エスニック

宇宙散骨

  5月13日の新聞に、宇宙への散骨が事業化されるとの記事が載っていた。なんとも面白いことを考えるものだと感心した。
新しい霊園のチラシを見るたび考えるのだが、一体どこまで墓は増えているのだろうと思う。人間どれほど生きてもせいぜい100年だが、故人は何年経っても故人であり続ける。無縁仏にならない限り、墓地は減らないということだ。
日本でも少子化とはいえ核家族化が進めば世帯数も増加するのだから、宅地(生者の家)と墓地(死者の家)のダブルで拡大していくことになる。現世と同じ事情からか「マンション型霊園」も登場しているが、そこまでして、という気がしなくもない。

私の両親は共に健在で、当分その心配は無いものの未だ墓地を買っていない。その意志もあまり無いようで、母などは「泳ぎが得意でないから、骨は山に撒いて欲しい」と言っている。
死んだ先まで溺れる心配をする必要もなかろうと思うが、ちゃんと言い残してくれたら本当にそうしようと思う。

信心の薄い私にとって「墓」の有無と先祖を偲ぶこととは完全に別と考えている。よって、生存の証をどのように残すかはもっと自由に本人の意思が働いていいように思う。

そこで「宇宙散骨」の話しである。海や山なら時々聞く話しだが、宇宙となるとちょっと大きな話しになる。費用も100万円ならそう高いわけではなかろう。
ご丁寧にロケット打ち上げの模様もビデオ録画してくれて、「宇宙葬証明書」も発行してくれるという。まあ、ビデオの活用法は法要の時くらいしかなさそうだが。

唯一残念なのは、10-15年後には引力に引かれて大気圏に突入し燃え尽きてしまうらしい。生まれ変わるためと考えるか、未練がましいと考えるかは人によるか。

99年5月28日 ThinShin


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