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雪と桜の降る街

 

 不思議な出逢いだった あの日は桜が散っていた
 ぼくらは白い夢で 言葉はひとりで歩きだす

 少し寒いね
 きみは茶色のコートを着て
 ぼくに背中を向けて去る

 いま 天使たちが きみの肩に
 花びら一枚 おいていったよ

 ぼくの中にいるぼくが きみがほしいと叫ぶとき
 ぼくはぼくに逆らえず きみの背中を追いかけた

 不思議な想いだった そのとき 雪が舞い降りた
 桜は白い雪に 重なり埋もれて消えてゆく

 風が寒いね
 雪と桜が駆け上がって
 ぼくときみを包んでゆく

 ほら 妖精たちが きみの髪に
 純白の飾り つけていったよ

 雪と桜の降る街で きみに出逢ってしまったぼく
 きみに心を盗まれて ぼくはぼくでなくなった

 いまはなにも考えられない
 こんなことは初めてだから

 ぼくはあの日を忘れない きみと歩いた帰り道
 雪に残った足跡は 決して消えない 心のなか

 雪と桜の降る街で きみに出逢ってしまったぼく
 きみに心を盗まれた あの日が愛のプロローグ



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朝霧 義水(Yoshimi Asagiri)
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