私が大ファンの短編の名手、阿刀田高さんの作品に「神様の確率」というエッセイがあります。 あらすじを紹介しますと… 神様やあの世の存在は実際死んでみないと分かりません。ですからめでたしめでたしの結果を得るためにはどうしたら良いかを考えます。パターンは4つ。 1:神を信じる&本当にいる(あの世がある)場合 2:神を信じる&何も無い 3:神を信じない&本当にいる 4:神を信じない&何も無い では、これらで悲惨な結果となるのは3番となります。つまり75%は神様を信じている方がいい(控え目に言えば「無難」)ということになるんですよ、というストーリー。 我々の日常生活の中でもこうした概念は根づいていて、保険というのはこの代表例といえるのではないでしょうか(もちろん、逆を辿って信仰を持つ人たちが皆、神が存在した場合の保険として、信仰しているわけではないでしょうが)。 保険はつまり、起こりうる不幸を想定し、それらが現実となった場合に不幸の度合いを和らげる手段ということになります。つまり、「こうなって欲しい」ではなく「こうなったら困る」ための保険、「期待ハズレ型保険」とでもいいましょうか。 一方、賭け事のように自分の予想するものに賭け、その通りであればハッピーというのが1&4と言えるでしょう。これは「アタリ型保険」とでもしておきましょう。 保険は何も事故や病気に対する備えばかりでなく、保険そのものに対する見通しによって掛ける保険を偏らせると、ある程度のハイリスクハイリターンの「アタリ型保険」に近づけることが出来ますし、保険以外のところでそのリスクを軽減することも可能ではないかと思います。 例を挙げてみますと… 見通しとしてはまず、保険そのものはさらに進化する。リスク毎に商品が分割され、オーダーメード化が進むので余分な保険料が減り、保険料は安くなる。また年金型保険のように長期にわたる保険も、予定利率が最低レベルの今は保険内容からみた保険料は割高で、今後金利が上昇し予定利率が上がれば保険料はやはり下がってくる。 それ以前に、実際に年金をもらう年齢まで同じ保険を持ち続けるは事実上困難。どこかで新商品に乗り換える必要が出る可能性大。となると、解約は余程持ち続けた保険でないと払戻返戻金が少ないので極めて不利になる。などなど…。 これらを考慮すると、保険はほとんど入る気が無くなってしまいますが、原点に戻って一番悲惨な思いだけは回避する、と言うところから考えると、まずケガや病気の場合の保障は無しではいられませんので入院・通院・災害・傷害等の保険が必要です。それと自分が死亡した場合、子どもが成人するまでに必要な額の生命保険に入ります。これは例えば22歳で扶養からはずれると仮定して、それまでにかかる金額で考えているので中学・高校と進むにつれ22歳までの必要額は減ってきますので、それに合わせ保険金額も徐々に減って行く逓減保険に入ります。 養老保険や個人年金は一切つけませんから、月々の保険料はかなり安く押さえられます。ですから積み立てている部分が無いので、さらに有利な保険が出れば躊躇うことなく乗り換えられます。 もちろん、インフレに見舞われれば補償額に不足が生じてきますので、どこかで付足すなり、乗り換えるなりしなくてはなりません。しかし、保険料を低く押さえているので、浮いた金額はちゃんとプールし、株式型や債券型の投信に分散投資していれば、物価スライドに近い成績が残るでしょう。今後上がって行く保険料のカバーには幾らかなりともなると思います。 さて、これ実は私自身がモデルなんです。どういう結果が出るかは何十年も先の話しなのでお伝えできませんが、如何なものでしょう。 |