エスニック

汚職防止策

 「金を受け取った記憶はない」。一連のKSD問題で賄賂を受け取ったとされる村上前議員が容疑を否認しているとの報がニュースで流れ、「ああ、またこのセリフか」と思ったのは私だけではないだろう。
 相変わらず政治家の汚職が絶えず、「記憶にない」「秘書が・・」という意味合いのことを大抵の被疑者が口にするけれど、こう口にしてみたところで事態が好転したことがかつてどれだけ有るのだろうか。実に政治家というのは往生際が悪い。

 ただ、通常政治献金という名目の金がなんらかの事件をきっかけに「賄賂」に早変わりする性質のものであるというのはもはや常識に近づいている。
 恐らく多数の企業から受ける献金の内容を須らく把握するというのは難しいと思う。まして、献金元がどれだけ「まとも」な企業かどうかというのはいちいち調べられるものでもないだろうし、当の議員がみな直接受け取るものとも限らないだけに「秘書が…」という弁解も言いたくもなるだろう。
 もちろん、それが理由で許されるはずもないし、KSD事件のようにKSDから事務職員の給料が出されたりなんてことは建前すら献金と呼べるものではないが。

 そもそも、政治献金というものは名目上「あなたの政治活動を応援します」という意志の元に寄付されるべきもののはずである。よって本来の趣旨を通せる資金であれば別に匿名でも構わないはずである。100%善意の資金でどこの誰がいくら自分に金をくれたのか判らなければ、使う側も「あんな企業から資金提供を受けていた」などという後ろ指は指されずにすむはずである。
 しかし、現実的には「なにかの折りにはヨロシク」という思惑を後ろにぶら下げて提供されていたり、便宜を図ったの見返りに資金提供を受けていたりするのが実態である。

 おまけに日本の場合、国政の場に携わる国会議員ではあるけれど、選出方法は国選でなく比例代表区および小選挙区の地域選出である。歴代の総理や権力者達が田んぼの真中に新幹線を通したり飛行場を作ったりするなどの「利益誘導」が取り沙汰されるが、政治家達は金だけでなく票のためにも「便宜を図り」「掌を加え」なければならないのである。

 衆議院議員が代議士と呼ばれる様に、国政の場に立つ身でありながらも、ベースは「選出地域の代弁者」だったりするのである。彼らの行動原理は「金をくれる人」「票を入れてくれる人」の為に働くのである。彼らが汚職に染まるのは「私(達)のために一つヨロシク」があるからである。であるなら、いっそのこと選出した議員が問題を起こした場合は選出した地域にも連帯責任を取ってもらい、例えば助成金をカットしたり、(国税部分の)税金を上げたりするなどのペナルティを課したらどうだろう。そうなれば地域からのチェックは非常に厳しいものになるし、議員も軽々しいことは出来なくなるだろう。
後は全議員共通の献金窓口を設置し、匿名で献金をさせたら良い。

 ほうら、汚職を防ぐなんて簡単さ。 (3/22記)

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