エスニック

400年目のうるう年

   Y2K問題が済んだと思ったら今度はうるう年問題だそうだ。下2桁が「'00」のうるう年は400年ぶりだそうで、Y2K同様「何か起こるかもしれないという問題」だったようだ。結果的には、かの国営銀行「郵貯」のATMにちょっとしたポカがあっただけだが、気の休まる間もなく今度は年度切り換え時にも「第2次Y2K問題」があるらしい。なんとも忙しことだとは思うが、結果的に何も起こらずに済んでいるということこそ、「何かあるかもしれない」という危機意識で万全の体制を敷いた成果だと思う。
ところで、こうしたコンピューターをめぐる問題は人類史上初の「何が起こるか分からない」問題だったと思う。今までの生活の中で何かに「備える」ということは、例えば地震のような天災、火事や自動車事故などの人災をはじめ、病気や老後、失業などが対象であり、それぞれどのような備えをすれば良いかハッキリしていたものである。ところが「Y2K問題」等は一般生活の全領域において「どういう事態が起こるか分からない」問題だっため、国中が右往左往する羽目になったのである。よって、起こりうる事態はネガティブなことばかりが想定されがちだったが、中にはラッキーが舞い下りる「かもしれない」こともあったのに誰も取り合ってくれなかったのが残念である。
昨年末、銀行のホストダウンに備えて通帳に記帳することを薦めている向きもあってATM前は長蛇の列だったらしいが、年末の日付の残高であればトラブルが発生してもその額を保障するなんて誰か言ったのだろうか。私の場合、偶然にも最終記帳日の残高が年末時点の残高よりずっと多かったので、銀行の全記録が消去される事態を「願って」ほったらかしにしておいた。もちろん、万が一記録が消えた場合は、とっくに使ってしまって有りもしない残高を指差して「俺の金返せ」と主張するつもりでいたのだ。それにみんな減ることばかり心配していたが、私はエラーで桁が増えるかもしれないことも期待していたのである。結局、世界的苦労の甲斐あって事無きを得たが、年を迎えるにわたって私は随分ワクワクさせてもらった。宝くじは金を払わないとワクワク出来ないが、Y2K問題はタダで楽しめたのである。
さあ、今度は年度末だ。


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