10月23日に発生した新潟中越地震は,中越地域に大きな爪痕を残しました。前代未聞の新幹線脱線や,山古志村の壊滅,全村避難,さらには水没の危機など,目を疑いたくなるような事態が起こっています。
地震発生直後,詳しい被害報道がもたらされるまでしばらく間があったとき,あまりの事態でなかなか情報が入らなかった阪神・淡路大震災を思い出して不安を覚えたものでしたが,残念ながら悪い想定の通り,その時を上回る威力を持つ地震によって,多くの方が死傷し,社会基盤が無残に破壊されてしまいました。
こうした中,インターネットの発達によって,自治体からの情報発信の手段を確保するとともに,阪神・淡路大震災の教訓に基づき,被災者支援のための重要な装置となっています。被災地ではインターネットへの接続もままならないのではありましょうが,口コミや報道(それぞれに長所と短所がありますが)ではカバーしきれない部分について,自治体ウェブの活躍は評価すべきでしょう。
住民生活に密着した行政を担う市町村のサイトを見ると,被災者の生活に関わるさまざまな取り組みが見られます。いくつかの自治体では,「入浴情報」を設けて,お風呂に困る被災者が入浴できる施設を列挙しています。また,幼児を保育所に臨時入園させる場合(もといた保育園に通えなくなったり,親が被災して子供を一時預けざるを得なくなった場合など)に,入園料を免除する案内が出ているところもあります。不幸にして亡くなった方がいても,被災地では火葬場が機能しておらず,自治体同士で連絡を取り合って,火葬業務を引き受けている例も見られました。ふだん大して気にしなかったことが,災害という状況下で,いつも以上に重要なものとなっていることがわかります。
災害ボランティアの募集や,必要な仕事の内容の発信などが行われている例も目に付きます。