Groove-tune体験記

update 02/05/13


■2002/04/13 高音・低音の指向性について、佐藤さんから頂いたメールを転載しました。
一般的に高音というものは「音場の定位(場所)」でいう所の高い位置だとか、
低音は「地を這うようなベース」とか、よく言われますが・・・
低い位置に感じるのが人間の身体の作りから来ている事を、勘付いているところあたりもセンシティブ!ですよね〜!!

ただし、厳密に言えば・・・
低音より、「直進性の強い性質を持つ」高音がまず最初に直接耳に飛び込んできます。
私が遠いところにサブウーハーを置かせたくない^^;のは、
そのタイミング差をなるべく不自然にしたくないからです。^^

だから、ハイエンドな「家庭用オーディオ」では高音担当(ツゥイーター)のタイミングを機械で少し遅らせて、リスナーの聴く位置の低音の「到達時間」に合わせて発音させようとするものがあります。

しかし、これはエコー音を聴いている事です。つまり音質は確実に劣化しています。
イタチゴッコです。特に大型スピーカーは重いので動きが遅くなりがちです。それを補うつもりの技術が音の純粋さを失わせています。※何十万クラスのシステムです。


さてさて、見方をちょっと変えて、高音が高い位置・低音が低い位置の謎を解明してみましょう。^^

高音は低音よりも到達時間が早い(スピードが速い)というのが、まず一つあります。
これは、カミナリで例えると解ります。
「パリパリ(高音)・・・ドスーン!!(低音)」
こういう順番で音は聞こえますよね^^?(そして超重低音の「余韻」付き^^)

でも実際の音が発生している場所では・・・空中放電の爆裂音は一瞬にして『同時』。

それが、距離に応じて高音・低音の音速度の違いから、バラケて聞こえているというわけです。<だから、それを利用してカミナリが近いかどうかを判断しますよね^^?

最初の「パリパリ・・・」は身体の高い位置である・・・「耳」で感じます。
そして「ドス〜〜〜ン!!!〜〜〜〜〜」という低音は「身体が共振」して感じます。

正確には振動&音程を主に骨が共振・共鳴して、耳というよりもっと下、身体全体が理解しているわけです。
重低音は『う〜ん♪腰にクルね〜!!』とか言われるのはその為です。
※骨盤は表面積が広く、人体の共振パーツとしては重要です。女性が子宮に響く様に感じる低音が好き、とか言われるのは全く持って正しいです^^;<意味深?(爆)

ここまででも、高音は主に耳が担当し・・・低音になるに従って身体全体(特に骨盤)
や全身の肌に対する空気の圧力&体毛の共振で、耳というよりも・・・
段々下に感じる位置がずれてくる・・・というすんぽうなんですね^^

だから、高音は高い位置で感じ、重低音は全身、もしくは下半身で感じるのです。

もう少し話しを広げましょう。^^

ここから発展させて考えてもらうと解る事が一つあります。^^

リスナーに、より音楽を楽しく・自然に♪音楽を聴いてもらおう!とする場合、
音の「作り手」は出来ればヘッドホンでは無く、スピーカーを鳴らして作業しなくてはなりません。
・・・そうしないと、上記の理由(音は身体全体が聴いている)から・・・
スピーカーにその音源を移した時「低音過剰」になる傾向があります。

また、今度は家庭用ヘッドホンに話題を移すと・・・
自然界のライブな感じを、ヘッドホンという「耳だけの世界」で表現するという意図が発端なんですが・・・
家庭用ヘッドホンはわざと過剰に低音を鳴らす傾向があります。
言い換えると、ムリヤリ耳や頭蓋骨を共鳴させる・・・<もちろんこれをやると、音楽は破綻する場合が多いです。
どこで何が鳴っているかも解らなくなり、これを「ごまかす」ため、さらに高音域を強調し、結果「ドンシャリ」と言われる状態になります。

・・・そうやって、『擬似的』に「その場で聴いている迫力?」を出しています。

ゆえに、プロのミキサーさんはヘッドホンは左右の楽器の場所の確認と、エコーの長さの確認!と役割を割り切ってミックスの仕事をしたりもします。<これは主に高い位置の音を分析してるのですね。


そうそう^^・・・この話題に絡んで皆さんが不思議に思っているかもしれない事が、一つ解明されますよ。

それは・・・「どうしてサブウーハー、スーパーウーハーと言われる重低音担当のスピーカーの置き場所はあまりこだわられないか?」という謎です。

もうお気づきかもしれませんが、耳自体には方向性がハッキリありますが・・・
重低音の「ドス〜〜〜ン」とした音は身体全体が担当なので、方向性が薄いのです。

だから、「どうせ、一つのスピーカーで重低音を鳴らしても、どこから鳴ってるか解らないだろう・・・」という、やや軽〜い考え方^^;でその手のスピーカーが存在し、置き場所やスピーカーの向きさえ「どうでも良い的扱い」にされているのです。

「下半身に方向性や指向性はないだろう・・・」という考え方です。

私的にはこの考え方が少し気に入らず^^;・・・
露骨にサブウーハーを強調した環境で、音楽をマジメに聴くと、違和感を感じます。

そもそも・・・私の場合は楽器奏者ゆえ、全身で周囲の音や振動を感知し、それに反応させながら演奏する必要がありました。

楽器も一通り、ギター、ベース、ボーカル、その他の楽器達の演奏の経験があるとなると・・・それら特有の聴き方&感じ方がミックスされた「感受性」になります。

そんな訳で、私は耳で「音」を聴こうとせず、身体全体で感じようとします。

ゆえに、普通の人より・・・例えば、低音に差し掛かっても肌や骨、内蔵の感じに意識を集中致します。 そうすると、低音といえども身体のパーツ共振のタイミングで、「どこから鳴って来ているのか」が、聞こえるというより「感じる」訳です。

だから、オケ全体をひとくくりで「安易に」低音再生させるサブウーハー的なものは「好きではない」のです。

実際のコンサートではそんな再生はされないですから・・・<似て非なるモノです。
特に、フル・オーケストラのコンサートに行くと、これは目からウロコです。^^;

実際、低音楽器は・・・ただ重低音を出しているわけではないですよね^^?
難しく言えば、「超高域の倍音まで含んだ」、普通に言えば・・・
弦のこすれ始め、唄の息づかいのとても音程としては高い成分・・・これらが、全てミックスされて「そこ」から出ているのです。

私が楽器をプロデュース〜販売しているのもご存じかと思いますが、上記の事をいつも念頭においています。
例えば、「ベースだから低音が沢山出ればよい」などと言って、イコライザーでそれを補うという設計にはしないのです。
それぞれのパーツが出す個性的な、「音」をブレンドして「バランスを整える」事で、弾いた瞬間に「お!良いね〜!」と言わせる様にがんばってます^^;

「Groove-Tune-Technology」と名を付けてやっている作業は、音楽家としての立場から、各楽器の位置感が掴めて欲しい。

欲を言えば・・・その風合いや、感情をリスナーに感じ取って欲しい。
「そのための」チューンでありたい。<「迫力重視」では決して無く。
そう考えているのですよね^^;

なんだか、宣伝文句によくあるのが・・・
「迫力の臨場感!!スーパーベース搭載!!」

この手の宣伝文句が良く売れるらしいですが、いい加減に低音を補強するやり方が嫌いなので、そういう「宣伝文句」があると、私はまずそれには手をだしません^^;

「なんで、余計な補強をして他の大事な成分をマスキングして殺してしまうんだ!」
と、問いたい。コイチジカントイトォメタイ!」<ばかです(きっぱり)

そんな不自然なものに、何十万も払うより・・・
自然な状態に近づけるための努力・工夫をした方が、結果的にはリスナーにも、感動を与えるハズです。名演奏であればあるほど、それが大事だと思います。

生バンド演奏を聴きに行った時のように、低音は「地を這い」・・・
高音は直線的に「スパンッ」と頭にまず響く。
そして、肌・骨・内臓など全身がトータルで、全ての音を感じ取る。

唄の息継ぎ(ブレス)や、弦楽器の弦が擦られる瞬間の音、フレットを移動する音。
全て大事な音楽の要素です。^^

願わくば、それが感じられる音の環境が、もっと多くの人にあれば「音楽の感動」はさらに伝わると思うんです。結果的に文化レベルも向上するという事です^^

例え、限られた予算の中でもこれらの事に方向性を絞って施工すれば、人にとって「音」がいかに大事な要素なのか解り、生活に潤いが出ると考えます。

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