったのです。
予言通り小野選手のゴールが決まっても、喜びは半減です。やはりサッカーはリアルタイムで観戦するべきですね。
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