これだけ通信手段にE-メールが普及してくると、Eメール独自の表現方法もそれ相応に発達し、文章の書き方も併せて変わってきた。 過去にもポケベルが流行った時、数字しか表示されなかった頃は、数字の語呂合わせで会話をし、文字が表示できるようになってからは妙な略語が流行ったものである。 最近、特にメールで目にするようになったのは「顔文字」と呼ばれる括弧を中心としたイラストである。 例えば……やあ!( ̄▽ ̄)ノ"、ニヤリ( ̄ー ̄)、フフッ(⌒m⌒*)、バイバイ(^o^)/~~等々。なかなか微妙な表情まで表現されており、思わず唸らされる傑作も多い。 私が目にしたものだけでもかなりの数になるが、顔文字専門のサイトによれば、辞書と称して実に7000種類以上は登録されている。誰が考えるのか知らないが、普段使うことの無いキー操作も多数含まれており、顔文字として誕生するまでの努力とそのセンスにはただ驚くばかりで、これはもう完全な文化になりつつあると感じた。 だが、遊び心満載で見ていて楽しいのは事実だが、自分で使うにはちと億劫である。もともと個人的なメール以外、つまりこうした場に晒す文章には「?」や「!」もほとんど使わないようにしてるので、ここで私が使うことはまずないだろう。 読み手の側に立っても、私はやたらと「?」や「!」を使ったり擬音や字体のイラスト化で表現する作家を好まない。だから、作家の意向ではないだろうが、イラスト入りの単行本などは妙に安っぽく軽々しいものに感じてしまうのである。プロであるならあくまで文章力で魅せてもらいたいものである。 ところが、私はプロのモノ書きではない。思いを全て文章に載せるなど到底不可能である。こうした場では微かなこだわりを持っているものの、プライベートなメールなどは各種記号や擬音等が満載である。なかでも非常に便利、というか救われる表現方法が、(笑)マークなのである。 例えば、ちょっとキツイジョークやブラックジョーク、軽い皮肉の後にちょっとつけてやる。受け手側にとってみれば、(笑)ひとつで相手が本心から言っているのではないことが解る。軽く諌める言葉の後につければキツイ言い方には見えない。他にも使い方は様々ありケースバイケースで意味合いが微妙に違う。日本が誇る万能語「どうも」に匹敵する用法が出来るのではないか。 もちろん、濫用は避けたい。やたらと文末に振りまくっても、欧米のTVドラマに見受けらる笑い声のアフレコのように、「ここ、笑いどころですよ」と強要しているようなことになりかねない。 なんにつけ、顔の見えない相手が、少なくとも自分に悪感情を抱いていないことだけは通じる。口調と同じく文面でもぶっきらぼうな物言いになりがちな私にとって、これは非常にありがたい。(笑)とは末永い付き合いをしていこうと思っている。 |