エスニック

輸出国ニッポン

  先日、百貨店のチラシにスウェーデン製の掃除機が載っていました。デザインはシンプルでお世辞にもコンパクトとは言えない大きさです。ぱっと見は一昔前の日本製を思わせますが、どっこい約10万円の高級品です。
 この掃除機のセールスポイントは「丈夫で長持ち」と「強力な吸引力」。同国製のボルボと同じく「質実剛健」といったイメージです。

 昨今は米を炊くにもハイテクの力を借りる時代。使いこなせないほどの機能ばかりが充実している電化製品の中で、こうした元祖型が高級品として生き残っていることはなんだか目新しい感じすらします。
 こうした「高級品として生き残る戦略」というのはもっと日本にも浸透してよい概念ではないでしょうか。

 例えば、今では殆ど国内では存在しなくなってしまった養蚕業ですが、詳しい人に聞くと国産品のシルクと輸入品のそれとでは明らかに質が違うそうです。
 また、手間暇かけた和牛の霜降り肉なども同じ牛肉とはいえ輸入牛肉とは根本的に「別物」言えるほど差があります。

 こうした1ランクも2ランクも上の商品が市場全体に占めるシェアが廉価のモノより優位に立つのはどだい無理な話です。価格で真っ向勝負をするよりも、高級品としてのメイドインジャパンを世界に向けて輸出する方がはるかに得策ではないでしょうか。
 特別な富裕層にではなくても、イタリアのスーツやペルシャの絨毯、ロシアのキャビア(?)などは世界中で売れているわけです。

 どこかの総領事ではありませんが、外国での贈答に使われるほど霜降り和牛がメジャーになったら、日本国民として少しは誇らしくも感じるのではないでしょうか。

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