■エッセイ「楽書帳」
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この時期になると会社の人事が慌ただしくなります。「○○さんが海外へ転勤するらしい」などと噂話が飛び交い、噂される本人は「会社なんか辞めてやる」と嫌悪感を顕わにしたり「転勤したくないよぉ」と悲しがったりします。 たいていの人は上司に「行け」と言われれば嫌がっていても転勤しますが、中には「絶対に転勤したくありません」と断固としている人もいます。すると上司も悩むようで、他に転勤してくれそうな人を探すことになります。 ぼくのところへも部長がやってきました。 「朝霧くん、海外に興味ある?」 「はぁ。なくはないですが」 「軽く二、三年だけど……行きたい?」 「部長が一緒に転勤してくれるなら行きます」 部長は「それなら行かなくていい」と立ち去りました。部長が「海外転勤」が嫌だったのか、「ぼくと一緒に転勤」が嫌だったのかは謎のままです(笑)。
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